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ラメな毎日

ラメな毎日

06/8/09 【世界バレエフェスBプロ】


2006年8月3日 【世界バレエフェスティバルBプロ】
(於:東京文化会館)



Bプロは充実&満足♪ 個人的にはAプロより見ごたえがあって飽きさせないプログラムだったと思う。4時間で終わるのが惜しいくらいってなもんでした。
それにしても会場が暑かった!この前は寒かったし、係員はその辺気づかないのかなぁ。

今回もトイレは長蛇の列。会場の規模にしてはトイレ少ないよ~。

■第1部■ 18:00-18:45
「ディアナとアクティオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
◇ヴィエングセイ・ヴァルデス&ロメル・フロメタ
ヴァルデスの月の女神はスイスイといとも簡単そうに技を決める。得意のバランスも素晴らしい。流れる清水のように滑らかな動きが見ていて眼に気持ちいい。
フロメタの衣装が自然界の色すぎて、野生的というより野人。ターザン系なんだよね。誰かさんと違って色気はありませんが、とっても嬉しそうに技を繰り出し楽しそうでした。

「リーズの結婚」
振付:フレデリック:アシュトン
音楽:フェルディナン・エロール
◇エレーナ・テンチコワ&フィリップ・バランキエヴィッチ
超技巧組の後という、実に気の毒な順番がいけないのか、これといった感想がないのですが、テンチコワの足首がずんぐりだったのが気になった。

「幻想 -『白鳥の湖』のように」第1幕のパ・ドドゥ
振付:ジョン・ノイワイヤー
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
◇ジョエル・ブーローニュ&アレクサンドル・リアブコ
あの狂気のルードヴィヒII世に読み替えた作品。
幕が開くとすでに独特の雰囲気が漂い、何かに心を捉われている男(王)。最近自分を脅かす存在(影)に怯えを感じてざわざわと動揺する心を静められないでいる。
正気でなくなる自分を自覚するってどんな気分だろ。きっとその事実がまず自分を打ちのめす。とますます平静でいられなくなる。苛立って変に激高したり苦しみ激しく思い悩んだり。常軌を逸していく自分と向き合えるのか...。
その狂気を感じ取ったのか、それまで取りすがっていた女(婚約者の王女ナターリア)は、王の腕に手を取られても思わず後ずさる。本能的に離れたという感じ。
リアブコは暗い心理が憑りついた王を熱演。影から逃げ惑ううちに影に囚われて自分を見失う。ブーローニュはお顔が結構地味なのね。カーテンコールの時、こんなにインパクト弱かったっけ、と思ったよ。

「海賊」
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ
◇イリーナ・ドヴォロヴェンコ&ホセ・カレーニョ
ドヴォロヴェンコが素敵すてきステキ~。
メドーラとしては必要以上にアリにちらちら目線を送りすぎという気もするが...。誘ってるわけじゃぁないですよね。パートナー・カレーニョへのアイコンタクト、ですかね。
ノーブル・カレーニョはこの場合ノーブルすぎて正しく仕える家臣以外の何物でもなく、メドーラへの思慕はそれほどないようでした。アリの衣装は、あれリーフ柄?豹柄?なんか変。

■第2部■ 18;55-19;45
「ロミオとジュリエット」より“バルコニーのパ・ド・ドゥ”
振付:レオニード・ラヴロフスキー
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
◇マイヤ・マッカテリ&デヴィッド・マッカテリ
マッカテリ兄妹のロミ・ジュリ。兄妹でロミ・ジュリ。うー、兄妹と思うと純粋には見えない。あぁぁぁ、どうしても頭の中は 禁断の、 とか 近親○△、とかの文字が浮かんじゃう。 
出だしもいまひとつ。ジュリエットはロミオをまだ見つけないうちにバルコニーを降りてきちゃう。それじゃバルコニーの意味がないじゃん。ロミオがすぐそばにいるのに足早にもどかしく降りてくるのがいいのに。もぉ待ちきれない!って感じで。
ロミオに気づくとやたら速攻で型どおりの「嬉しい」の演技。もうちょっと「こみあげてくる嬉しさ」を恥らいつつ演技してくれるとそれこそ嬉しいんですが。
これだとこの前テレビで放送してた、ディカプリオの現代版ロミオとジュリエットの方が良かった、なんて思ったりして。
最後にやっぱり、兄妹でこの演目はどうかと思う。

「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ロディオン・シチェドリン
◇ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクーリエフ
ステパネンコ姐さんのカルメンがかっこよくて、そのくせやたらキュートでした。いたずらっ子のような目で男を誘い、美しいスポーティーな足で惑わせるカルメン。キレと艶が同居してる。真っ赤な花の髪飾りが誘惑のシンボルのよう。
メルクーリエフは、「立派に成長した青年」(イメージ)が、身の破滅とわかっていながらカルメンに堕ちていく、引きずられていくドン・ホセの哀愁があった。
赤に水玉の衣装がそれなりに似合っちゃうと思うくらい結構役に入っててキレもあった。繊細な王子系よりこういうほうが彼の魅力が出るんじゃないか、なんて初めて見たんですけどねー。合いすぎるツボより一癖の罠、って感じ。

