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2017.06.08
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カテゴリ:日記
先日の日曜日、フィラデルフィアから来て友人と夕食をともにしたのですが、
その日、彼女はミュージカル「ローマの休日」のマチネーに行ったそうです。
    
その時、私は「おお、チャンス」と思いました。
彼女は親しい友達だし、アメリカ人、文学にも興味があり、まさに質問するにはうってつけの人。それで、
「ミュージカルにも、あのキーツかシャリーかという場面はあった?」
と訊いてみました。
「あったと思うけど、なにせ席が上のほうで、あまりよくわからなかった。でも、歌になるとパワフルで、はっきり聞こえたわ」
「あのキーツかシェリーについてだけれど、シェリーが正しいというの、知っていた?」
「知らない」
「あの詩について、何か知っている?学校で習ったとか、ある?」
「習ったことはないし、知らないわね」
ということでした。
私は彼女ひとりの意見を聞いただけですが、
やはりアメリカでも、あの映画を見て、「あれはシェリー」の作だとわかった観客は少ないのではないかと思ったのでした。

好きな方が多いと思いますが、私にとっても、オードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペックの「ローマの休日」は大好きな映画です。
私が若い時に、テレビで見たのではないかと思うのですが、あれ、吹き替えでしたっけ。その時は、映画の内容は、それなりにわかったつもりでしたが、実はまったくわかっていなかった、ということを近年、発見しました。それは、ユーチューブにオリジナルの「Roman Holiday」を見つけて、じっくりと見てわかったのです。
あの頃は、私にとって世界は遠いところにあり、もちろんローマにも行ったことがなく、
映画の冒頭がサンピエトロ広場で、アン王女がシャンペンを飲んだ店がパンテオンの近くだったとか、何も知りませんでした。
また王女が泊まっていた部屋から、サンタンジェロ城の前での船上ダンスパーティの灯が見えたことも。あれからローマに行くことがあり、妹とテヴェレ川のそばに座っておやつを食べましたが、あそこはゔティカンのすぐそば。今では船上パーティなんか許可されないでしょうし、川にはゴミが浮かんでいました。映画では、この川にふたりは飛び込んだのですから、もっときれしだったのでしょうと思いました。
話がそれましたが、友達に訊いた肝心の場面は、アン王女がジョン・ブラッドリ―のアパートに来た場面で、
王女は彼のアパートの狭さに、「ここはエレベーター?」なんて言うんですよね。その後で、彼がベッドではなくて「カウチ(長椅子)」で寝るように言うと、アン王女は大好きな詩といって、ある詩を口ずさむのです。
"Arethusa arose
From her couch of snows
In the Acroceraunian mountains,"
彼が「カウチ」と言ったので、詩の中の「カウチ」を思いだしたようです。
その「(作者は〉キーツよ」と王女が言うと、ブラッドリーは「シェリー」と訂正します。
そして「キーツ」、「シェリー」と言い合います。この場面。

私はその時、百パーセント、キーツが正しいと思っていました。
王女はその夜、宿舎の宮殿で眠る時、ヒステリー状態になり、医者から睡眠薬を打たれたので、それから数時間後の今、意識が朦朧とはしています。でも、王女はよく詩を口ずさむほど好きなんだし、その中でも、この詩が大好きだといっているのですから、間違うはずがないでしょう。
それで、本当にアン王女が正しいのかしらと検索してみたら、同じような疑問の人が日本にはたくさんいて、あれは「シェリー」が正しいのだとわかったのでした。
えーっ、ローマでいい加減な生活をしているように見えたブラッドリーって、よい人なのはわかるけれど、それだけではなく知識人なんだ、と思ったのでした。
優秀な記者になる可能性がある人なのね。
なぜか、今はローマにトラップしてしまっているけれど、早くニューヨークに帰って、活躍できるといいのに、なんてと思ったりしたのでした。

でも、この場面って、彼がそういう人間だと知らせる場面なのですから、観客がその詩がシェリーのものだとわからなければ、このエピソードをいれた意味がないですよね。
でも、アメリカ人なら、普通に、作者がシェリーだとすぐにわかることなのかしら、と思ったのでした。
それで、友達に訊いてみたというわけです。
彼女がわからないくらいですから、どうも、これがシェリーだとわかる人は少ないみたいです。
だとしたら、映画のどこかで、そのことの説明が必要なのではないでしょうかね。

それでは、その詩にあった「アレトゥーサ」について、ひとつの伝説を書いてみます。
ギリシャ神話では、アレトゥーサはアクロサローニア山脈に住むニンフでした。狩猟と純潔の女神アルテミスに仕え、山の森を守っていました。ある日、彼女が水浴びをしていると、
河の神アルペイオスがその美しいアルトゥーサを見て、恋してしまい、追いかけてきます。
アレトゥーサは必死で逃げるのですが、もう捕まってしまうかという寸前に、女神アルテミスが現れて、雲を産み出し、アレトゥーサを水に変えます。そして、その水はアルテミスが作った地中海の下のトンネルを通り、シチリア島のそばのオルデュギア島にたどりついて、「アレトゥーサの泉」になりましたとさ。

「アルペイオスとアレトゥーサ」

バティスタ・デ・ロレンツィ(1527-1594、)1568-70年作、
メトロポリタン美術館、

イタリアのルネッサンス期の作品。アレトゥーサがアルペイオスに捕まってしまいそうです。彼女はいやがって、手を振り払おうとしています。アレトゥーサは処女神アルテミスに仕えるニンフですからね、彼女も男嫌いなのでしょう。この大理石の彫刻は噴水の一部として作られ、アルペイオスが抱えている壺からは、水が出ていたと思われます。

「アルペイオスからアレトゥーサを隠すアルテミス」

カルロ・マラッタ(1625-1713)
バロック時代の作品。
この物語に関する絵画では、このように、アレトゥーサとアルペイオスの間に、アルテミスが作った雲がはいり、邪魔しているものが多いです。

下はちよっと違った「アルペイオスとアレトゥーサ」

ヨハン・ケニッヒ(1586-1642)、1610年代、ドイツの画家
こちらは河の神アルベイオスが現れて、水浴びをしていたアレトゥーサがぎくりとして、逃げる体勢です。彼女の服が右側に見えますね。アルベイオス河というのはギリシャ南部にあり、その地方では最大の河です。

さて、話は「シェリー」の「アレトゥーサ」に戻ります。
アン王女が口ずさんだのは最初の三行ですが、この詩は五節、九十行の詩です。
そして、シェリーの詩では、アレトゥーサが最初はいやがって逃げるのは伝説と同じなのですが、
でも、最後の五節では、アルベイオスと愛し合うという、とてもロマンチックな詩になっています。



続きます。






最終更新日  2017.06.08 23:54:53
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