2008/01/07(月)12:18
芥子の花: 西條奈加
上質の阿片が海外に出回り、その産地として、日本をはじめ諸外国から槍玉に挙げられた江戸国。
老中から探索を命じられたのはご存知「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守。
ゴメスは、異人たちの住む麻衣椰村に目をつけるが…。
辰次郎、NY出身の時代劇オタク・松吉、海外旅行マニア・奈美といった面々はもちろん、女剣士朱緒をはじめ新メンバーも登場し、ますますパワーアップした異色時代小説。
(「BOOK」データベースより)
『金春屋ゴメス』(感想)の続編は、期待通り面白かったです。
タイトルの通り、今回は芥子の実からできる阿片が問題となります。
最近 亜細亜各国に出回っている大量の阿片が、江戸国から密輸された物らしいということで、長崎奉行のゴメスが老中から探索を命じられるのです。
病気の父親の面倒をみるために田舎に引っ込んでいた辰次郎は、父親が小康状態となったので復帰してきます。武術を習い、少しだけたくましくなって。
ゴメスもさらにパワーアップしています。迫力あるシーンもありました。
冷酷無比、極悪非道と言われるのも無理はないと思えます。こ、こわい…w
一方背中に寂しさを漂わせることも……。そんな親分を辰次郎はちゃんと見ています。
ゴメスの隠されたエピソードが 少しずつあきらかになっていくところも見逃せません。
前作で、この世界のことは大体頭に入っているので、なじみのあるキャラクターたちが大暴れする姿を、わくわくしながら楽しむことができました。
また、新キャラクターとして、奉行所で働く若く美しい女剣士の朱緒や、探索の過程で知り合う異人の少年サクが活躍します。
島流しや隠密同心との出会いなど、松吉が喜びそうな 江戸らしさを感じる出来事も新たに出てきました。
最後には「江戸国」の存続を揺るがす巨悪の存在もほのめかされますし、この先どうなるのかが、とても気になります。
芥子の花 : 西條奈加