06/1/28 【バヤデルカ】2006年1月28日【バヤデルカ】レニングラード国立バレエ (於: Bunkamuraオーチャードホール) ニキヤ: イリーナ・ペレン ソロル: ファルフ・ルジマトフ b ガムザッティ: オクサーナ・シェスタコワ 待ちに待った「バヤデルカ」。全幕を観るのはこれが初めてなので本当にやっと観られて嬉しい!あと2回でルジ祭りが終わってしまう…というちょっと淋しい気持ちもあり、一瞬も見逃さないようにと軽く気合いが入る。(おかげで肩が凝った) ペレンちゃんがどれだけ情感を込めてくれるか心配で、配役が決まった時にちょっとがっかりもしたけど、1幕2幕と私見的にはとても良かったと思う。ペレンちゃんの生まれ持った美しい容姿に衣装がとても映えていました。 ソロルと夜こっそり会う時、ソロルを見つけて嬉しそうなニキヤ。ソロルに愛されて、ソロルを愛おしく見つめ返すニキヤ。健康的で美しいバヤデルカにソロルの方がより心惹かれて痛いほど切実な想いでいるようでした。 今日のペレンちゃんは調子も良かったのかな。ソロルへの愛情が表情と踊りから感じられました。インドが舞台の独特な振り付けも彼女に合っているようでした。 ガムザッティに「ソロルはわたしの婚約者よ」と告げられたとき、ショックを受けて動転してしまうニキヤの表情も悲しみと困惑が入り混じっていて、とても可哀想になってしまいました。聖なる火の前で愛を誓い合った恋人が、こんなにもあっさり自分を裏切るなんて。これがジゼルなら、ここでショック死してしまうところ。 ガムザッティは男に逆玉されるお嬢様だからなのか、婚約者の恋人を殺してしまおうという短絡思考。かわいい顔して考えることが怖い。 そういえば、色恋や権力争いで毒殺が日常的に使われていたフランス王族の世界と似ていなくもないなぁ。(「王妃マルゴ」でショックを受けたものです。映画も本もみましたがどちらも何度も見返しました) それにしても。 やっぱり男は逆玉の誘惑には勝てないのか。あんなに愛しているニキヤを捨てて、あっさりガムザッティとの婚約式を執り行うなんて。 敬意を表してのこと(と思いたい)とは言え、恭しくガムザッティの手を取るソロルはずるい。上には逆らえないのと、出世欲と、婚約者もかわいいのと、本当に愛する人を裏切った罪悪感と、で、ルジお得意の悩める主人公。 でもどう考えてもひどい裏切りじゃないかー。 婚約式で悲しみを堪えて踊りを披露するニキヤが痛々しくて。冷静に考えると晴れがましい席なんだから、そんなに憂いのある曲で踊るのはどうかと。きっとニキヤの心情を表してるんだね…。(泣) 罠が仕掛けられているとは知らず、花篭がソロルからの贈り物だと思い込んで嬉しそうに舞うニキヤが、「あなたがくれたのね?私にはわかっているわ。あなたは私を愛しているのよね」と言うようにソロルに語りかける(と見えた)姿が、それまでの悲しみに浸った踊りから一転して、ぱぁっと顔が明るくなり、気持ちも軽やかになったのがわかりました。 そんなニキヤを思わず見てしまうソロルを、横からじ-----っと見つめるガムザッティ。おかーさん、怖いよー。ニキヤにガンを飛ばしてソロルの手を握るガムザッティ。逆玉の身だからなのか?その手を握り返すソロル。ニキヤが見てるのに。ひどいよ、ソロル…。 毒蛇に噛まれて飛びのくニキヤに、ソロルは思わず立ち上がる。苦しみ始めるニキヤに手を差し伸べることすらできない。苦悩のソロル。しかし、単なる優柔不断なのではないか。国一番の戦士なのに、愛する人を守れないなんて。 苦しむニキヤにうろたえるソロルを、ガムザッティが振り返って強い視線で見つめる。「そうよ、あたしよ。あたしが仕組んだの。だってあなたは私と結婚するんだもの。彼女はいらないわよねぇ」とでも言うように。ホラーです。 ついに倒れこむニキヤにやっと駆け寄り抱きしめるけど、もう遅い。遅いんだよーー。2幕が終わったとき、涙目になってました。 3幕はいつもの?無表情ペレンちゃんに戻っていた気がする。死人の役だからこれでいいのか?