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テーマ:こけし探訪(85)
カテゴリ:こけし用語辞典
こけし用語辞典 【蔵票】(ぞうひょう) 愛蔵するこけしの胴底などに貼るラベルのこと。書籍の蔵書票(蔵書印)と同じである。書籍と同じく判子(印)を押す場合もあり、この場合は蔵印という。蔵書票は国際的にエクスリブリス(Exlibris、「だれそれの蔵書から」という意味のラテン語)といい、蔵書票を収集する趣味がある。こけしでも戦前には「こけし蔵票会」という組織があり『こけし蔵書会作品集』(コケスンボコ社、昭和15年11月)も出版されている。これはこけしをデザインした蔵書票で、ここでいうこけしの蔵票ではない。(「こけし春秋」91号、平尾栄美<「こけし蔵票会」作品集>) 収集家の蔵票でなく、頒布品に貼るラベルは厳密に言えば蔵票ではないが、特段区別はされていない。 蔵票は多くは堂号(雅号)を用いる。『こけし辞典』には「雅号」、KokeshiWikiに「堂号」の項がある。鈴木鼓堂といえばだれもが知っている収集家であるが、本名の鈴木磯吉ではピンとこない。 古作のこけしには、蔵票が貼ってある場合があり、これの有無によってその評価は格段に異なる。 「蒐集家からこけしを割愛していただいたときに、前の所蔵者の蔵票がついている場合がある。「これははがさずに大切にそのままにするのがよい、自分の蔵票を貼る場合は少し重ねて上に貼っていくものだ」と教えられた。写真に示したように「こけし娯屋」に重ねて「木人子室」を貼るといったやり方だ。蒐集は伝来を大切にする、したがってどのような所蔵者を経て現所蔵者に伝えられたかも、その価値のひとつなのだと聞かされた。」(橋本正明:木人子室)ちなみに「木人子室」は「ぼくじんししつ」と読む。 現在はほとんど胴底に工人の署名があって、蔵印を貼る場所がない場合が多いが、その場合は胴裏に貼ることとなる。工人の署名もこけしの一部であり、また署名に変遷があることもあるので署名の上に貼ることは良くない。 <こけし用語辞典by松田ひろむ>本用語辞典は『こけし辞典』(東京堂出版)、<KokeshiWiki>に立項されていない項目。あるいは内容や定義が相当程度異なるもの。内容を相当大きく充実させたものに限定している。必要に応じ順次充実させてゆきたいと考えている。みなさまのご意見、ご叱正をいただければ幸いである。
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最終更新日
2020年02月06日 11時26分46秒
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