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海と空とDMと・・・

海と空とDMと・・・

DM FIGHT その「ロ」

そんなこんなでDM FIGHTの第二話です。ここはほとんどバトルがないです、いわばキャラクター増加用の内容です。
(でも、所々で現実と混じってたりしてますので・・・)

あ、最後におまけがありますのでご注意を。まよっちぃ~は小説のためならなりふり構いません・・・

では、ごゆるりと^^





=第二話・参上、美少女少女=





 『デュエルマスターズ全国行脚リーグ2008』


 緊急招集!
全国47都道府県にてデュエルマスターズ世界一決定戦を開催。我こそは、と思う強者はもちろんの事、デュエルを始めて間がない初心者の君でも参加資格はあるぞ!
なお、各県のベスト3までに入った3名は、地区大会へと出場できる。そして、各地区大会で優秀な成績を収めた上位3名は・・・東京で行われる全国大会の出場権が与えられるぞ!



=近畿地区・大阪府大会=

開催日 ×月×日 

会場:ABCDホール2階

開催予定時間 
・9時~17時予定




「へぇ、各県で行う大会か。凄い規模だな、いっつもこんな感じなのか?」
栄司と一緒に二人掛けの椅子に座りながら、竜也は大会会場へと向かうバスに乗車している。
「い、いいえ。いつもは東京や大阪等の代表的な・・・県でしか大会は行われないのです。47都道府県でやるなんて・・・は、初めての事です」
バスに揺られ、幾分か顔が青ざめ気味ている英司は説明を続ける。
「なんでも、デュエルマスターズが他のカードゲームより・・・て、停滞気味なので、体制を立て直すとか何とか・・・」
ガタガタ、ゴトン。
「そんな事よりも、大丈夫ですか?」
「俺は乗り物には強いからな。酔い止めの薬飲まなかったのか?」
「乗り物酔いのことではありません・・・うぇぇ」
酔うといって気分が悪くなるなら世話ないな、などと思いながら、竜也は今一度大会広告に目を落とす。
「僕が言いたいのは・・・大会ではプレイミスしないかってことです」
「あぁ、昨日一通りカードを見直したからな。腐敗電脳メルニアとかのブロックされない奴らも覚えたから大丈夫だよ。」
もっとも、俺のデッキにはブロッカーないけどな。
「ウップ・・・ではなく、タップとかも気をつけてくださいよ。でないと中国の象徴動物さんが飛んできますよ」
「・・・それは何の事だ?」
「行けば分かります・・・」




