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狎鴎亭的横濱生活

狎鴎亭的横濱生活

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Nov 1, 2004
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私は一度だけ家出をした事がある。
それは私が小学校6年生の時。
両親が離婚し、父親に引き取られ、母親が恋しくて恋しくて仕方ない時に、父親の再婚話が持ち上がった。
父親の再婚相手が嫌いだったわけじゃない。
ただ父親の再婚は受け入れられなかった。
父親が私に再婚する事をどう思うか聞いた時、私は「してほしくない」とははっきり言えなかった。
父親に悪いと思ったのだ。
だから「わかんない」と答えた。
父親は再婚する事を話しに私の母親に会いに言った時「子供たちは賛成してくれてる」と伝えた。
その時に私の心は決まった。
母の元に行こうと。

私は思ったのだ。
父親はもう私たちを必要ではない。
新しい人と結婚して新しい家庭を作るつもりなのだから。
でも母は一人ぼっちだ。
私たちが傍にいてあげなければ、そう思った。

当時小学校3年生の弟に話を持ちかけた。
毎晩のように母が恋しくて父に隠れてメソメソ泣いていた弟だ。「ウン行く行く!」と何も考えずに即答してた。

計画は慎重でなければならない。
父に分からずに準備し、こっそり出て行かないといけないのだから。
私は帰ってくるつもりはなかった。
だから、向こうの小学校に通うときに必要だと思った学校の道具を全部持っていくつもりだった。
弟の準備もしてやらないといけない。
あれも持って、これも持って・・・毎晩寝る前にはそのことばかり考えて、一人でドキドキしていた。

決行は日曜日、早朝。
父に残す手紙も書いた。
言葉で言えなかったこと、手紙に全部書いた気がする。
その頃、私は自分の思っていることを言えず、全部自分の中に溜め込んでいた。

二人分の荷物は重かった。
朝5時に起きて準備をし、家を出る。
朝の空気は冷たかった。
音を立てずに家を出れた事に、二人ともちょっと興奮気味。
バスに乗って駅に出た。
朝早いせいか、各駅しかない。
終点まで行ってそこから又乗換えだ。
暖房がきいて暖かい車内。
人の少ない車内で弟と二人座る。
最初ははしゃいで窓の外を見ていた弟も、私に寄りかかって寝てしまった。
私もだんだん眠くなる。
でも寝ちゃいけない。
終点に気づかず、又戻ってきたら大変だし、二人とも寝てしまったら荷物を見る人がいなくなる、と本気で心配してた。

その代わり色々思い浮かべる事にした。
これから始まるお母さんとの生活。
お母さんは働いてるから、家の事は私がやらなきゃ・・・
大変な事なんてない、お母さんと暮らせるんだったら。
今までみたいに、お母さんに会いに行く事に罪悪感を感じなくて言い。
帰ってきてお父さんの不機嫌な顔を見なくてもいい。
お母さんと別れたあとに、弟は声を殺しながら泣かなくたっていいのだ。

ガクンと揺れてハッとした。
終点だ、慌てて弟を起こし、荷物を持って電車の外に出る。
そこから又電車で同じくらい行かないといけない。
またまた急行に乗れず、各駅だった。
今度は人の乗り降りも多いため、知らないうちに駅の到着した。
それでも優に2時間はかかったはずだ。
私にはその2倍も長かった気がした。

ここから又バス。
でも本当にもうすぐだ。
バスに乗ること20分。
そこから歩いて5分。
母の住む団地が見えてきた。
はやる心を落ち着かせる。
どんな顔をするだろう。
今まで何度も想像してきた事だ。

ドアベルを押してみたが返事がない。
せまい室内。聞こえないわけがないから、母はいないんだろう。
仕方ないので、そこから5分ほどのおばあちゃんの家に行ってみた。
ドアを開けて、私たちの姿を見て、おばあちゃんは「あらあら」と驚いた。
ただ遊びに来たわけじゃない様子が見えたようだ。

私たちは暗く悲しい家出少女少年ではなかった。
嬉しくて嬉しくて仕方ない、母とのこれからを本当に楽しみにしてるただの子供たち。
祖母はそんな私たちを見て、涙をこぼしながら「よく来たねぇ」と頭をなでた。
日曜日だと言うのに、仕事に行っていた母。夕方には帰ってきた。
母は嬉しさと困惑の気持ちでいっぱいだったようだ。

その間、父と母がどのような話し合いをしたかは分からない。私たちは1週間母の所にいた。
ただただ母と、祖母と楽しい毎日を過ごした。
でも母は言った。
「こんな風に家を出てきちゃダメなのよ。一旦お父さんの所に戻りなさい。そしてちゃんと手続きをして、お母さんと一緒に住もう。お母さんが約束するから。絶対一緒に住めるようにするから。」

あとから母に聞いた。
このときは身を切られる思いだったらしい。
こんな大変な思いをして二人が来てくれたのに、又送り返さないといけない事。
「あの時絶対返しちゃいけなかったのよ」
と時々思い出しては言っていた。
母に送られて私たちは父の元に戻った。
約束忘れなかった。
それから先は、母とあとで一緒に暮らせるんだと思いながら毎日過ごしていた。

何でこんな日記を書こうと思ったのか・・・。
私が見てるドラマ「二番目のプロポーズ」での母親と子供たちを見てたら、いつもその時の私たちとダブルのだ。
状況は全然違うんだけど、その会いたい気持ち、会えない悲しさを思い出す。
そのドラマは楽しく見てるんだけど、そんな場面では、切ない気持ちや、会わせてあげない姑と父親に対して怒りを感じる。

母を思う気持ちは、子供誰でも同じ。
それを奪う権利は誰にもない。

ちなみに私は中学2年の時、弟は小学校卒業とともに、母の元に移って来た。
祖母は「よかったねぇ、宝物が二つも戻ってきたよ。」と言いながら喜んでくれた。





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Last updated  Nov 3, 2004 08:46:34 AM
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