第3章 新選組動く竜馬たちが寺田屋に着いた頃、市中は騒然としていた。「馬鹿者!坂本たちに逃げられただと」 「申し訳ございません、佐々木様」 先ほどの浪人たちに激怒する一人の男が居た。 男の名は、佐々木只三郎である。 京都見回り組でもある彼は、清河八郎を暗殺したことでも知らている。 「して、どちらに逃げたのだ」 「わかりませぬ、おそらくは洛外かと」 「ならば手分けして探さぬか、お前らは全く役に立たん」 佐々木はそう言い放ち、去っていった。 一方、新選組屯所内でもこの知らせで騒然としていた。 局長の近藤勇と副長の土方歳三が話し込んでいた。 「トシ、山崎からの知らせを聞いたか」 「あぁ、坂本が暗殺された話だろ。隊士たちが騒がしくしていたぞ」 新選組は探索方である山崎から知らせを聞いていた。 「噂ではそうらしいが、どうも坂本は暗殺されていないらしい」 「どういう事なんだ局長、説明してくれ」 「実は山崎が屯所へ帰る途中、見回り組の佐々木殿が浪人たちを怒鳴りつけているとこを見たらしい。話の内容を聞いてみると、どうも討ち漏らしたみたいだ」 「しかし、あいつらの捕縛命令は取り消されたはずだぞ」 「まぁ、今の坂本は佐幕倒幕両方から狙われているからな。新選組のその一つだしな」 笑いながら近藤は言った。 先日、二条城城内で近藤たちは幕閣の永井尚志に竜馬たちの捕縛命令を取り消されていた。 しかし、近藤たちは密かに竜馬を捕縛していようとしていた。 なぜならば竜馬を招き入れようとしていたからである。 そして近藤たちは伏見に向かった。 ジャンル別一覧
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