2008/04/21(月)04:40
母の味
数日前に日本の家族から届いた荷物の中に、ひじきが入っていた。
幼い頃、夕食の食卓にひじきの煮物がのっているのを見つけると、
「うぇ~またひじき?イヤだなあ。」
と思ったものだった。
あの黒い細長い形と味がどうしても子供時代の舌になじまなかったのだが、
海外に住むようになってから、ときどき無償に「ひじき」が食べたくなった。
そして、いつの頃からか日本の家族にも
「今度の荷物にはひじきを入れてね。」
と頼むようになるぐらいひじきが好きになった。
今ではひじきが届く度に、切干大根と一緒に煮込んだり、甘辛く炒めたり、炒飯にしたり、といろいろな料理方法で美味しく頂いている。
今日はひじきの「おやき」を作った。
最近、娘のまーやがあまり昼食を食べなくなってしまったので、おやつをたくさん食べる彼女に少しでも栄養があるおやつをと思って作った。
我が家の昼食は毎日「パスタ」である。
イタリア人の夫に合わせてパスタをメニューにしているのだが、毎日ソースの味と具の中身を変えても所詮基本はパスタ。
大人の私でも飽きるのだから、2歳4ヶ月のまーやが飽きるのも無理はない。(と私は思うのだが、イタリア人のダーリンは飽きがこないらしい。)
先日「パスタイヤだ。」とまーやに言われた時には、私の料理の腕がそんなにひどいのだろうか?と真剣に悩んだものだったが、ダーリンに聞くと「美味しいよ。」と言う返事が返ってきたのでほっと一安心。
それでも、パスタ料理ばかりだと栄養に偏りがでてくるような気がするので、ちょっと「栄養が足りないな。」と思った時によく作るのが今回の「おやき」なのだ。
おやきの中身は何でもいいのだが、今回の中身は「青菜と卵の胡麻味」と「ひじきと人参の炒め物」にした。
それぞれ甘辛く煮詰めて味をしっかりとつけたのを、こねておいた小麦粉+お湯で包み、フライパンで両面焼いた。
これが美味しくていくらでもお腹に入る。
海外生活が長くなるにつれて、年々和食の味が恋しくなり、もうこってりとした味付けのものをたくさん食べることができなくなってきた。
ヨーロッパ生活が15年になり、その国の人、文化、言語には慣れても、幼いときから食べていた日本の味だけはいつまでも恋しく思うものだ。
私に取って、母の料理が日本の味。
私の二人の子供達は、イタリアに住み、イタリア料理と和食を両方作る私の味をどう「母の料理」として覚えていってくれるのだろう?