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三角猫の巣窟

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純文学の小説を中心に読書録を書いています。基本的にネタばれしています。
小説の構成や描写技法を中心に考察しているので、小説家を目指す人にとっては参考になる部分もあるかもしれないし、小説家を目指すつもりでない人も次に読む本を選ぶ参考程度にはなるかもしれません。
古いほう読書録はほとんどこのブログへの訪問者がいなくて日記代わりに雑感をメモしていただけなので他の人が読むほどの内容じゃないです。自分で読書録を読み返してもあらすじを思い出せない本があって、もうちょいあらすじなり特徴なりを詳しく書いておけばよかったと反省したので、最近は時間をかけてちゃんとレビューするようにしています。
いち本好きとして良いと思った小説は賞賛して悪いと思った小説は罵詈雑言を浴びせているのですが、小説の感想というのは個人の知識や価値観を反映させるので、結局のところ自分で読んでみないと意味がないのです。
ネットの中をさまよって偶然この読書録にたどりついた人は、面白いと賞賛しているのを読んでみたり、逆に罵倒している小説がそんなにつまらないはずはないと読んでみたりするのもよいでしょう。
この読書録がきっかけとなって他の人にも本が読まれることで、小説の発展にほんの少しでも貢献できればよいと思っているのです。

 ∧ ∧
(=‘ω‘ =)つお勧め本
辻原登『東京大学で世界文学を学ぶ』
辻原登『東大で文学を学ぶ ドストエフスキーから谷崎潤一郎へ』

評価基準:
★★★★★:感動したニャー
★★★★☆:技術や感性に芸術性があって面白いニャー
★★★☆☆:暇つぶし大衆小説程度ニャー
★★☆☆☆:描写技術や知識が出版に満たないレベルニャー
★☆☆☆☆:ゴミニャー

 ∧ ∧
(=‘ω‘ =)<みかんの妖精のLINEスタンプを作ったのである。
2017.12.09
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カテゴリ:小説

「青春は美わし」と「ラテン語学校生」の2作の短編集。

「青春は美わし」は高給取りになって休暇で故郷に戻った青年が昔恋したヘレーネと会うとヘレーネが誰かと婚約するというので失恋して落ち込み、故郷を去る前に妹の友達のアンナに告白しようとすると誰かに片思いしているから友達でいましょう的な振られ方をする話。
一人称の回想形式。どこにでもあるような失恋話でこの小説ならではという特徴がなく、あえて現代に読むほどの小説でもない。弟のフリッツの花火遊びがラストシーンの打ち上げ花火の伏線になっていて、花火と恋愛を重ねるのは日本的な情緒かと思っていたらヘッセが既に100年前にやっていたというのは面白い発見だった。

「ラテン語学校生」はラテン語学校生の16歳のカールは下宿のばあさんが飯をくれないので空腹で女中のバベットにパンをもらうようになり、バベットの女中仲間と話をするようになって、学校の悪友といたずらするのが空しくなってつるむのをやめてバベットにパンをもらう頻度も少なくなってひきこもりがちになると、バベットが心配して気晴らしに女中の婚約パーティーにカールを連れ出すと、前に一目ぼれしたティーネに再会して告白する。ティーネはカールを適当にあしらっているうちに大工と婚約したのでカールと別れ話をする。カールは学校を落第しないように奮起してバベットに支えてもらって失恋から立ち直って久しぶりにティーネに会うと、ティーネの婚約者が高いところから落ちて怪我をしたと言い、カールは幸福な人も運命の支配を受けていることを悟り、人間の弱い魂が運命に打ち勝つことを悟る。
三人称。女中文化が書かれているがゆえに、表題作よりこっちのほうが外国の小説らしい特徴があって面白い。しかし構成があまりよくない。途中でちょっとだけティーネの視点に変わるところは三人称の視点移動としては中途半端で、カールの成長に焦点を当てるならティーネの視点はいらない。「幾年もたった後でも、彼は、この晩のことを思い出すごとに、幸福と感謝に満ちた好意とが輝く光のように、心にあふれるのを感じるのだった。」(p98)といきなり時間を飛ばすのは悪手で、未熟な少年時代のカールの物語を読者に読ませているのだから唐突に数年後のカールの感想をはさむ必要はない。結末も失恋から悟りを開くまでのカールの心理の変遷を端折りすぎて唐突な感じで、カールの成長に焦点を当てるなら相応の心理描写をするべきである。もっと丁寧にエピソードを書いていたらラブコメとしてアニメ化できそうな感じの惜しい仕上がり具合。

★★★☆☆

青春は美わし改版 (新潮文庫) [ ヘルマン・ヘッセ ]







最終更新日  2017.12.09 01:40:47


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