2005/11/12(土)21:41
ポゴレリッチに吐き気をもよおす。
10月23日は忘れられない日になりそうです。
二つ、お楽しみがありました。
昼間は、建て替える我が家の打ち合わせで素晴らしい現場見学会を訪問してきまし
た。
そして、夜。サントリーホールでのポゴレリッチのリサイタル。
今回の来日(アジアツアー)での唯一の日本公演ということもあり、期待度ムンム
ン。
演目は昨年ニューヨークでも演奏されたという曲目で、アンコールにはイスラメイも
飛び出した、などとうわさを聞きました。
この時の評論では、前半かなりの時間をかけてのおどろおどろしいベートーヴェン。
後半は持ち直し(?)、素晴らしい演奏を披露した、みたいなコメントを読んだ記憶
があります。
サントリーホールに時間を過ぎて着いたにも関わらず、群集がホールに入らず待って
いました。
「もしや、得意のキャンセル??」
と頭をよぎりましたが、10分そこそこ過ぎた頃に、普通に人の流れが流れ始めまし
た。
座席は、最前列の手の動きが見える、なかなかの良席。これまた期待度ムンムン。
ポゴレリッチが登場する際は、舞台の照明が非常に暗く、顔が判別できないくらい。
スキンヘッドのポゴレリッチがロナウドに見えました。がたいが良く、青白いモヤシ
青年のイメージがあるショパンコンクールの頃の写真とはまったく違いました。
プロレスラー、用心棒、といった風体です。
ショパンのノクターン、間延びした感じで何の曲かまったくわからず。
2倍の時間をかけたでしょうか。音は物凄く丁寧に扱っており美しい。
「普通に弾いてくれれば・・・」
ショパンのソナタ。緩叙部分が同じく間延び・・・。2倍くらいの時間を費やした印
象。
2~3楽章は熟睡させていただきました。
4楽章は何とも激しく、汚い音。ピアニッシモをあれだけ美しく奏で、強弱の移り変
わりも申し分ない神経を使った演奏なのに・・・。
後半のスクリャービンの4番は、唯一我慢して聴けました。元からして神秘的な曲で
すので・・・。
ラフマニノフの2番もショパンソナタと同じ印象。緩叙部分は間延びして、ホロ
ヴィッツが「爆弾」と言った面影、無しです。
3楽章は、絨毯爆撃のように激しく、汚く・・・。
興奮する人もいるもので、5人くらい、「ブラヴォー」と叫んでいました・・・。
そして何度も舞台に呼び戻されるものの、アンコール無く、帰っていきました。
私の感想は、ロマン派の美術館に行ったものの、現代アートを見せ付けられた、そん
な印象です。
あれだけ間延びしますから、みんな息を潜めて緊張して聴いています。
有名曲だけに、みんな期待しています。
そして、緊張感と演奏両方に我慢できず、吐き気をもよおします。
演奏途中に退出した人が多数いたことに驚きましたが、私もそう感じた一人です。
こういうピアニストはこういうセンスで弾いていますし、クラシック界に何か真新し
いものを求める聴衆、評論かも飛びつくかもしれません。
ただ私には、グロテスクな宗教的行事に感じられました。
これからはピアノのまわりに蝋燭を立てて演奏するのではないか・・・。それほど嫌
悪感を抱く演奏に感じられました。
(退出しなかったのは、12000円だったことと、アンコールでイスラメイでも・
・・、と期待していたためです)
時を同じくして、ショパンコンクールでブレハッチが優勝。
音が美しく、正統派ピアニストです。
本選に出場できなかったポゴレリッチとついぞ比較してしまった、そんなコンサート
でした。