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2007.12.14
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カテゴリ:今日のつぶやき
来季からJ2に降格する横浜FCは14日、元日本代表MFの山口素弘(38)が現役を引退すると発表した。山口は横浜FCから契約を更新しないことを通告されていた。

 群馬県出身の山口は前橋育英高-東海大から、日本リーグ時代の1990年に全日空でデビュー。プロ化後は横浜F(当時)名古屋、新潟でもプレーし、J1で362試合、J2では106試合に出場した。

 日本代表では98年W杯フランス大会など国際Aマッチ59試合出場で4得点した。

(本日付ニッカンスポーツ・サッカーニュースより)


このニュースの文面を見て、サッカーファンでもないのに、山口という選手の顔をすぐに思い浮かべられるという人は少ないでしょう。

でも、私にとっては、どんなスター選手よりも夢中になって見ていた、心の底からうっとりとプレーを眺めた、大好きで大好きで、少女のように憧れ続けた人でした。

増島みどりさんのサイトその他で、選手としての功績と引退会見の様子が見られます※

Jリーグ発足当時、地元・横浜に二つあったクラブチームのうち、「地味な方」扱いだった横浜フリューゲルスのファンになったのも、試合を見に行った三ッ沢で、山口選手に一目惚れしてしまったからでした。

あれから、干支が一回り以上、ワールドカップが3大会以上。
世紀をまたいで、長いようであっという間の歳月…

その間、サッカーというスポーツの魅力に憑かれた一人として、数多くの試合を観戦してきました。
思い出深い体験は、いくつもあります。

その中でも、フリューゲルスというチームが優勝と同時に消滅した、1999年の天皇杯決勝は、今でも鮮烈に覚えています。

予選を勝ち上がっていき、強豪を破るにつれ、フリエを取り巻くマスコミの論調も熱を帯びたものになっていきました。
予定調和の悲劇をドラマチックに修飾し、Jリーグの危機をことさらに煽る論調は、見ていて気持ちのいいものではなかったと記憶しています。

怒りに震えつつコメントする選手の姿は、格好の被写体になっていましたが、当時キャプテンだった山口選手だけは、常に淡々と
「試合に臨む気持ちは、今までと別に変りありませんから」
とクールに答え続けていました。

その彼が、表彰台にあがり、金色に輝く優勝杯を受け取る。
そして、チームの全員がメダルを受け取ったあと、貴賓席の手すりへと躍り上がりました。
彼が杯を頭上に掲げた瞬間、スタンドの私たちも、歓喜を爆発させました。

あのひとだって、悔しさや怒りを胸に秘めていたのだと、当たり前のことだけれど、やっと気づきました。

それでも、サッカーを愛する者として、グラウンドではあくまでもプレーのことだけに忠実でいたかったのだ。フリエの主将であることに集中したかったのだ。今までと同じように。そして出来ることならこれからも…

今、試合が終り、単なる一選手に戻って、彼が笑っている。子供みたいに。
もっともっと、はしゃいでください。喜んでください、バカみたいに騒いでください。山口だけじゃなく、チームの皆に、それが許されるだけの権利がある…

ウィニングランを見つめながら、そんなことを考えていたのが、まるで昨日のように思いだされます。

延々と続いた喜びのセレモニーも終る時が来て、サポーターに精一杯手を振って、選手達がピッチを去っていく。もう叫び声も届かない…
そう思ったとき、一人の選手が集団から離れて、スタンドにすぅっと近寄ってきました。

それが山口選手でした。彼は再びキャプテンの顔に戻り、全選手を代表するかのように、深々と私たちに頭を下げて、走り去っていきました。

私の人生に、サッカーとの出会いという素晴らしい扉を開いてくれたきっかけとなってくれた人。

心からありがとうと、お疲れ様と、そしてこれからも、サッカー人としてますます輝き続けていてほしいと…言葉にならない気持ちを、思い出とともにギュっと抱きしめている、今日の私です。あー、熱く語ってしまいました。





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最終更新日  2007.12.14 17:12:13
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