VIVA L'ALLEGRIA !!!

2005/09/11(日)22:57

食べたい時に食べる

妊娠日記(34)

 数週間前に近所を歩いていると、裏手に住むイタリア人の若いお母さんが乳母車を引いているのに出会った。 このお母さんはいつも感じが良く、出会うとお喋りに花が咲く。 ふと乳母車に乗った赤ちゃんを見ると、にこにこしながら口をもぐもぐさせて何かを食べている。 私が「おいしい?」と思わずにっこり笑いながら赤ちゃんに問いかけると、お母さんが慌てて、「ごめんなさい、全然気がつかないで!フライドポテトなんだけど、食べる?」とポテトが入った紙袋を差し出した。 特別お腹が空いていなかった私は慌てて「いいえ、どうもありがとう。」と言って辞退したのだが、その後赤ちゃんを見つめる目が余程物欲しげに見えたのか、お母さんは私に2度も 「ポテト、食べる?」 と聞いた。 随分何度も聞くんだなあ、とさすがに不思議に思っていると、彼女は私が変に思っているのを察したのか、 「妊娠中には食べたい物を食べないと大変なことになるから・・・」 とごちょごちょ言いながら説明してくれたのだが、その時の私には説明の意味がよくわからなかった。 『きっとたくさん食べて赤ちゃんに栄養をつけてねと言う事を言いたかったのだろう』と勝手に解釈をしてその時はそのお母さんと別れた。  時は昨日の山での夕食にうつる。 ダーリンの家族との楽しい夕食も終わり、デザートに入ろうかと言う時にダーリンのパパがダーリンと私に「チーズ食べるだろう?」と聞いた。 私は元からチーズが好きなので異存はなかったのだが、その時にダーリンのパパからこんな話を聞いた。 『妊娠中に食べたい物を食べないと、赤ちゃんが産まれて来る時に食べたかった物が肌に刻まれてくるんだ』と言う。 そして、ダーリンの妹をお腹に身ごもっていたダーリンのマンマは真冬なのにも関わらずとにかく毎日アイスが食べたく、ダーリンのパパはいつも車を飛ばしてアイスを買いに行ったと言う話をしてくれた。 「だからサマンタも食べたい物は我慢しないで何でも食べなさい。例えばこのチーズだって食べたいのに我慢をしたら、赤ちゃんのおでこにチーズの形が貼り付けられて産まれて来るぞ。」とダーリンのパパは怖い事を言うので、その場で私はすぐにチーズを食べた。  その話を冗談話の様にイタリア人の友人にした所、「それは本当のこと」と友人は本気になって答えた。 「海岸に行って赤ちゃんを見たことある?赤ちゃんの腕や皮膚にいちごや食べ物の形が刺青の様に貼り付けられているのはその証拠。」だと友人は言うのだ。  てっきり冗談話だと思っていた私は、嘘から出た真で仮にも私達の赤ちゃんの腕に例えば一昨日食べたかった「いわしの酢漬け」が貼り付けられて産まれて来たらどうしよう!とかなり焦った。 そして、今後は食べたい物を我慢するのは絶対によそうと神にかけて誓ったのだった。  そうした訳で突如「たこ焼きが食べたい!」と思い立った私は、今晩の夕食を即座にたこ焼きにした。 たこ焼きを食べている間、お腹の赤ちゃんは「どんどん!」お腹を蹴りながらかなり嬉しそうだったのでほっとしている。

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