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カテゴリ:feng
こんばんは、桜野草一郎です。 ・・・はい、今夜のタイトルは見ての通りですね。
前編を見たという人は、下の本編へどうぞ・・・。
秋色のレイニーデイズ(前編) 夢ノ終ワリ 6
(み、な、と・・・)
時間が、ゆっくりと流れているかのような錯覚に陥る。 目の前にいる最愛の女性(ひと)に、その命を刈り取らんと迫り来る、凶刃。
守ると、決めた。
愛し合い、自分の腕の中で幸せそうに眠っている湊の寝顔を見つめながら、これからずっと一緒に生きていこうと、誓った。
夏の夜、銀色に煌めく(きらめく)月の下で、これから一緒に思い出を作っていこうと、約束した。
それなのに。 何も出来ずに蹲って(うずくまって)いるまま、それどころか湊に庇われてさえいる、弱い自分。 また、湊を失おうとしている。 それも前のように離ればなれになるだけではなく、今度は死という完全なる喪失によって。
(い、やだ・・・)
湊のいない家、湊のいない学校、湊のいない生活、湊のいない世界。 想像するだに恐ろしい、そんな世界なんて。
(そんなの、嫌だ・・・っ!)
うごけ。
大量の血が流れ出て、言うことの効かない体に叱咤(しった)をとばす。
ウゴケ。
ここで何もできなくて、愛する人を守れなくて何が兄だ、何が恋人だ、何が・・・約束だっ!?
(動けっ、俺の、体・・・っ!)
刃が、湊の頭上に迫る、その時。
「う・・・うおおおあああああぁぁぁあああぁぁぁっっっ!!!!!」
口から、命を絞り出すかのような絶叫と血を迸らせながら。 その刃へと、何の躊躇(ちゅうちょ)も無く右手を差し出して、受け止める。 ザクリ、と手の皮と肉が切り裂かれる感触があるが、痛みは感じない。 腹部の傷で、もはや痛覚まで麻痺しているのかもしれない。 そんな事を激情に突き動かされる頭の片隅で考えながら、ナイフを受け止めた手から新たな鮮血が滴るのにも構わず、準一は精一杯の力を振り絞って叫んだ。
「にげ、ろ・・・っ。逃げろっ!みなとぉ・・・っ!」 「あ、あぁ・・・ああぁぁ・・・っ!」
だが、湊は今にもあふれ出しそうなほど涙の滲んだ目を見開いたまま、滴り落ちる血が顔を汚すのにもまるで気付いていないのか、逃げようともせずにそこに座り込んでいた。 あまりの恐怖に、腰を抜かして動けなくなっているのかもしれない。
「ひ、ひいぃっっ、この、この死に損ないがあああぁぁぁっっ!」
(や、ば・・・)
目の前の男が、手に力を込めるのが分かった。 突然の事に驚いて力の抜けている今でも、受け止めるのがやっとだと言うのに、その状態でさらに力を入れられれば、これ以上止めていることは不可能だ。 このままでは、自分も湊も・・・。 準一の脳裏に最悪の展開が過ぎった、その時だった。
「準一っ、湊さんっ!!」
廊下の向こうから、冬彦の叫び声とこちらへ駆けつける複数の足音が聞こえた。
「・・・!?」
目の前の男がそちらに気を取られて背後を向いたとき。
「あ・・・あああああぁぁぁあああっっっ!!!」
気を抜けば今にもくずおれてしまいそうな体を無理矢理奮い立たせて、準一は男の顔へと最後の力をかき集めた拳を放った。
「ぐひいぃぃっっ!?」
振り向いた勢いにその拳の勢いが上乗せされて、男は醜悪な悲鳴を上げながら無様に吹き飛び、床へと叩き付けられた。 それと同時に、力を失った準一の体も地面へと吸い込まれるように倒れていく。
「兄さんっ!」
廊下にぶつかる寸前で、湊にその体を受け止められる。
「兄さん、しっかりして下さい!お兄ちゃんっっ!!」
お兄ちゃん、という家でも滅多には言うことの無い言葉を、それも学校で言ってしまうほど我を失って取り乱している湊に、しかし準一はもはや何も言うことは出来ず、ただ荒い息を吐き続けるだけだった。
To be Continued...
・・・はい。
攻略キャラは5人+前作のサブキャラ1人!
宜しければクリックでも・・・。
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