2008/02/05(火)22:25
殺竜事件:上遠野浩平
科学ではなく魔法が使われるという異世界が舞台となっています。
ファンタジー・ミステリとも言うのでしょうか、
あくまでもファンタジーの中での謎解きでしたね。
振り返ってみれば、伏線は、しっかりと書かれていますし、トリックも時間のかけ方は大掛かりと言えそうです。
真相は良くも悪くも、思ってもいないものでした。
戦争状態にある二国間の停戦のため、中立地帯ロミアザルスで調停が行われることになります。
僻地であるロミアザルスが侵略されず中立を守っていられるのはひとえに、そこに住む竜のおかげ。
ところが結界のはられた洞窟の中で、世界最強であり、不死身のはずの竜が殺されているのが発見されます。
「無敵の竜はいかになぜ死んだのか?」 …… その謎をとくため、戦地調停士のEDと、風の騎士として名高いヒースロゥ・クリストフ少佐、女性軍人レーゼ・リスカッセが、竜に面会した人々を訪ねて世界を旅します。
みっつ君さん、くみたんさんのおすすめでしたが、
ファンタジーは好きなので、「竜が殺される」というとんでもない事件の設定にもすんなり入り込めたし、とても面白かったですね。
現実世界とはまったく違う世界を旅する過程において出会うこと、出会う景色、出会う人、様々な設定が楽しめました。
主人公の3人もなかなか魅力的で、それぞれの背景、考えやお互いの関係が少しずつわかってきます。
EDの普段から仮面をつけていて、わからないことをつぶやき、簡単に言えないような過去を持つというキャラクターが、探偵としてはかなり好きなタイプでした。
とても読みやすく、何だかあっと言う間に終わってしまったような気がします。続編を読みたいです。
そういえば、主人公たち以外の7人の人物のイラストが、どれが誰かよくわからず頭をひねりました。
殺竜事件 :上遠野浩平