06/5/04 【ラ・バヤデール】2006年5月4日 【ラ・バヤデール】ボリショイ・バレエ団 (於: 東京文化会館) 予定外でマチネとソワレ両方見てしまいました。お金と体力、どっちが続くかなぁ。 ≪ マチネ ≫ ニキヤ: マリーヤ・アラシュ ソロル: セルゲイ・フィーリン ガムザッティ: エカテリーナ・シプリナ 5階袖で視界右が前方の方の頭で切れており、端でごちゃごちゃやってる(はずの)ソロルとガムザッティが見えなーい。阿片吸ってぐったりのソロルが1mmも見えなーい! やっぱり舞台は正面に見るのが一番だわ。それで今ひとつ集中できず仕舞い。 とりあえず理解できたのはフィーリンは顔が小さくてかわいい(こういっちゃ何だが、ルジを子供にしたような…。あぁ、失言か?)。男っぽさより撫でたくなるようなかわいさ。 フィーリン見たさにマチネを取ったのだけど、キレイに流されたような印象で胸に迫るようなものは...なかった。 ステパネンコが怪我で降板したのでニキヤは代役のアラシュ。ニキヤとソロルの間に愛はあったのか?皆無とは言わないけど、断ち切れない想いがあるようには見えなかったんだよね~。アラシュは代役だから、そこんとこフィーリンに過剰にでも表現してほしかった。 アラシュは安定しててソツなく踊った感じはしますが、霊感を感じるほどではなかった。 シプリナは一見高貴な姫様、コワ系なんだけど、途中から普通の恋敵に見えてしまった。 一幕終わって気持ちがぴくりとも動いておらず、これは一体どーしたものかと。ボリショイはこれ一回しか取っておらず、結局ソワレを購入。グラチョ-ワも見てみたかったし。そしてそれが結果的に大当たり! あぁ、ごめんなさい、フィーリン。マチネの感想が中途半端で。 ≪ ソワレ ≫ ニキヤ: ナデジダ・グラチョ-ワ ソロル: ウラジーミル・ネポロージニー ガムザッティ: マリーヤ・アレクサンドロワ グラチョーワの圧勝。圧巻。 マチネとは格が違った。プリンシパルの差というものを見せつけられた気がした。踊れるということじゃなくて、踊りで語れるということを。踊りに言葉をもっているひとは、目が違うような気がする。グラチョ-ワは瞳に揺らぎがあっていつもなんか語ってる。グラチョ-ワが二幕の終わりにレヴェランスしてる時涙が出た。 アレクサンドロワのガムザは、もー、ぴったり。この人のお顔立ちは役を選ぶかもしれないけど(正直初めは苦手だった)、ガムザッティは文句なしでした。、グラチョーワと相対すると高貴な身分を強調して強いお姫様気質が存分に発揮されてました。ニキヤとの女の対決は迫力勝ち(ニラミ勝ち?)。 ニキヤとソロルの関係を知ったときの反応も程よかった。アレクサンドロワは「あぁっ、そんな...!」と、ヨヨヨと退場。マチネのアラシュは「あぁ~~っ、いや~~ぁぁっっ」と過剰ぎみで猪突猛進。その勢いだと号泣してたかも? 婚約のシーンでもアレクサンドロワはお姫様ビームで光ってました。なんて安定感抜群なんでしょっ。ソロルと互いを支えて手をひらひらさせながらポワントで回るの(なんていうんでしょうか)、素敵でした。あれは二人の呼吸と間の取り方が合ってないと素敵に見えないのですが、マチネではイマイチだった。 婚約式で花篭を渡されたニキヤはそれほどうれしそうに見えなかったけど、まだ哀しくてしょうがないからかな。ソロルが婚約しちゃった事実は変わらないわけだし、今更贈り物もらっても、ということかしら。 ネポロージニーのソロルは若くてまだ罪の重さをわかってない様子。どちらとも姉弟のような愛情で、婚約者にも「わー、きれいな人」と素直に惹かれて顔を上気させる邪気の無さ。まだ深く傷ついたことが無い未熟さが残酷なこともしでかして、自分のせいという自覚も弱い。それが悲劇を招くという筋書きにもあってるけど、名高い戦士にしてはオツムが弱いのでは~~。 