2006/10/10(火)21:35
虹の橋2006第2章 再会 第2話 めい
このお話は、連載です
まだの方は第1章からどうぞ
第1章 地上へ 第1話
◎ 虹の橋2006夏
第2章 再会 第2話 めい
登場人物 めい
皆さん、はじめまして(^^)/ めいです
え?何度もさくらパパのお話に出てくるからよく知ってるって?
あきませんやんか、さくらパパの言うことなんか信用したら(^^;)
私はそんな飲み助でもないし、おしとやか~な、レディなんやで、ほんまに困ったもんやわ
話がえらい横道にそれてしもたがな
今年のお盆は、初めてお里帰りしはるスマちゃん、ぷぅちゃん、ももちゃんらをちゃーんと家まで送ってあげなあかん思うてたのに、ちょっとビールよばれ過ぎて遅うなってしもうたわ
スマちゃんと御所の上で別れて、スマちゃんは西へ私は南へ…
私はお盆にお里帰りするのは2回目(^^)
ほんまに、今年はママさんと、どんなお話ができるやら、楽しみやわあ
私は懐かしいおうちの前まで帰ってきました
いつもやったらいきなりおうちの中に入るんやけど、お盆は見つかってしまうから、あんまり急に驚かせて、びっくりしてこけて怪我でもしはったら大変やしねえ^^;
そうかと言うて、呼び鈴鳴らすのも変やしなあ…
そう思いながらガレージの方を見てみると車がない
なーんゃ(^^)ママさん出かけてはるんやん(*^_^*)
やっぱりおうちに入らせて貰うとこっと
あーっ、これって私が使うてたお水のみの器やん
ママさんお水入れてくれてある(T_T)
お部屋もいつものとおりやん
私はお部屋とお部屋の間の敷居のところで寝ころぶのが大好きでした
懐かしいなあ…そう思っているうちに、シェフから失敬したビールのせいか、うとうと眠ってしまいました
気づくと、いつの間にかママさんが私の頭をお膝にのせて、撫でてくれていました
「ママ」
「めいちゃん、お帰り。よう帰ってきたなあ(^^)」
ママさんは、私がそこにいるのがさも当たり前のように笑っていました
「ママ、びっくりしいひんの?死んだ私が帰って来ても」
「何言うてんの?去年も帰ってきたやんか。私もさっきあんたの顔見るまではすっかり忘れてたけど『ああ、お盆なんや。めいちゃん帰ってきてくれたんや』って思い出したんよ」
「去年帰ってきたときは、お父さんびっくりして階段踏み外すし、私はビールひっくり返すし大変やったやん(^^)、今年はもうびっくりしいひんよ。めいちゃん、ゆっくり寝ててええんよ」
そう言いながらママは静かに背中を撫でてくれました
でも私は、撫でているのとは反対側の畳についているママの手の上に、涙がポタポタと落ちたのをしっかり見てしもうたけど、見いひんかった振りをしました
しばらくするとパパさんも帰って来はりました
「めいちゃん、お帰り」
パパさんは、私と抱き合って再会を喜んでくれました
そしてママさんに気づかれないように洗面所へ行って涙を拭いてはりました
「めいちゃん、お父さん、ご飯の用意できたよ(^^)/」
「おーい、オレよりめいちゃんが先に呼ばれるのかよ^^;」
夕食のテーブルには、なんと私の席が用意されていました
私はまるで人間のようにイスに座りました
「はい、めいちゃん、グラス持って(^^)」
ママさんは、私のグラスにビールを注いでくれました
「そしたら、めいちゃんとの再会を祝って!!」
そうパパさんが言うと
「乾杯~ぃ(^O^)」
「めいちゃん、1年ぶりのビールはおいしいか?」
ママさんがそう聞くので、私は向こうでシェフのビールを飲んだとは言えず、
「プハーッ、やっぱり1年ぶりはおいしいわぁぁー」
って言って、3人で大笑いしました
次の日から、ママさんは私に食べさせようと色々ごちそうをつくってくれたり、お菓子やアイスを買ってきてくれたりしました
「お前がそんなに食べさせたら、めいちゃんがまたおデブになってしまうやないか」
と、パパさんは心配顔です
