2009/07/03(金)22:33
はなをくんくん
はなをくんくん
静かに雪の降る森の中、動物たちは体をまるめて冬眠中です。野ねずみも、くまも、ちっちゃなかたつむりも、りすも、山ねずみも、みんな目を閉じてぐっすり……。おや? でも、目を覚ましたようです。そして、ちょっぴり寝ぼけまなこで鼻をくんくん、何かに向かって走り出しました。いったい、何が起きたのでしょう……。雪に埋もれた森の中、冬眠から目覚め、次々と走り出す動物たち――。その静から動への変化がページを追うごとに、鼻を「くんくん」という擬態語に乗ってワクワクする気持ちを盛り上げていきます。最終場面では、白と黒だけで表現された雪景色の中にあって唯一の彩色となる黄色が効果的に使われ、春を見つけた彼らの喜びが可愛らしく描かれます。動物たちと一緒に鼻をくんくんさせながら、春を待ち焦がれる気持ちを分かち合いたい作品です。