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2005.03.15
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カテゴリ:今日のつぶやき
郵便局へ行ったら、カウンターに沈丁花を活けた小さな花瓶が置いてありました。
どなたが切ってこられたのか、ほんの一枝だったけれど、えもいわれぬいい香りが小さい郵便局の室内に広がっています。
用事を済ますわずかな間、とても幸せな気持ちで過ごしました。

買い物の行き帰りに、ご近所で紅白の梅が見事に咲いているお庭があって、今週が一番の見頃のようです。
車で移動するのは便利だけれど、歩く早さでなければ目に入ってこないものも、確かにあるのですよね。

ふだんは、人目につかない植え込みだったり立ち木だったりするのが、年に一度、ありったけのつぼみを咲かせ、香りをつけて「私を見て!見て!」と言っているかのような花たち。
目の前の予定を片付けていくことで精一杯になってしまいがちな私たちに、「春が来たよ」と教えてくれる、けなげでありがたい存在だと思います。

この季節になると、音楽の教科書に載っていた、大好きな歌を口ずさみたくなります。

♪花の街
     七色の谷を 越えて
      流れていく 風のリボン
     輪になって 輪になって
      駆けていったよ
     春よ春よと 駆けていったよ

この歌の作詞をされた、江間章子さんがお亡くなりになったことを今朝の新聞で知りました。

「花の街」の作曲者で、随筆家としても有名な團伊玖磨さんの「パイプのけむり」というエッセイ集が私は大好きなのですが、その中で、團さんが江間さんに、中国のお土産をもらった時のことが書いてある一文があります。

***

 『紙包みの中からは、褐色の石の立派な印材が出てきた。
 「お名前を勝手に彫らせる訳には参りませんでしたから、花の模様に致しましたわ」
  材には梅の花が咲いている模様が刻ってあった。
 「季節の、中国の花を有難うございました」
  僕は嬉しさを胸一杯に感じながらお礼を言った。そして、江間さんらしい美しいお土産だと思った。』
         (朝日新聞社「も一つパイプのけむり」収載「印」より)
***


母が愛読していたこの本を、自分で読んだのは中学生の頃だったかと思います。
そして、ちょうどその頃、音楽の時間に「花の街」という歌に出会い、教科書で「江間章子」「團伊玖磨」という名前を見てビックリしたのでした。
あんなに美しい歌を作った二人は、やっぱり素敵な大人だなあ…と、感激した思い出があります。

すでに、作詞家も作曲者も故人となっていまいましたが、これからも、梅や沈丁花の香りが街に漂いはじめる季節になれば、私はこの歌を口ずさみつづけることでしょう。





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最終更新日  2005.03.15 22:00:52
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