06/6/21 【ラスプーチン】2006年6月21日 【ラスプーチン】 (於: 新宿文化センター) ラスプーチン: ファルフ・ルジマトフ アレクサンドラ皇后: エレーナ・エフセーエワ うふ。うふうふ。うふふふふふ。(壊れた>自分) 机をばんばん叩いて言いたい!ファルフ先生!あなたはほんとーにステキです! カッコいいの最上級はなんていうの~~。 今日もルジ・コラーゲンが注入されました。エステ券付きにしてはお安いこと。 昨日も今日も舞台に出ずっぱりで踊りまくってくれてありがとう。楽しそうなルジが見てる人を幸福にするんだよ。これほど舞台人冥利につきることってないんじゃない?花束が豪華になるより、幸福感に酔った観客が夢中で拍手してる光景がうれしいんじゃないかなー。でも花束渡してみたーい。そんでスパシーバって言ってもらいたーい。 どうも今回は 『楽しかった~♪』が先行して、喪失感がないのよね~。 この高揚感とは対照的な、宗教的な音楽が唯一奇怪な時代と運命を象徴していたともいえるかな。祈祷文の朗読が歌われていたのはラスプーチンの念仏のようだったし、きれいめの音楽だと混沌とした帝政ロシア崩壊の時代には合ってないと思うので、あれはあれで良かったのかも。祈祷文の意味がわかったらコワイ気がする。 ラスプーチンの震える手は精神的な緊張を強いられたとき、とパンフに書いてあるんだけど(コンメルサント紙掲載より)、そうなのかなー。てっきりラスプーチンの怪しいまじないかと思ってた。厚かましい人物だから精神的に図太いような気がするんだけど。 始まりは唐突でした。2時間の公演なんだから、説明抜きでこのテンションから参ります、ハイッ、という監督の声が聞こえそうな。ぎゅい~ん、と異次元への渦巻きに巻き込んで、エレキギターの音でロックスターのようにルジが腕を突き上げた時、サタデーナイトフィーバー!と思った私は古い。フレディー・マーキュリー!とも思ったし。 酒にのまれるの早かったな~。姿勢の悪いルジが人間くさい。よろけるうちに本当にこみ上げてきて吐きそうに見えた。あとちょっとで、う、う、うxxxxx~~。そんなとこまで熱演?!芸が細かいつーか。吐くまで飲むルジ先生は想像しづらい。そんなへべれけで踊ったら目が回るよ、なんて心配してる自分もかなりあほ。 1幕で皇帝がラスプーチンの肩に手を置くところは、ラスプーチンに対する信頼となかば権力者からの強制で救済を求めるという重さがあったと感じられ、2幕でラスプーチンが皇帝の肩に手を置くのはひたすらすがるという、逆転の立場の象徴のように思われた。 始めに皇太子を治癒する姿は慈悲深さも感じられて、母性本能をくすぐられるような気持ちにさせておきながら、すぐに皇后の手を取るなんて、やっぱこっちが目当て?と疑惑を抱かせる。ラスプーチンの魂胆を見せるような、でもこれが自然な流れに思えた。嘆いている麗しの皇后を救いたかったし、自分にはその能力があるとなれば、ああいう熱心さと皇后への思慕が誠実とさえも。 皇后のエフセーエワちゃんがこんなにしっとりと演じてくれるとは。ルジとのバランスも良かった。堂々としていてあっぱれ!高貴な身分がその仕草や首から肩、背中・胸にかけてのラインに滲み出てました。腕並みにしなやかな脚の動きが美しかった。関節もやわらかそうだし、感覚も鋭いんだろうなー。デュエットは情感がこもっていたし、背中はきれ~だし、色は白いし、ルジと白鳥やったらアタリじゃないかしら~。 『夢』の場面はそれぞれの深層心理なのかな。ラスプーチンが皇帝に蹴りを入れるのは、皇帝を小ばかにしてることを表してると思う。ユスーポフ公爵(暗殺の首謀者)の本にもラスプーチンの言葉として、ニコライ二世の皇帝としての器・能力を見下す発言がある。 追い詰められ始めたルジの顔がイっちゃってて驚愕の表情でもあり神懸かってもいた。矢のように刺す視線に射抜かれて軽く陥落してしまった。その視線が激しくて強くて、ユスーポフ公爵が書いた描写そのままだった。 