ミステリの部屋

2006/03/08(水)18:28

レタス・フライ:森博嗣

日本ミステリ(71)

表紙や題名に惹かれたというのもあるけれど、ほとんど衝動的に、何も考えずに読みました。 結果……無謀でした。 【目次】 ラジオの似合う夜/檻とプリズム/証明可能な煙突掃除人/皇帝の夢/私を失望させて/麗しき黒髪に種を/コシジ君のこと/砂の街/刀之津診療所の怪 収録されている9編のうち、5編はショート・ショートです。 私はS&Mシリーズの、3作品しか読んだことがありません。 しかも軽く挫折しかけています。 ところがこの「レタス・フライ」にはあきらかに森作品のファンのために書かれた作品があります。 最初と最後の短編が、Vシリーズ、Gシリーズの番外編になっているらしいのです。 これらを全て読んでいる人ならば、 「ああ、これはあの時読んだあの作品に出てきたあの人だ」 と気づいてとっても嬉しいはずです。 最初の「ラジオの似合う夜」 職場をやめる代わりに、かつての部下である女性が住んでいる国を訪れることになった男、彼女は忙しい合間を縫っていろいろと案内してくれる。彼女から聞いた幾つかの不思議な事件の話。そして、彼自身が実際に遭遇した、美術館での奇妙な事件。 その男が誰なのか、私には全くわかりませんでしたが、この物語の雰囲気は楽しめました。結構好きでした。 ところが最後の「刀之津診療所の怪 」においては、西之園萌絵ちゃんが出てくるものの、その他の登場人物はなじみのない人ばかり。 さらに話のオチまでがちんぷんかんぷん。 楽しめないどころか、まったく意味不明でした。(泣) 過去の作品を読んでいないからといって、ここまで突き放されるのは初めてです。 これから森さんの短編集を読む人は気をつけてください。 (普通こんな読み方をする人はいない?) その他の作品は、結構シュールでした。感覚で理解する文章とでも言うような感じ。 独特の美意識で綴られた透明感のある美しい文章。 そして、基本的には世界観は違うけれど、どこか共感できてしまう部分があるというのを強烈に感じました。 これはいつかリベンジしなくては。 そして、いつぞや「レタス・フライ」で読んだあの人のことだ、と喜んでみたいものです。 ところで題名の「レタス・フライ」とはどういう意味でしょう。 LETTUCE FRY レタスのフライ? 気になります。  レタス・フライ :森博嗣

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