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Berry

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第7章



~第7章~

放課後・・・、友美の親友の稲田由紀(いなだ ゆき)はいつもの通り、友美の教室に来た。
関西弁を話す、稲田由紀は隣のクラスで、入学式の時に友美と知り合ってからというものの、
帰る方向が同じなので、毎日一緒に帰っていたのだ。

「あっ、友美っ!」
由紀は友也をひっぱって、小走りで教室を出た。
「ちょっと走って。」
由紀は小声でそう言って、そのまま、友也の手首を強く握って、下駄箱まで行った。

「なぁ、あんた友美ちゃうやろ。」
由紀が友也に言った。
「えっ?と、友美だけど・・・。」
友也は少しためらいつつ言った。
「嘘つくなよ!友美はあんたの横におるやんか!!」

友美は、はっとした。私のことが見えるなんて・・・!
「ゆっ、由紀!?」
「お、おまえ、俺が見えるのか!!?」
「ハッキリと見える。光に当たると髪が青っぽく反射する男の子・・・あんた、友也やな?」
「そやで。俺のことを知ってるってことは・・・オマエ誰だ?」
「私は稲田由紀。」
「由紀・・・。聞いたことないな・・・。」
「うちもあんたみたいなヤツ飼っとって、その子からあんたのこと、よく聞くんよ。」
「・・・そいつの名前は?」
「龍宮香友(りゅうぐう こうゆ)。」
「・・・っ!?」

友也は言葉を失った。
友也の様子が変わったのを見て、友美が友也を呼びかけた。
しかし、友也は返事をしなかった。
友美は状況が把握できなかったので、黙って聞いていようと決めた。

少しの間の沈黙の後、友也が口を開いた。
「・・・由紀、明日、香友に会わせてくれ。」
「分かった~、香友に聞いとく。」
「会わせてくれ。頼む。」
「うん、何とか頼んでみとく。」
「じゃ・・・、俺は帰る。友美、帰るぞ。」
「ねぇ、友也、由紀と一緒に帰らないの?」
「ん・・・。」
「今日は2人で帰りよ~。バイバイ、友也!」
「んー。」
「バイバイ、友美!」
「バイバイ♪」

友美と友也は由紀に背を向けた。


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