個人的には、裏切られた悲しみと、再会できる喜びが見え隠れし、憎く思ってもやっぱり愛している気持ちを抑えきれずに滲み出てしまう心情を表現して欲しかった。難しいでしょうかねー。 影の王国の幻影が降りてくる場面。前から2番目の人がとても良かった。ずっと彼女を見てしまった。お名前なんていうのかしら…。気になる。(⇒コチュビラでした) やっぱり白いバレエは大好き。 ヴァリエーションのコシュレワ、ステパノワ、ミリツェワは3人とも目が離せませんでした。コシュレワの妖艶さは今日は控えめで、優美な身のこなしが際立っていました。ステパノワは迫力(失礼)で有無を言わさぬ男らしさ(失礼)。どうしてもミルタの威厳が。でも素敵。ミリツェワも素晴らしいのに、ステパノワの脇だと損するのか、小さく見えてしまった。ソロで踊ったときのミリツェワは安心して(?)ゆっくり観られました。(ホッとする親の心境) 現実逃避するソロルと幻影のニキヤ。この場面の音楽は心を揺さぶられます。ペレンちゃんが軽く無表情症候群なのと、清楚な白い衣装のせいか、『ルジマトフ先生と、尊敬する先生と踊れて緊張する生徒ペレン』的構図に見えてしまいました。 絵的には非常に美しく、すっきり伸びたペレンの手足がクラシックバレエのお手本みたいで、誰にでも真似できるってものじゃないよなー、日本人とは骨格が根本的に違うんだよなー、などと思わせてくれました。 ソロルとガムザッティの結婚式。 やっぱり結婚してしまうのね、ソロル。その花をガムザッティに差し出すのね。ガムザッティがソロルから受け取った花を取ることしかできない幻影のニキヤ。その花を集めて、私はソロルからもらうことはできないのだ…。と哀しむニキヤ。(というように見えた)2人の頭上からその花を散らして、背を向けるニキヤ。散らされた花にガムザッティが何やら気づき、ソロルもまたニキヤに気づく。すでに手に届かない存在のニキヤを追い求めて、無意識にふらふらと足が向いてしまう。 ニキヤ、ニキヤ…。今こそはっきり気づいた。なんてことをしてしまったのか。。。やっと本心がわかり、感情をあらわに嘆き哀しむソロル。 愚かな自分を呪ってみても後の祭り。遅い、遅いんだよー、ニキヤはもういないんだから。死ぬことがわかっていながら、大僧正の申し出を断り解毒剤を受け取らずに自分との愛を貫いたニキヤの高潔さと自分の卑劣さ。そう、全ては自分が蒔いた種。後悔先に立たずの言葉通り。 自業自得なお話と言ってしまえばそれまでだけど。 心に嘘をついちゃいけないという単純な真理と、後悔するくらいなら初めから素直で誠実でいようよ、という戒め。人間の心の弱さみたいなのが凝縮されたストーリーで、これこそ人がしょっちゅう犯してしまう罪なのじゃないか。 ルジ@ソロルは、まるで初めから罪を犯すことをわかっていたのじゃないか、というくらい悲哀に満ちていました。でもまさかこんなに人を傷つけ、自分も打ちのめされるとは想像していなかったのね。浅はかだった自分を神が裁いてくれた。それによって彼は救われたのかも。(想像です) どーでもいいけど、マグダウィア(苦行僧)はなんでモロ原始人なの? 先月まで山にこもってた設定とか? 『インドの踊り』のオリガ・ポリョフコが圧巻でした。プログラムにある写真ではこんなに切れのある踊りをするダンサーとは想像つきませんでした。初めて注目して観たけど、今後も要チェックです。 一緒に踊ったマスロボエフは、変な髪形…。そういうカツラのようですが、特筆すべき似合わなさ加減でした。 カ-テンコール。 シェスタコワ、ルジ、ペレン3人が並んで注目したのは、美しいそれぞれの腹筋(笑)。ルジなんて、わき腹が特にセクシー(変ですか?) ハーレムパンツに隠されても隠しきれないお尻のライン。”ここから”お尻が始まってます、がわかるのがスゴイ。自分のことは振り返らないようにしよう。 明日もまた観られるなんて嬉しいなっ。シェスタコワの流し目全開でルジのラブラブ光線が行き交うのかしら。楽しみです。 ジャンル別一覧
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