ガタガタガタ・・・




ふと見渡すと、バスの乗車客にも変化が現れてきた。登山スタイルの初老のおばさん達や部活へいく学生の姿が見えなくなり、おおきな背負いかばんやアタッシュケースを持つ客しか乗っていない。
「英司、これみんな大会の参加者か?」
「・・・」
「英司・・・?」
横を見ると、苦しそうな顔をしながら寝息を立てる英司がいた。
眠れば酔いも治るだろう。そう思って再び車内を見渡す。
小さな子供たち、それの保護者、頭のキレそうな大学生、文字の入った鉢巻きをした小太りした男、男性が絡み合っている表紙の怪しげな本を読む女性、誰もが皆おおきな荷物を所持している。
(あれ全部にカードが入ってるのかよ・・・凄いな)
ふと気がつくと、竜也の隣に少女が立っていた。
歳は自分とたいして変わらないだろう。少女も他の者たち同様に、体格とは不釣り合いなかばんを背負っている。
その時、バスの片輪が段差に乗り上げたのか、車内が大きく揺れる。
「おいおい、このバス大丈夫かよ・・・」
悪態をつくと、不意に体が引っ張られる感覚に襲われる。
「・・・?!」
はっと視線を下に下ろすと、先ほど自分の隣に立っていた少女が竜也の裾を持ったまま転んでいるではないか。
「あ、あの・・・」
「ひゃぅ、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
荷物が重いためか、起き上がろうとしているのになかなか上手くいかないようだ。
「大丈夫ですか?」
「あ、あの・・・えっと・・・」
ドンドンと見るに耐えなくなるので、手を貸して少女を起こしてやる。
「あ、ありがとうございます・・・」
「ここ、座りなよ。ちょっと連れが死にかけてるけど」
相当重かったためか、少女は竜也の申し出をすんなりと受けいれてそこに座する。
「あの、ありがとうございます。」
「いいって、少し立ちたかったからな。」
何せここまでずっと乗り物に乗って来ているのだ、体が鈍ってしまいそうな錯覚にとらわれる。
しばらく揺れていると、少女が小さく呟いた。
「あの・・・」
「ん?」
「もしかして、デュエルマスターズの大会に出られるのですか?」
「あぁ、初めてだけどな」
はじ・・・めて?、と少女が復唱する。
「君、なんて名前?」
「え・・・」
しまった、これではただのナンパではないか!
「あぁ、いや、変な意味で聞いてるんじゃあなくて、君の名前なんていうのかなーと思って・・・って、これじゃあ一緒じゃねえか!」
取り繕うほど墓穴を掘っていく達也の姿を見、緊張が解けたのか処女はクスリと笑った。
「ふふっ、面白い方なのですね」
「面白い・・・俺より、えっと」
「申し遅れました、私『日高 亜里沙(ひだか ありさ)』と申します」
「亜里沙ちゃんか。亜里沙ちゃんのほうが面白いぜ」
「ふぇ・・・もしかしてさっきの事ですか?」
亜里沙が泣きそうな顔をするので、話題を変えてみる。
「あ、亜里沙ちゃんも大会に出るんだろ?こういうのにはよく行くのか?」
「・・・大会はたまにしか行かないです。出てもすぐに負けちゃうんですけどね」
「へぇ。でも、デュエルって女の子もするんだな。俺てっきり栄司・・・あ、そこで苦しそうに寝てる奴な。そいつみたいな子供のやるもんだと思ってたからさ」
ちら、と栄司を見ると、幾分か顔色はマシになっているような気がする。睡眠は偉大だな。
「こちらの方も大会に?」
「あぁ、と言うよりも、俺はこいつに引っ張ってこられたようなもんだからな。そいつが主体ってわけさ」
なぜかしきりに感心し始める亜里沙を眺めていると、バスのアナウンスが次の目的地を告げる。
『次は、終点「築港新町」です。』
「ここですね。席、ありがとうございました」
「もう少し座ってていいぜ」
「いえ、知人を見かけたのでそちらに向かおうと思いますので」
そうか、と呟き、栄司を起こしにかかる。
「ほら栄司、目的地だぞ。おきろ!」
「ま、マヨネーズとケチャップは・・・一緒に食べません。だから、許して・・・」
「馬鹿なこと言ってないで起きろ!」
少々強めに揺すり、声も大きめに出す。
「では、会場で会えたらいいですね。さようなら・・・竜也さん」
「おう、次はデュエルしような・・・いい加減に起きやがれっ!」
ぱかん、と小気味のよい音を立てて栄司の頭を叩く。
「う・・・痛い」
「ほら、着いちまったじゃねえか。とっとと降りるぞ」
すでにバスは停車し、乗車客がぞろぞろと降りていくところだった。






「酔いは大丈夫かよ」
「眠ったのでずいぶん楽になりました。それよりタツ君、さっきまで誰と話していたのですか?」
寝ていたのに話し声は聞こえていたようで、少しあきれる。
「亜里沙って子だよ。会場で会えたら紹介してやるから・・・ほら、降りるぞ」
ばたばたとしながらバスから降り、眠そうな栄司を引っ張りながら人工地を歩んでいく。
そんな時、ふと亜里沙の最後の言葉が脳裏をよぎる。


《さようなら・・・竜也さん》


(あれ・・・俺、亜里沙に名前教えたっけ?)
歩きながら考えるが、名乗った記憶がない。これはいったい・・・
(名乗ったから知ってるんだよな。きっと覚えていないだけで、どっかで名乗ったんだろうな)
しばらく思案しながら進むと、大きなビルが見えてきた。

それこそが、竜也と栄司の目的地、ABCDホールであった。






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