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2008.04.07
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カテゴリ:今日のつぶやき
新年度を迎えて心機一転したわけでもないのに、ここ数日、妙に家事の能率が上がったような気がする。
・・・はて、急に主婦業のスキルが向上した訳でもないのに?と考えてみたら、何のことはない、「ちりとてちん」が先週末で終わっただけのことでした。

確かに、今までは朝の貴重な15分(時にはBS放送も含め30分!)、じーっとテレビの前に座っていた訳ですから。
その上、涙を拭くのにまた時間を取られたりして(笑)

半年間、本当に夢中になってしまったドラマゆえ、未だに、NHKちりとてちん公式サイトの「メモリアル」と題された写真集を見ているだけで、じわぁっと鼻の奥が熱くなってしまいます。

キャストの熱演や凝りに凝ったセット・小道具も好きだったけれど、やっぱりこのドラマに関しては“脚本に魅せられた”、これに尽きます。

巧妙な筋書きの伏線や、落語からの見事な本歌取り・・・
注意深く見れば見るほど、様々な発見が出来るというのは、作り手にとってはある意味過酷な、でも観る側にとってはすごく贅沢なことだったと思います。

でも、それゆえに、最後の最後で「あぁぁ~、これはもったいない・・・」と思ってしまったことも事実。

※以降、ドラマを観ていない方、いつかDVDで観てみようと思われている方には、訳がわからないorネタバレの嵐の記述となりますので、ご留意ください※


ちりとてちん 完全版 DVD-BOX 1 苦あれば落語あり


そう、ラスト二話の急展開、若狭の「落語家やめます」という選択。

「ちりとてちん」関連のネットの掲示板も、賛否両論の真っ二つ、大論争になっていました。

このドラマ、私は観ていて

「こっちの人の気持ちもわかるし、そっちの人の気持ちもわかるし、でもどうしてそれが、お互い傷つけたり傷つけられたりしちゃうんだろうねえ」

・・・と、何度もそういう思いを抱かされました。それが切なくて、だからこそ、双方の思いが通じた時には感動して。

家族や師弟や友人、様々な人間関係の中で生じる悩みを描きながら、単純な善玉と悪玉との二項対立にしない。
そんな細やかな脚本が、突拍子もない笑える展開の中で、確かなリアルさを見る側に伝えていたと思うのです。

だから、若狭塗り箸になぞらえて繰り返し語られた名セリフ

「悩んだことも、落ち込んだことも、いつかきれいな模様になって出てくる」

というのが、すごく真実味を帯びて伝わってきたんだと・・・


でも、この脚本家さん、どうも主人公の喜代美=徒然亭若狭に関しては、その心情描写がすごく大雑把に飛躍する時があって、「何でそういう行動(発言)に?!」と目が点になったこともしばしば。

それが、最後の最後でまた出てしまったか・・・という意味での、先述の「もったいない!」でした。

私自身は、スポットライトを「当てる側」にいて、「浴びる側」に根深いコンプレックスを抱き続けた喜代美が、紆余曲折を経て「浴びる側」に立てました・・・めでたしめでたし、という展開で終わるのは、朝ドラの“お決まりのパターン”を続々打ち破ったこのドラマには似合わないようにも思っていました。

“徒然亭の落語を、師匠の落語を受け継いでいきたい”

若狭が、いつもいつも口にしていたその思いは、高座に立つことを辞めても、草々のおかみさん業、またひぐらし亭という常打ち小屋の管理(ひぐらし亭の席亭ってそういえば誰なんでしょう?草々夫妻は住込みの管理人なのでしょうか、その辺りのこともよくわかりません)に「職種変更」することで持続されていくんだな、と感じました。

草若師匠は、一人の落語家としての若狭を大きくしようと、創作落語というヒントを遺してくれた。
けれど、彼女は最後には、若狭個人の存在よりも、徒然亭や上方落語の伝統そのものを大きくしていく道を選んだ・・・のかな?と。
この辺りは、最終週の土曜日、6話分をBSで一挙に見てみて、改めて感じたことなんですが。(朝の放送を細切れに見ていた時は、正直あっけに取られるばかりでした)

縁の下の力持ちになって、大好きな落語の世界を支えて行くという、若狭の決意。
これを「お母ちゃんみたいになりたい」という、言うなればこのドラマの最大の伏線回収のセリフに込めてしまったこと。
そして、怒涛の勢いで、彼女の出産シーンでドラマを終えてしまったことで、専業主婦礼賛とか、少子化対策の国策ドラマとか、いったいどこをどう見たらそんな感想になるの??と驚いてしまうような言葉が掲示板に並ぶ事態になってしまったのは、もう本当に残念でした。

元から落語が好きで「ちりとてちん」を楽しんでいた方にとっては、落語家としての修業を結果的に投げ打ってしまったことは、やっぱり面白くないというか、落語への冒涜のようにも取れる展開でしょうね。

落語は、一人でやるものじゃない。
落語家は、長い間受け継がれてきた、伝統という大きな流れの中にいる。

・・・そういう素敵なセリフだって数々出てきたのだから、高座でのいきなりの引退宣言というのはどうにも受け入れがたいなぁ、と、その後のお母ちゃんへの“謝罪と感謝”のシーンでは号泣してしまっただけに、私も、今もって複雑な思いなのです。

まぁ、それだけ、一日15分のドラマに元気や感動をもらって、強い思い入れを持っていたということですね。受信料の払い甲斐を感じた半年間であったことは、確かです(笑)

若狭塗箸、小浜という街、そして何より上方落語。
ドラマが終わってしまっても、色々な興味の対象を残してくれて、これからも私の中で様々な「ちりとてちん効果」が生まれるような気がすることは、素直に喜びたいと思うのでした。

【そういえばもう一つ、素晴らしいサントラもドラマの魅力を支えてました】


ちりとてちん オリジナル・サウンドトラック





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最終更新日  2008.04.07 23:24:10
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