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カテゴリ:こけし用語辞典
こけし用語辞典by松田ひろむ【伝統こけしポケットガイド】でんとうこけしぽけっとがいど 正式名称は『東北の顔 伝統こけしポケットガイド』。版元は緑書店。著者は土橋慶三(1896-1981)。 第2次こけしブームの必携書であり、聖典であった。小生もこけし収集の最初に再版を入手。表紙の巳之助が憧れであった。最初は掲載されている工人をすべて集めようとしていたものだったが、当時は入手方法が現在よりはるかに困難だった。東京ではデパートの催事、民芸店巡りが主な方法だった。 携帯していた再版の『ガイド』は手ずれでぼろぼろになって、その後、第5版を入手したが、通称ざんばらの佐藤実の<ねまりこ>には違和感を感じたものだった。 土橋慶三は伝統こけしを守るためとして「序文」(初版から同じ)、「本書刊行についての皆さまへのお願い」(再版より)で、今日からみると相当激しい言葉で「新型こけし」やその工人を排除することを明言している。 本書は表紙が巳之助(初版から3版、佐藤実(4版、5版)、佐藤丑蔵(6版)の3種があって、これもいまになっては興味深い。第6版まで確認されている。 初版:1975年(昭和50年)7月20日。表紙は佐藤巳之助。 再版:1975年(昭和50年)12月20日。表紙は初版と同じ巳之助。 第5版:1978年(昭和53年)3月10日。表紙は4版と同じ佐藤実ざんばら。 第6版:1978年(昭和53年)8月10日。表紙は佐藤丑蔵。 画像は向って左より初版:巳之助、3版:佐藤実、6版:丑蔵
序文 本書刊行のそもそもの目的は、戦後「伝統こけし」を真似した「新型こけし」なるものが現われて、そのイミテーションが氾濫し、一般の大衆には、その区別を見分けることがむずかしい状態と弊害が続出してきました。そこで、わが国の民族文化財として百年 以上の歴史を持つ「伝統こけし」の本体と真髄を博く一般のみなさんに知らしめるために本書の刊行を企図したのが、今から十七年前の昭和三十三年の初頭でした。 東京•四谷の美術出版社前社長•故大下正男さんの採算を度外視した義俠的な賛助により、初版五千部という、その当時としてはまったくわれわれの予期もしなかった部数でした。そして七版まで行き、これを絶版といたしました。その当時の美術出版社側の編集担当者は安田耕一郎さん、永井慶太郎さん、有吉成ーさん、写真は二川幸夫さんでした。 さらに、昭和四十八年九月二十日『伝統こけしガイド』の大型新版が発行され、既に三版を重ね、各方面から絶大な支持と好評を博しております。 ところが、旅行携帯用旧小型判所有の読者のみなさんから、もう一度小型ボケット判を出してもらいたいとの要望がたくさん参りましたので、「東京こけし友の会」の同志である大石真人氏に、その話をしたところ、それではうちの店(緑書店)で引受けてあげましょう、とのことで美術出版社の方の諒解も得て、『伝統こけしボケットガイド』新版を出すことに決めた次第です。 したがって、読者のみなさんも、旅行携帯用には緑書店刊の『ポ ケットガイド』を、また、こけしの各部門の詳しい研究には美術出版社刊の大型『伝統こけしガイド』を、百パーセント御利用くださいますようお友達にもお奨め願います。 昭和五十年六月 土橋慶三 敬白
「本書刊行についての皆さまへのお願い」(抜粋) 本書は自他ともに「伝統こけし」工人として認める工人のみ紹介することを趣旨とし、「新型こけし」工人や「伝統」「新型」同時に作る両刀使いの工人の紹介は。一切これを拒否しております。二十年間「伝統こけし」を守り育てる運動を実践してきた我々にとって、「新型」工人を紹介する義務も余裕もありません。(中略)また両刀使いの工人は、今後いずれの道へ進むのかはっきり態度を表明することが先決だと思います。 2020/2/7第3版、第4版追加。 <こけし用語辞典by松田ひろむ>本用語辞典は『こけし辞典』(東京堂出版)、<KokeshiWiki>に立項されていない項目。あるいは内容や定義が相当程度異なるもの。内容を相当大きく充実させたものに限定している。必要に応じ順次充実させてゆきたいと考えている。みなさまのご意見、ご叱正をいただければ幸いである。
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最終更新日
2020年02月07日 08時55分04秒
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