2013/05/26(日)23:23
火垂るの墓
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終戦間近の神戸。それまで空襲の脅威にさらされずにきたこの街に、突然B29の大編隊が襲いかかった。清太と節子の兄妹は混乱の最中、母親と別れ別れになる。非常時の集合場所である国民学校に駆けつけたが、母は全身火傷で危篤状態に陥っており、間もなく息絶えてしまう。しかし、清太は母の死を妹には教えなかった。家を焼け出され、路頭に迷った兄妹は遠縁の小母の家へ身を寄せることにした。節子は慣れない環境や、つのる母親への思慕から時折むずかることもあったが、清太はドロップを与えるなどして根気よく面倒をみる。最初のうちは何とかうまくやっていけたが、焼け跡から掘り出してきた食糧や着物が底をつき、生活が苦しくなり出すに従って、清太と小母の間にいさかいが絶えなくなってくる。しかも、ただでさえ空襲警報で寝不足の折に節子が夜泣きしたり、妹の面倒をみるのに精一杯の清太が消化活動に参加しなかったりということがあって、小母は二人につらく当たり出した。ついに清太は小母の家を出る決心をする。そして荷をリヤカーに積み込むと、新しい住居の横穴壕に向かった。ままごとのような二人の新しい生活が始まった。ここが玄関、こっちが台所とはしゃぐ節子。枯れ木を集め、ご飯を炊き、目の前の池で田螺を採ったり洗濯をしたりー全てを自分たちの力でやらなければならない。夜は蚊帳の中に螢を放ち、寂しさをまぎらわす。しかし、螢の命ははかない。「なんで螢、すぐ死んでしまうん?」清太に尋ねる節子。実は節子は母の死を知っていた。小母が教えていたのだ。螢の墓を作りながら。「お母ちゃんもお墓に入ってんねやろ」と呟く妹に、清太は返す言葉もなかった。増水した池での鮒釣り、蛙の干物、ロープのブランコ、双葉菜園……苦しいながらも、色々と工夫を凝らした生活はそれなりに楽しかった。しかし、それも始めのうちだけだった。次第に食糧は尽き、節子は栄養失調でみるみる弱っていった。清太は食糧を手に入れるため、空襲で皆が非難している隙を狙って食べ物に換えられるものを狙うようになる。それでも飢えをしのぎきれず、ついには畑で野菜を盗もうとして、警察に突き出されてしまう。戦争が終わった。だが、節子を救うことはできなかった。清太は一人、丘の上で節子を茶毘に付す。そして清太も日を経ずして、駅の構内で力尽きるのであった…。