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海と空とDMと・・・

DM FIGHT その「ホ」

ゴメンナサイヨー、すっかり忘れていたアルヨー
前置きはこのくらいにして、どうぞー











「すごいなー、したに積んだカードの順番覚えているなんてー」
亜里沙は怪訝にこちらを見るだけで、取り乱すような事はない。動揺して順番を払拭させようとしただけに、万策が尽きた。
(参ったなぁ、動揺のかけらもないよ)
ここで竜也がいたら、セコいことすんな、みたいな言葉をかけてくれるだろうか。
「電脳聖者タージマル召喚、さらに聖豈亜クイーン・アルカディアスに進化。ターン終了だよ」
これで亜里沙のデーモン・ハンドは封じた。少しは凌げるはず・・・
「オルゼキア召喚、互いのクリーチャーを破壊します」
・・・あっけなく壊滅。











私はさっきから話し掛けてくる少年を、記憶している顔と人名から検索している。
強さは中の上、丁寧に話そうとしてるねちっこい話し方。見つからない…
(あ…人違い、してる?)
ならば納得出来ない事もない。若干の不自然さはあるのも納得。
「電脳聖者タージマル召喚、さらに聖豈亜クイーン・アルカディアスに進化。ターン終了だよ」
ウザイ。
検索を急遽やめ、山札の順番を思い出す。
魔刻の斬将オルゼキア、ヤミノサザン、ストーム・クロウラー、転生プログラム、英知と追撃の宝剣・・・
後は山札が尽きないようにロマノフを出せば完了
「オルゼキア召喚、互いのクリーチャーを破壊します」
相手は大分落胆している様子、後は押し切って勝てるだろう。少々時間がこころともないのが気にかかる。
(残り半分を切ったから、このあたりでいいかしら?)
「エナジーライト発動、アクア・スーパーエメラルを召喚して終了」
相手はシールドに何かを入れたが、問題ないだろう。
「蛇眼王ロマノフ一世召喚します。能力を発動せずに終了です」
相手の手札は先程入れ換えたシールドだった一枚のみ、こちらは山札そのものが手札のようなものなので物量差は歴然。
「正直言って、かなりやばいです。山札の中が解る以上、こちらよりも情報量が違いすぎますから」
また話しはじめた。いったい誰と間違えているのやら。
「いやはや、凄い。ドローして終了だよ」
「・・・呪文、ソウルアドバンテージ発動。手札を二枚墓地へ」
落ちたのはアルカディアスと式神ガーデナー。そして亜里沙は仕上げへと駒を進める。
「ロマノフでWブレイク、アタックトリガーで摩天降臨を発動。マナと手札を入れ換えて下さい」
相手の手札は0枚、これでゲームセット・・・











「3、2、1、試合終了!」
会場に再びざわめきが起こる。これで参加人数は当初の分の一に減った。
「残念ながら惜しくも敗北してしまった選手はあちらの出口から退場してくれ、そして現在残っている選手達には大きな拍手を送ろう!」
試合に負けた者達が出口から退出して行く。その中に知った顔を見つけ、竜也は歩み寄る。
「お疲れさん」
「タツくん・・・すみません、負けてしまいました」
疲労いっぱいといった様子で英司が返す。
「じゃ、帰るぜ~」
「何言ってるんですか、まだ閉館の時間じゃないですよ!」
「うっせーな、俺は疲れてんだよ。もういいだろ」
「まだ、もう少し、待って、やぁだぁ!」
「がみがみ言うなよ。もう帰らないと俺のほうがやばくなるんだって」
正直言って、今日大会に来たのも親の反対を押してのものだというのに・・・
「決勝戦まで見せてよ~!」
「ダメだ、帰るぞ!」
未練たらたらな英司を引っ張りつつ、竜也は会場の出口へと向かう。
会場を出た時、太陽に焼かれた暑い空気が喉を刺激する。あれほど騒がしかった喧騒も、今では後ろでさざめいている様だった。
「しかし、今日はいい思い出になったよ、ありがとな」
「・・・さみしくなりますね。お父さんの仕事で兵庫へ引っ越しだなんて」
英司は少し下を見ながら歩く癖を持っている。しかし、今日は大会の余韻が残っているのか、こちらの方に顔を向けている。
「でも大阪寄りなので会おうと思ったら会えます、またデュエルしましょう」
「ん、そうだな。また近いうちに遊びに来ると・・・おもう」
「最後の件(くだり)が気になりますが・・・」











