ミステリの部屋

2009/12/17(木)22:18

大いなる救い:エリザベス・ ジョージ

海外ミステリ(サ行作家)(11)

不覚にも、風邪をひいてしまいました。 油断して夜更かしをしたせいかもしれません。 熱はなく、3日で治ったので、大したことはなかったようです。 それでも3日間家にこもっていたので、久しぶりに外出したら、息が切れました(笑) 体力をつけるのは大変だけど、落ちるのは簡単なようです。 さて、今日紹介するのはだいぶ前に読んだ作品ですが、風邪をひいているときにはきっと読めないだろう、というくらい、しっかりした重い作品です。 ヨークシャーの片田舎で、首を斧で切り落とされた農夫の死体が発見された。 そばには自分がやったと呟く娘の姿が… だが、彼女は心を堅く閉ざしてしまう。 捜査にスコットランド・ヤードからリンリー警部とハヴァーズ巡査部長が派遺された。 二人が人間関係の闇の奥に見た戦慄の真相とは? アガサ賞、アンソニー賞、フランス推理小説大賞を受賞したミステリ界の新女王の話題作。改訳決定版。 内容(「BOOK」データベースより) 新潮文庫版、「そしてボビーは死んだ」の改訳版です。 重厚なミステリでした。 舞台も雰囲気も、英国ミステリそのものですが、実は作者はアメリカ人です。 エリザベス・ ジョージは、オハイオ州生まれ。 カリフォルニア大学で英文学を専攻し、シェークスピアを読んで英国文学に目覚めたそうです。 この作品を読むきっかけは、ミステリチャンネルで放送されたドラマ、「リンリー警部 捜査ファイル」。 この作品が第一話の原作なのです。 リンリー警部は、八代アシャートン伯、つまり「伯爵」です。 そして相棒のヘイヴァース巡査部長は、弟を亡くし、病気の親を抱えながら懸命につつましく暮らしている、昔で言うなら平民。 彼女は、日ごろから大嫌いな、上流階級のお坊ちゃんと組まされたことを苦々しく思っていますが、これまで組んだ相手とはトラブルを起こしてばかりだったので、今は嫌とは言えない立場にあります。 女たらしで、鼻もちならないに違いないと、偏見を持って接するヘイヴァースですが、リンリー警部は穏やかな態度を保ち、彼女の観察眼を認めていることもわかったことから、彼女の態度もだんだんと変わっていきます。 話が進んでいくにつれ、リンリーの友人で鑑識のセント・ジェイムズとその妻デボラ、リンリーの女友達のヘレンと、周囲の人たちが、それぞれ複雑な過去を持っていることもわかってきて、主要人物たちの人間関係もこのシリーズの魅力となっています。 親子を扱った、この作品ですが、その結末には衝撃を受けました。 人間の内面に深く踏み込んだ内容なので、犯人捜しよりも人間ドラマが好きな人におすすめします。 かなり重いドラマですが、読み応えがあります。 大いなる救い エリザベス・ジョージ /吉沢康子 ※楽天ブックスでは品切れです。

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