酒場の場面はどれも甲乙つけがたい。女の子に手当たり次第ちょっかいだしてただの女好きのだらしない男、なんだけど許せちゃう。足にキスされてた女の子は軽く失神してましたね~。ゆるゆるとリズムをとり次第に陽気になっていくルジの浮かれ顔ったら。 クラシックの凄絶なまでの張り詰めた美しさとはまったくもって別の魅力が全開フルスロットルでした。 正面を見据えてぐるぐる回りだすと、もうダメ、ルジ様~~。ここにもいます信者が~。(すっかりラスプーチンということを忘れている) 駆け寄りたい衝動をおさえ、このままずっと回っててくれないかな~とムリなお願いをしてみたくなる。後ろの人に当たったらなぎ倒しそうなほど力強いエネルギーに溢れた回転だった。どっからそのタフな生命力が!? (2時間もたなくて足がつっちゃうジーコ・ジャパンを思うとね~。頑張れニッポン! - 只今ブラジル戦観戦中...眠い) 多面的なラスプーチンの性格をこんな短時間で表現してしまうとは。それも矛盾を広げるどころかほとんど納得させちゃうなんて。こんな堕落した神の使いがいるわけないじゃんという考えが軽く覆されてしまった。所詮は人間だからお酒飲んで騒ぐくらいは許そう。(品位に欠けるが) 女好きで手クセ悪そうだけど、皇后は特別だし男なら守ってあげたいと思う、よね。(ルジだからきっと純愛) (あー、今ブラジルに同点にされちゃった。前半終了~。後半足つらないでね~) お陰でルジのいろんな一面が見られる、ファンにはたまらない作品になったわけですね~。 (ブラジル2点目、3点目~。さすが王者。玉足が速い。つなぎがスム~ズ) 黒の衣装に十字架似合ってたな。ま、何着ても似合うけど。 (あらら、ブラジル4点目。やっぱうますぎるもんな~。そして試合終了) またこの作品で会えるといいな~。ああ眠い。 ラスプーチンが終わって早くも5日が経った。条件反射のように思い出すのは、楽しかった、という後味のよい満足感。まさかラスプーチンと聞いて楽しいという言葉を連想することになるとはね~。ルジは一般的なラスプーチンのイメージを膨らませ、デフォルメしたに過ぎないのに、そこに非常に人間的な肉付けがされるとこうも魅力的な人物になりうるのか、と驚かされました。 ラスプーチンの取り巻き・信者はほとんど女性。女性の心をつかんで離さないものって?救いの言葉のほかに惹きつけるものって?やっぱり男性的な魅力があったのだろうな。ラスプーチンのことを記した書物はほとんどが男性が書いたものだろうから、女性から見た目で書いたらずいぶん違った人物像になっていたかもしれない。 ラスプーチンは踊りが好きで、今その記述を読むとそれはルジが演じた姿とかなりかなーりダブります。それは、「独特の昂ぶったような激しい身振り」で「延々とひたすら踊り続け」「時たま うう という叫びを上げた」「ある種のエクスタシー、狂乱にまで精神を高揚させながら」「15分から1時間の間休みなく踊った」 -- もうほとんどこの前見た舞台そのまんま! ダンサーであるルジならば、これを生きたラスプーチンとして舞台で表現したくてうずうずしただろうな、って思う。そしてそれは本で読むより何倍も生き生きしてました。 昂ぶる心のおもむくまま、一心不乱に踊りつづけていくうちにダンサーズ・ハイに達し、それは純粋な「喜び」だけではなく、「快楽」に近い感情をまとって突き抜けていく、ルジの姿でした。まったくどこまで底知れないパワーとエネルギーが湧き上がるのだろう。 見てるときは無意識に、見た後に実感することですが、踊りを見てるというより(見てますが)ルジの発光するエネルギーを浴びてるような気がする、んです。(あー、ますます信者発言) この現象は他のダンサーでは100%あり得ない。絶対あり得ないです。この差はどこに? まだしばらく思い出しては高揚感に浸れそうです~。 踊ることって人間の内なる歓喜を爆発させることなのね? 没頭すると人は美しい。 |