ミステリの部屋

2008/11/15(土)00:11

ハナシがはずむ!:田中啓文

日本ミステリ(た行作家)(28)

世紀の襲名対決!  青春落語ミステリー第3弾 東京vs大阪、世紀の大名跡を賭けた襲名対決に、師匠の梅寿が危篤で更なる跡継ぎ争いまで勃発!?  騒動に巻き込まれながらも落語の腕を上げていくツッパリ竜二から、ますます目が離せない! (出版社より) 動物園/日和ちがい/あくびの稽古/蛸芝居/浮かれの屑選り/佐々木裁き/はてなの茶碗/くやみ 1作目 『ハナシがちがう!』 (感想) 2作目 『ハナシにならん!』 (感想) に続く、笑酔亭梅寿謎解噺シリーズの3作目です。 1、2作目と同じく、題がそのまま 落語の題で、月亭八天さんの解説が付いています。 あくまで金髪モヒカン頭を貫く 主人公の笑酔亭梅駆(ばいく)も、梅寿師匠の内弟子になって、はや2年がたちました。 竜二には落語の才能がある と思うのですが、それが自分ではわかっていません。 だから、時代劇のエキストラをやって 芝居に心が動いたり、途絶えていた落語の大名跡をつぐことになったり、落語をやる気がなくなってきて、地方の演芸場に武者修行に出されたり、まったく落ち着きがありません。 中でも、地方のボロボロの演芸場に修行に行き、一見うらぶれた様子の老芸人たちと出会う「浮かれの屑選り」が、面白いと思いました。 竜二は 決してお利口さんではないので、迷ったり、逃げ出そうとしたり、喧嘩したり、すぐに騒動を巻き起こします。 師匠の梅寿が また酔いどれのおじいちゃんで、暴力はふるうし、ハチャメチャなので、どうなる事かと思います。 それでも、泣いたり、笑ったり、どついたりを繰り返しながら、師匠と弟子の絆は深まっていることがわかり、最後はジーンときました。 このシリーズは、だんだん ミステリよりも人情噺の方に重心が傾いていますが、竜二の成長物語としても 目が離せない面白さになっています。 ハナシがはずむ!:田中 啓文 パソコン上ではわかりませんが、実際は髪は金色です。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る