大阪から兵庫への引っ越し。英司に話したのは最近だったが、実は大分前から分かっていたことだ。
兵庫県に住んでいた大親父(祖父)がなくなった後、一人だけとなった大お袋(祖母)を引き取ることになっていた。
最初はこっちの家に来るものだと思っていたのだが、父の仕事場が転勤が兵庫決定、母の仕事先もこちらの方が近いということで引っ越すことになった。
自分の学校も変わり、引っ越した先の地元公立に通うことになっている。
この話を親からされた時、賛成こそしなかったものの反対すらしなかった。今通っている学校に未練が無いわけではないが、大お袋を放っておくわけにもいかない。
自分の意思はほとんど無かった、しかし、全く後悔はしていない。
今となりにいる英司にも会おうと思えば会える、未知の土地に行くという恐怖心や不満感も無い。
(そういえば、大阪から出たことなかったな・・・隣県の知識も無いなんて、ちょっとショックだ)
大阪の中なら縦横無尽に走ることが出来るくらい土地勘がある。それこそ、場所さえ言ってもらえれば大体のところが分かる程。
「電車通学も終わりだ。しばらくは向こうの生活に慣れなきゃいけないから遊びにこれないわ」
「それくらい分かってますってば」
帰りの電車内で、今日の戦果を誇らしげに話す英司の相手も今日の限りで難しくなる。
「それで・・・タツくんはこの後どうするんですか?」
「この後って・・・そうだな。もう荷物は積み終わってるから、夕食を外で食べてから出発だな」
「いえ、それではなくて・・・」
この後のことと言ったのに、何が違うんだ。こいつは相変わらず不思議なことを聞いてくる。
「なんだよ、それじゃなかったら」
「デュエルマスターズを向こうでも続けるのかと思って・・・」
なるほど、納得した。以前、この大会までやると言ったような気もしなくはないからな。
考えてみれば、どうするかは決めていなかった。
もはややり続ける理由もなくなったわけだし、練習相手とも別れるのだから止めるのがセオリーというものだろう。
だが・・・
「やるよ」
今思い返すと、好きでもなかった物を続けられた記憶が無い。勉強や運動は・・・やらないと自分のためにならないからやっているだけ。
となると、やはり自分もこの紙切れに惹かれるものがあるのではないか。それが何かは分からない、きっとくだらない理由のはずなのに。
「齧っただけで終わらせるのも嫌だからな。それに、まだお前に勝ったことがないから」
「練習では勝ってましたよ~」
「む、お前は本気じゃなかっただろ。お前の本気を倒せたら止める。その方が気持ちいいからな」
最後の部分を嫌味たらしく強調し、英司を弄る・・・これももうすぐ出来なくなるのか。
「ほぉ~、ならよかったです。タツくんは一生涯デュエルを続けると宣言したようなものですね。いやぁ、チョロイチョロイ」
「女の子に負けてるような奴にはアッー、というまに勝てるさ」
そして、電車が二人の別れを告げる。
「僕、降りないといけません」
「あぁ、しばらくは会えないけど。元気でいろよ?」
「そうですね。では、タツくんまたしばらくしたら会いましょう」
「しばらくしたら、ね。じゃあな」
先ほどまで隣にいた英司の姿を電車の扉が隔て、背景が後ろに進んでゆく・・・











  『それから半年後』

引っ越しのドタバタも収まった頃に、竜也は某電化製品屋に来ていた。
家庭用ゲーム機が引っ越しの時に昇天してしまったので、それの次世代機を購入する口実を作った。俺よ、もしかしてこころなしか浮かれている・・・?
建物の二階にあるゲームコーナーに向かうと、ちょっと高めのお値段のゲーム機たちが祭り上げられていた。
(あった・・・っと。容量はどれにするかな・・・)
やはり60ギガものがいいのか、それとも低いのを買ってハードディスクを取り替えるか・・・値段的には同じだから悩んでしまう。
取り替える場合にはハードディスクの値段も見ないといけない、そう思って立ち上がった。
「あれ、こんなところにカードが・・・」
棚の横柵に張り付いていた紙切れを取り上げてみた。見たことのある絵柄、文字の配置・・・
(デュエルマスターズカード・・・だと?)
何故電化製品屋にこんなものが・・・と思考したとき、賞品棚を挟んだ向こう側から異様な声が聞こえる。
「少年達、今から修行をかねた実践的な非公認大会を行う。主催者はこの私、Ma,ブシドーだ!」
ブシドー! ブシドー! ブシドー! ・・・
子供達の集団が、一人の目立つ人間にコールしている。いや、あれは人間なのか!?
「ほう、そこの少年も参加したいか。ならば来るがいい、我が最大の奥義を持って相手をしよう!」
話を振られた相手が自分であることに気づくのに数秒かかった。俺、俺なのか?
「・・・え、俺?」
「ふっ、案ずるな、私の名はMa,ブシドー。デュエルマスターズの安泰という運命を背負う者だ」
「ま、まぶし・・・運命?」
「塗し(まぶし)ではない、Ma,ブシドーだ」
手を顔に当て、覆うかのような仕草をするがそれは顔を恥じているというわけではなさそうだ。

強調している。あれは完全に持ち上げている行動だ。
すらりとした体躯にひときわ目立つ、黄色くて両頬が赤い丸で染められたねずみの仮面(お面)・・・ピカチュウのお面を着けたその顔をっ!


「今一度言おう、我が名はMa,ブシドーである・・・ピカピカ」



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