営業マンの備忘録

2010/06/07(月)17:54

ツィメルマン@サントリー(Aプロ 2010年6月3日)

ピアノ(185)

ショパンイヤーにツィメルマンのオールショパンプログラム。 期待を持てるではありませんか。 AプロとBプロがあり異なるプログラムだというので、取り急ぎ両方のチケットを取りました。 すると、曲目はこんな感じ。 === (Aプロ)2010年6月3日(木) 19時開演 サントリーホール (Bプロ)2010年6月10日(木) 19時開演 サントリーホール どっちも一列目センター左の方。 ≪Program A≫ ショパン:ノクターン第5番 嬰ヘ長調 Op.15-2 ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」  ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31 ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58  ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60 ≪Program B≫ ショパン:ノクターン第5番 嬰ヘ長調 Op.15-2 ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」  ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31 ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58  ショパン:バラード第4番 ヘ短調 Op.52 ※当初、東京3公演は異なるプログラムになる予定でしたが、本人の強い希望により、   上記のようなプログラムと決定致しました。何卒ご了承下さい。 === 異なるプログラムを期待して買った私がアフォってこと?? 本人の強い希望(わがまま)を変えるのがプロモーターってもんなのだが。 要は、大曲(ソナタ2曲)を交えたプログラムにしたので、それ以外に手が回らなかったのね。 ほんとなら、ポーランド人のマズルカやポロネーズ、ワルツやプレリュードなどなどを期待していたのでした。 これで内容がヘトヘトならおじさん怒るよ!! ■レビュー 相変わらず日本中を巡り数多くの演奏会を予定している。 ツィメルマンといえば、ちょっと手抜きな演奏とガチンコのメインの同居する、ややもすると不真面目さんという印象があった。 幸いしたことはカメラ(テレビかな?)が入っていたこと。 今日はアンコール無し、本プロに渾身の演奏をしたと思う。 ノクターン、ちょっとピアノが湿っていたか。ただ精度の良い調律に好感。まぁ無難な印象。 ソナタ2番は会心の演奏。前回公演もそうだったが、音のメリハリに気を配っている。 特にmfでもffに感じられるような弱音との対比。 なかなかできるものではない。 ツィメルマンってこんなに手に汗握るピアニストだっけ?と感じる、本人の集中力。 一楽章は拍手が起きるかと思った(実際に起こったユンディも快演だった)。 二楽章も一楽章の流れを保った好演。 三楽章にはちょっと違和感が残った。 具体的にいうと、軍隊が大統領の棺を掲げ、足高に行進しているかのような突っかかり。 テーマの2拍子が正確に刻めておらず、たまに(主にペダルを放すタイミング)フレーズに間が空いてしまうことがあった。たまにというより、しばしば。 中間部の左手の4音もスムースではなく、なんかギクシャクした感じ。 北朝鮮のパレードで、足を上げた行進が、カツ、カツ、ではなく、カッカツ、カッカツ、とぎくしゃくしているような感じである(って、伝わるかなぁ)。 四楽章のユニゾンは左右しゃべりあうというよりも、早口でもにょもにょしている感じで進んだ。 まあ、そんなところを除いては、ツィメルマンの境地を覗いた気分である。 スケルツォ、会心の出来。これは手に汗握った。 テーマとそれに続き第二テーマの勢いが抜群に良い。 中間部、ちょっとかったるい箇所もあったがほんの一部。 クライマックスも低音をきかせ(こんなに低音を意識する人だとは思わなかった)、アップテンポで終了。 休憩後、ソナタ3番。これはちょっと凡庸か。 四楽章の中盤以降の出来は抜群だった。スケルツォのときと同じく、低音を意識し、テンポもアップテンポに。 ツィメルマンの意地を感じた。 舟歌は出だしを大きめに右手で捉え、元気にはじめる。 中間部ちょっと元気すぎないか?という箇所もあったが、そのままの勢いでクライマックスへ。 しかし内容はそこそこの印象。ちょっと聴き疲れの出やすい舟歌。 今日の特徴として、クライマックスがアップテンポで元気に終わる傾向にあった。 あのクールなツィメルマンが、と感じたものである。 個人的には、舟歌はブレハッチ。彼の冒頭の低音だけで全体が見渡せる。 今年聴いた中ではベレ様の演奏はメリハリが足りなかったが、ツィメルマンは弱音と強音をあえて対比させる演奏だった。 という演奏会でアンコール無し。結構、タフに弾いていたと思うので、それも理解できる。 願わくば、Bプロ。舟歌⇔バラードだけの違いなので、チケットは売りに出そうかと思う・・・。 全体的にツィメルマンの本気度合いを探ることのできる渾身の演奏会だった。

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