リバーサイド

2007/01/18(木)06:08

ザクちゃん、こっち向いて!

猫(41)

我が家では現在、犬・猫・兎合わせて9匹がいっしょに暮らしていますが、 なかで私たちがスキンシップをいちばん心掛けているのは、 猫のザクことコザクラです。 今日は、その理由をきいてください。 順を追ってお話いたします。 コザクラと命名した理由 三年前の春、 サクラというまだ1才そこそこのメス猫を 人間の不注意で死なせてしまったときは、 ほんとにつらくて、 どこかに同じ模様の子猫は捨てられていないかと、 しばらくは本気で探したほどでした。 あくる年の九月末のことでした。 犬のタケルと散歩から戻った夫がいかにも気がかりそうに、 公園に、 雨に濡れてか細い声で鳴いている子猫がいる、というのです。 私は、とっさにサクラと同じ白黒猫ならいいのに、とおもいました。 が、聞けば、ひどく汚れていてよく分からないけれど、 白黒ではないという答え。正直、がっかりしました。 それでも私たちはその捨て子を飼うと決心するために、 強引に「サクラの生まれ変わり」という暗示を自分たちにかけたのでした。  じきに我が家に連れてこられたその子は、 まことサクラとは似ても似つかない子でした。       おまけにオスでした。だからといって、公園には戻せません。 とにかく、コザクラと命名したのでした。 すくすく… 初シャンプー こんどはニコの代わりも コザクラが来てわずか3カ月後、 入れ替わるようにこんどは、ニコが逝ってしまいました。 オスの白猫で、推定10才くらいでした。 ニコにとても慕われた夫は、 ニコがいなくなった喪失感をこのコザクラで 埋めあわせようとしました。 「コザクラは、ニコの命を引き継ぎにきた」 それが、ニコのお父さんのくちぐせになりました。 そして、特訓を始めたのです。 といっても、何か特別なことを無理矢理しつけているわけではありません。 熱烈なねこっかわいがりといったほうが、あたっているかもしれない。 ある日、夫が、ニコニコしながらもあきらめるような口調で言いました。 「ダメだね、この子はとうていニコのようにはなれそうにないよ」 ニコは我が家の猫たちの中でずば抜けて知能の高い子でした。 その子と比べたらかわいそうですが、 私も、夫のいうことがまんざら冗談ともとれませんでした。 コザクラは、いくらコザクラ、コザクラと呼んでも、 この名前を覚えてくれないのです。 ニコでなくても、ほかの猫たちは、 自分の名前を呼ばれるとすぐ反応します。 私は、コザクラがこの名前に抵抗しているような気がしました。 ぼくはこんな女の子みたいな名前きらいだよ。 ぼくは、サクラちゃんでもニコちゃんでもないよ。 ぼくはぼくなんだ! それに犬や猫は、 自分の名前の最初の一語に反応するという話を思い出しました。 サクラならサ、ニコならニ…。 コザクラはコ、ということになります。 名前の頭にコがつく子は、うちにはほかに小雪がいます。  ザクをニックネームに なんだかんだといろいろな理由をつけて、 コザクラの呼び方を変えることにしました。 でも、コザクラは捨てがたく、 けっきょく、真ん中の2字をとって、 ザク を愛称にしたのでした。 ザク、ザク、ザク 何だか昔話の「大判小判」を連想させる 景気のよさそうな名前です。 それになにより、いかにも男の子を呼んでいる感じがします。 ところが、 コザクラは、このザクという愛称さえも、 気に入ってくれませんでした。 ザク、ザク、ザク いくら呼んでもむなしいばかりです。 ようやく気づいてやれたこと それは、昨年の夏のことでした。 外出着に着替えた私を、少しはなれたところで目にしたザクが 突然跳ね上がり、逃げ惑い始めたのです。 「なに、ザクちゃん、お母さんじゃないの」 どんなに優しい声を掛けても、 そばに寄ればよるほどパニックになるのです。 なんかへんだ、おかしい!? 着ているもので、一瞬間、見知らぬ人と錯覚しても、 声で私とわかっていいはずです。 そういえば、これほどではなくも、 これまでにも似たような怖がりを見せるときが、何回かありました。 それで、私はようやく気づいたのでした。 この子は耳が聴こえないのかもしれない! 私たちはザクに、 いろんな音をあらゆる角度から聴かせてみました。 その結果、 ザクはやはり耳が聴こえないのだということがわかりました。 それも、ほとんど聴こえないのです。 ザクをだきしめ、どんなにあやまったか知れません。 「いろいろ誤解していてごめんね」と。 というわけで、私たちは、 この子にいちばんスキンシップを心掛けるようになりました。 ザクは耳が聴こえないぶん、 その二つの目がとても神秘的にみえるときがあります。 この子だけの素敵な世界があるのだと思います。 ボクはボク、ボクのしあわせがあるんだにゃん♪

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