ミステリの部屋

2008/03/15(土)00:29

ソロモンの犬:道尾秀介

日本ミステリ(ま行作家)(38)

幼い友はなぜ、死ななくてはならなかったのか?一文一文から鮮烈な驚きと感動が立ちのぼる傑作ミステリー。 (「BOOK」データベースより) 道尾さんの作品ですから、ダークな内容だと想像するかもしれませんが、表紙のイメージ通りの青春ミステリでした。 読みやすく、ミステリを読まない人でも大丈夫です。 秋内静たちクラスメイト4人は、椎崎鏡子助教授のひとり息子・陽介君がトラックに撥ねられる瞬間に偶然、居あわせます。 彼は突然道路に飛び出した飼い犬に引きずられ 事故にあったのです。 なぜ犬は突然走りだしたのか…… さすがに道尾さん、やっぱり騙されました。それも一度ではありません。 さりげない仕掛けがあちこちに張り巡らされていたのだ というのは、後になってわかります。 子供が亡くなる という悲しい事件は起こりますが、それでも『向日葵の咲かない夏』(感想)のような衝撃作品というよりは、ほろ苦い青春小説のイメージが強かったです。 これまでとまた雰囲気が違うこの作品を、道尾さんは早稲田での講演会で 「書いていて楽しかった。」 と言っておられました。 登場人物の中に、秋内君の大学の先生で 動物生態学者の間宮助教授という人が出てきます。動物についてのさまざまな知識を持っていて、それが事件解決のために役に立つのです。 この先生がかなり変人なので、純情すぎてとぼけたキャラクターの秋内君と二人で 事件を解決するというシリーズがあっても面白そうです。 「自分が読みたいと思うものを書く」という道尾さん、これからどんなものを読みたくなるのか、楽しみにしたいと思います。 ソロモンの犬 :道尾秀介

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