2011/04/26(火)12:11
予防的なヨウ素のことで・・・
前々回の日記で、ニモさんが『ヨウ素』の情報を探していらしてたと伺い、
今回は予防的なヨウ素のことを少し書いてみようと思いました。
飲料水中の放射性ヨウ素カウントが心配されるようになり、子供達の甲状腺被曝を何とか防ぎたいと、どの親も思っていることと思います。
甲状腺が放射性ヨウ素で満たされる前にヨウ素で満たしておくのが良いのですが、
安定ヨウ素剤(ヨウ化カリウム;KI)は現時点では数も足りずなかなかもらえないことでしょう。
予防目的ではなおさらです。
放射線医学総合研究所では、
「『安定ヨウ素剤』を医師が処方するものです。原子力災害などの緊急時に、 指定された避難所などで服用指示があった場合のみ、服用してください。 」
「ヨウ素を含む消毒剤などを飲んではいけません」
「わかめ等の海藻にもヨウ素が含まれますが、これらも効果がありません」
などと書かれた文書が公開されています。
http://www.nirs.go.jp/data/pdf/youso-3.pdf
では、私たちはどのようにしてヨウ素を摂取したら良いのでしょうか。
ほんとうに、食品のヨウ素では全く効果がないのでしょうか??
いいえ、そんなことはないと私は思っています。
甲状腺被曝を防ぐヨウ素の摂取は、食品からでも充分可能であり、
日本人ではコンブ等を摂取する食生活により放射性ヨウ素の取り込みが少なくなることが論文で報告されています(Nagataki, S. The role of iodine in thyroid disease. In: Current problems in thyroid disease, 1985)。
http://www.nsc.go.jp/bousai/page3/houkoku02.pdf
この原子力安全委員会の公式資料「原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について 」5ページ目に、
『我が国においては、医療現場などでの放射性医薬品であるヨウ素の服用による知見等から、日常の食生活において、コンブ等からヨウ素を摂取する頻度が高いため、放射性ヨウ素の甲状腺への取込みは少なくなることが知られている』
とあります。
この資料中17ページには『ヨウ素含有食品等による効果について』も記載されています。。
『コンブ乾燥重量100 g 当 たり、100~300 mgのヨウ素を含んでいる。その他、ワカメ7~24 mg /100 g乾燥重量、ヒジキ20~60 mg/100 g乾燥重量、海産魚類0.1~0.3 mg/100 g生重量である。』
とあり、ただし、
『ヨウ素含有量が多いコンブ等の食品を摂取することにより、放射性ヨウ素 の甲状腺への集積を抑えることについては、
・コンブでは、大量に経口摂取した上で、咀嚼・消化過程が必要でヨウ素の吸収までに時間がかかり、かつ、その吸収も不均一である
・コンブの種類、産地など、それぞれのコンブに含まれるヨウ素量は一定ではなく、その必要量を推測することは極めて困難である
・対象者が、集団的に、迅速にコンブからヨウ素を摂取することは現実的に困難である 』
とあります。
治療などのために、迅速にヨウ素を大量摂取したい場合は不向きかもしれませんが、私は、予め継続的に摂取しておくには有効であると考えます。
安定ヨウ素剤では、どのくらいのヨウ素を摂取すれば有効なのでしょうか。
それについても、上記文書中に記されています。
『成人では、安定ヨウ素剤として 広く用いられるヨウ化カリウムの製剤は、少なくとも30mgの服用量で、放射性ヨウ素の甲状腺への集積の95%を抑制することができる(文献:34)。
放射性ヨウ素が吸入あるいは体内摂取される前24時間以内又は直後に、 安定ヨウ素剤を服用することにより、放射性ヨウ素の甲状腺への集積の90%以上を抑制することができる(25,26,27,28,34)。また、すでに放射性ヨウ素が摂取された後であっても、8時間以内の服用であれば、約40%の抑制効果が 期待できる(34)。しかし、24時間以降であればその効果は約7%となることが報告されている(35)。また、この効果は、安定ヨウ素剤服用後、少なくとも1日は持続すること が認められている(25)。・・・』
等の記載があり、ヨウ化カリウム(KI)では30 mgの服用で有効であることが分かります(40才未満の成人)。
我が国における予防服用量は:新生児 12.5 mg (KIで16.3 mg )、生後1ヶ月以上3歳未満 25 mg (KIで32.5 mg )、3歳以上13歳未満 38 mg( KIで50 mg )、13歳以上40歳未満 76 mg(KIで 100 mg )ですが、KI 100 mgではなく上記30 mgで効果的であるという報告です。なお、40才以上は発症率の少ないことから適用外です。
コンブ乾燥重量10 gあたり10~30 mgのヨウ素を含むわけですから、消化吸収が不均一ではあっても、努めて摂取すれば少しは違うと考えられます。
なお、うがい薬などについては、資料の中に、
『各家庭にあるヨウ素を含むうがい薬や外用薬は、経口服用目的には安全性が確認されておらず、また、ヨウ素含有量が少なく、原子力災害時における放射性ヨウ素の甲状腺への集積を速やかに抑制する効果は乏しいため、これらのうがい薬や外用薬を、安定ヨウ素剤として、使用してはならない。』
とあります。
うがい薬は、もちろん飲用ではないので飲んではいけませんが、
イソジンガーグルには、有効ヨウ素量は1mLあたり7 mgだと記載されています。
通常は、約2~4 mLを水60 mLにうすめて使用しますので、一回のうがい液では有効ヨウ素約14~28 mg/62~64 mLとなります。
決して飲まないことを前提に、濃いめのイソジンで頻繁にうがいを行うことは、悪いことではないと思います。
こんなわけで、うちは、昨日も今日も、大きなコンブをのっけて米を炊いています!
これが、おいしいんですよぉ!ごはんがおいしくなる!
ごはんが炊けた後やわらかくなったコンブまで刻んで食べてます~~。
水は、ミネラルウォーターが大量増産されるそうですから、近いうちにたくさん市場に出回ることになるでしょうね。