役の上のオツムの弱さは置いといて、ネポロージニーの若さとしっかりしたテクとかわいさにはとっても好感が持てました。二人のオネーさん相手に結構いいバランスだったかも。 アヘンを吸う様が瓶のコーラを飲んでるみたいだったのは許す。おいしい?って聞いたら、うん!と返事がきそう。 幻影のニキヤと会えたときも、また会えて嬉しいという気持ちだけで、せつなさはちょっとだけ。対してグラチョーワのニキヤは悲しみを引きずっているのが明らかで、どうして自分を裏切ったのか、責めるでなくソロルにひたすら問うている。二人のこの温度差ったら!ネポロージニーも、もちっと悲哀を表現できるといいんですけど。許しを乞うどころか、ニキヤったらそんな哀しそうな顔して、どしたの?って能天気な顔して言っちゃいそうでこわい。こんなソロルを好きになったなら、ニキヤもきっと分ってたはず。どうして?って聞いても多分本人もわかってないだろうな、ってこと。だからずっとどうして?って聞かないで、受け入れて赦すしかないと悟って慈愛を強く打ち出してほしかった気もする。今思えば。 ヴェールの舞いでニキヤはまだ愛しているとソロルに訴えていた(と見えた)。このときのソロルは丁寧に答えているようだった。二人の気持ちは融合したのか?そこまではわからなかった。 幻影のニキヤの素晴らしいこと。ソロルとのアダージオの美しいこと。ヴェールでのバランスの長さはグラチョーワ特有なのでしょうか?それはそれは美しい、ニキヤの想いと比例するような永遠の長さでした。でもそのあとでちょっとグラついたのが惜しかった。(くだらないけど、韻を踏んでいる。グラがグラつく...。) 影の王国のコール・ドはさすがの美しさ。いつまでも続けててください、って身が持たないですよね~。すいません。 アラベスクの脚の高さ、高すぎるんじゃないかと見回せば、ほとんどのダンサーが同じくらい脚が上がってる。脚を戻すタイミング、腕と手首の角度、さっと前に進むタイミングが合っていて、ほんとにきれいでした。これこれこれよ~、見たかったのは。 婚礼のシーンがないので、唐突に終わってしまった感じが否めず。それでもまだガムザに愛を誓おうとするソロルにはっきり『罪』と示されるほうが神の怒りに触れた気がしてわかりやすいんだけどなー。急に寺院崩壊されても---。 だって罪はとっくに成立してたし、許しを乞うなら、神にじゃなくてニキヤにでしょ! それにやっぱり最後にアレクサンドロワにもう一場面踊ってほしかった。 カーテンコールのグラチョ-ワにまた涙が出た。拍手がずっと鳴り止まなくて、こちらの涙うるうるも止まらなくて。うっとりするようなレヴェランスが優美でたまらない。優美な動きのままゆっくり会場に投げキスを送ったとき会場が更に沸いてました。傍にいるネポロージニー君は、花束をあげるのを待っている親戚の甥っ子みたいでした(笑)。すがすがしく笑ってましたねー。 いいバレエを見られて幸福幸福。グラ様が見れて、配役変わってアレクサンドローワも見られたし、弟分のネポロージニーとセットで見られて、なかなかいい配役だったと思うわ。 最近買い足したチケットの大当たり率が高いこと。今後も買い足せってことね。バレエ貯金しなきゃ~。 実際のところ、アラーシュは踊りはソツがないけど、セルロイドの人形みたいに能面タイプなのが気になって。(ペレン現象?) シプリナはバネがあって輝いてるように思えたけど、途中で何故か...飽きてしまった。 グラ様はとにかく格が違った。重厚感すら感じたわ。 ネポは、かわいかった。素直なボク。ホントに戦士なのか?という疑問はこの際捨てる。 アレクサンドロワの猛々しい気品(なんじゃそりゃ)にちょい惚れました。息子にほしいタイプ。 ジャンル別一覧
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