2009/10/30(金)22:19
十八面の骰子:森福都
今回、ちょっとネタバレしています。
「BOOK」データベースのあらすじからしてネタバレ気味なので、より純粋に楽しみたい方は、この先は読まない方がいいでしょう。
最盛期を迎えつつある中国・宋の時代。
童顔、小柄の趙希舜は、全国を行脚しながら 地方役人の不正を監察する「巡按御史」と呼ばれる秘密捜査官。
身分は隠しているものの 本来は皇帝の名代。
威光は絶大である。
従者に傅伯淵、護衛役に賈由育の二人を引き連れ、各地で起こる奇怪な事件を 次々と解決していく。
中国版「水戸黄門」ともいうべき時代ミステリーの傑作。
内容(「BOOK」データベースより)
十八面の骰子/松籟青の鉢/石火園の奇貨/黒竹筒の割符/白磚塔の幻影
さて、タイトルの「骰子」は何と読むでしょうか?
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答は「さいころ」ですよ~。変換しても「骰子」という字がなかなか出てこず、手間がかかりました(笑)
この作品は、宋の時代の中国を舞台とするミステリです。
あらすじを見ると、漢字が多くて難しそうですが、まったくそういうことはなく、気軽に読むことができます。
その展開は、簡単に言うと水戸黄門です。
主人公の趙希舜は「巡按御史」(じゅんあんぎょし)と呼ばれる皇帝直属の秘密捜査官。
身分を隠して地方に赴いては、役人の不正を暴き、事件を解決するのが仕事です。
黄門様の印籠(いんろう)にあたるのが、皇帝から下賜された勢剣と金牌。
いざとなるとそれを取り出して、「ははーっ」となるわけです(笑)
ただし、趙希舜は立派な大人なのに15歳くらいにしか見えないので、いかにもそれらしく見える、従者の傅伯淵が代わりを務めます。見た目もよく、美声の持ち主でもあります。
さて、もう一人、行動を共にするのが、護衛役の賈由育。髭面で、粗野な元軍人で、傅伯淵とはそりが合いません。
この3人の間が、なかなかに良い感じになっていきます。
彼らの過去もだんだん明らかになるのですが、複雑でいわくがありそうなので、ますます続編が楽しみになりました。
タイトルは『肉屏風の密室』です。響きがすごい(笑)
森福都さんは私にとって、初めて読む作家さんです。
1963年山口県生まれ。広島大学医学部総合薬学科卒。
’96年『薔薇の妙薬』で第2回ホワイトハート大賞優秀賞、『長安牡丹花異聞』で第3回松本清張賞を受賞。
卓越した発想力と独特のユーモア感覚が持ち味で、中国時代ミステリーから現代推理小説まで幅広いジャンルで活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
医学部薬学科卒なのですね。そういう知識が生かされている話もありました。
十八面の骰子