大丈夫よパパさん、いくらおデブになっても向こうへ帰ったらぷぅちゃんに耳を引っ張って貰うたら、すぐに元に戻るんやで(*^_^*)
それから3人で、宇治川の花火大会に出かけました
この世に生きていたときは大きな音が嫌いやったけど、今こうして見てみると、音も豪快やし、あんな大きな花火をドーーンと上げるやなんて、まるで虹の橋の向こうの世界みたいやわ
すごいなあ
花火の間、私はずっとママさんと手をつないでいました
ママは、花火が1つ上がる度に
「ほら、めいちゃん見てみ!」
って指さしてくれます
その度に私は
「ほんまやぁ、きれいやなあ(^^)/」
って言いながら見上げました
ママさん、パパさんとの楽しい日々はあっという間に過ぎました
パパさんが言ったとおり、おいしい物をよばれ過ぎて、私は生きていた時みたいにおデブちゃんになってしまいました(*^_^*)
いよいよ、今夜は大文字五山送り火の晩です
「めいちゃん?」
「なに?ママ」
「去年あんたが帰って来たとき、私泣いてばっかりであんまり話、出来ひんかったやんか?」
「うん」
「あんたが帰った後で、あんたに聞きたかったことがあったのを思い出したんよ」
「何なん?」
「めいちゃん、何で前の日まで元気やったのに、急に死んでしもたん?ほんまはしんどかったのに、ママに気ぃ使わしたらあかん思うて、黙ってたんか?」
「何や、そんなこと考えてたん(^^)」
「ママ、あれはね。私の寿命やったんよ(*^_^*) 生きている者はいつか死ななあかんねん、それがいつどこでどんな風に来るかは、誰にも分かれへんのよ」
「…」
「急に死んだからママは、びっくりして悲しい思いをしたと思う。でも、あの時が自分がこの世での使命を終えた時やったんよ」
「使命って?」
「使命って言えるかどうか分からへんけどね…。私はこれまでも何度もこの世に生まれては死んだんよ」
「…」
「けど、今までは人間にいじめられたり、実験に使われたりして、生まれて良かったなんて考えたことは一度もなかった。前回、ママと暮らし初めて、私は人間ってほんまはやさしい生き物やと、ようわかったん」
「…」
「それで、『ママさん、ありがとう。めいはもう十分に幸せやったよ』と、手を合わせた途端、自分の目の前に虹の橋が現れて、向こうの世界へ行ったんよ」
「(T_T)」
「ママに会わへんかったら、私はいつまでも人間を憎んでたわ。ママ、ほんまにありがとうね(/_;)」
「何…何言うてんの…(T_T)。お礼を言わなあかんのはこっちやないの(/_;) なあお父さん」
「(T_T)そうや、めいちゃん、おおきに、ありがとう(T_T)」
「ほな、私そろそろ向こうへ還るわね(T_T)」
「また来年おいでや、絶対(T_T)」
「当たり前やん、でもな、ほんまは毎日ここに来てるのんよ」
「ほんま?けど、私らそれが見えへんのよ。それにお盆が過ぎたら今日までの事も私らは忘れてしまうやろ?それが寂しいんよ(T_T)」
「大丈夫やで(^^)応援してるから。私がいつもそばにいる証拠に、この夏一度だけ虹の橋の輝きをママに見せてあげる。気づいてや(^^)/」
「…ほんま?ほんまに虹の橋を見せてくれるのん?」
「大丈夫(^^)/。ほんなら元気で暮らしてや」
「めいちゃん(T_T)…、さいなら…、あんたも元気でなあ(T_T)」
私のソファの後ろからは、勢いのいいひこうき雲が出始めていました
私は、ママさんから貰うた持ちきれないくらいのお土産をソファに積みました
「ママ、行ってきま~す」
「めいちゃーん、元気でねぇぇ(^^)/~~~」
「おおきにぃーっ、ありがとうーーっ、ママーーッ」
「めいちゃーん、ありがとーーーっ」
ソファはゆっくりゆっくり浮き上がりました
そして懐かしいお家の上を回りながら、上へ上へと昇って行きました
つづく(^^)/
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