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
◇アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー
コジョカル、可憐すぎます。かわいくてメロメロ...。これで普段は地味でスターのオーラがないと言われているのが嘘のようですが、舞台でこれだけ変身できればそれもプロ!ということでひたすら心奪われました。
腕の動きがこの上なく優雅で繊細で絶妙。流れる動きのなかにも緩急があって腕が音楽をつかんでいるような。旋律のとらえどころが音楽的のように思う。(それが癖に感じてだめ、という人もいるようですが)
コボーと交わす視線がそりゃーもう花が咲いたような笑みでまたメロメロ...。コボーもつられて満面破顔。
コボーのソロを舞台端で見守るときもコジョカルちゃんは恥らいながら応援目線。
コボーのソロで舞台袖に引っ込むとき、胸の前で右手で一度だけ「頑張って」というように手を振るように小さく合図してました。やることがカワイイ。

「白鳥の湖」より“黒鳥のパ・ド・ドゥ”
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
◇ポリーナ・セミオノワ&フリーデマン・フォーゲル
セミオノワは小悪魔みたいな色気があって狡賢い目で王子を惹きつける。一方フォーゲル君はあまり見てなかったので、多分ぐらぐら迷ってはすっかり騙されていたのでしょう。
「ほら、あたし白鳥よ」とおざなりな真似をしてみせるオディール・セミオノワの目つきが、これくらいで王子は落とせると自信ありげ。息が届くくらい接近してのタメに王子はどぎまぎ。触れようとすると待ち構えていたように拒否る。かわいい顔して悪女。ソロは貫禄すら感じた。
こんなに細身なのに、すごいわ、セミオノワ。背中折れそうだからもっとご飯食べて。

■第3部■ 20:05-21:05
「眠れる森の美女」
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
◇ルシンダ・ダン&マシュ・-ローレンス
ルシンダの踊りが丁寧で柔らかく、意外なほど気に入りました。Aプロの眠りではいまいち満足できなかったので、オーロラの星屑のようなきらめきが見られてうれしい。きらきらはあくまでも手や腕の仕草が見せてくれる残像のようなものなんですけどね。あと幸せのオーラを振りまく表情ね。ルシンダのまるいオデコがかわいらしくも見えて、なんか満足でした。

「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
◇オレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ
これはもう、素晴らしかった。やっぱりデュポン大好き。濡れたような豊かにうねる髪がマルグリットのなかの「女性」を強調しているようで、格調高くマルグリットを見せるかと思うと、可愛らしくまとわりつき、手で束ねられるといじらしく、時に激しく揺さぶられる。それはそのままマルグリット自身でもある。アンマンに夢中になっていく心臓の鼓動が聞こえてきそうな、頬を染めたデュポンが愛らしくて。もう他は何も見えずに、アンマンの視線だけに集中している。
これはルグリとだからこんなにしっとりくるのかな、とも思う。
ルグリもステキでした。はい。もううっとりでした。この二人で全幕が見たひ。

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキ-
◇ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ
鬼門のダイヤモンドですが...ちっとも眠くならなかった。それどころか、みぞおちあたりにずっしり来る作品と化していました。振りと音楽は同じなのに、こんなに違う別物に仕上げられるってすごい。
ヴィシの口開けっ放しは気になるものの、二人の強い決意のようなものが感じられて、凄まじい意気込みに圧倒されました。手に汗握りじっと見入ってしまいました。
二人のテーマは何だったのだろう。宝石が持つ、輝くという一般的なイメージじゃなかったことは確か。高価な宝石なら何世紀にも渡って人の手を渡り、それぞれに歴史があるもの。煌びやかなだけじゃない、その重みなのかも。
もっとずっと見ていたかった。
マラーホフはどうしてもナルシストという印象が強くてタイプではないけど、もっと自分に酔ってるのかと思っていたら、役にのめりこんで入り込んじゃうタイプなんですね。(2回見た限りでは)
ダイヤモンドが凄い出来だったので、思わず二人の「ジゼル」のDVDを買っちゃいました。

「孤独」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ジャック・ブレル/バルバラ
◇ジル・ロマン&那須野圭右
やっぱりベジャールは苦手だ。どう理解したらいいかがわからない。
那須野圭右さんが動き始めたあたりで、んんー、もしやロマンが彼にホモ的感情を抱いているのでは、と見ていると、そのようなシーンが。でー、つまりどういう作品の意図が?
プログラムにあるベジャールの言葉を読めば少しはわかるだろうか。 『ジル・ロマン - ジャック・ブレル。彼らの心、肉体、魂は孤独で、傷ついている。皮肉な苦悶の双子の兄弟......。彼らは知っている!』 むーーー、ますますわからん。 

「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
◇シルヴィ・ギエム&ニコラ・ル・リッシュ
同じ第3部の2幕からストーリーが展開しているようで味なプログラミング。
Aプロのハンブルク・バレエ組はもっとダイレクトに、ダイナミックに演じたのに対し、ギエムとル・リッシュは感情に訴えようとした内面の演技?
?マークをつけるのは、胸に響いてくるものではなかったから。
えーと、マルグリットは死に至る病を患っているんですよね?あくまで力強いギエムの強靭さがその命が消えそうな弱さを消していて、場面にそぐわないと思ってしまうのだなー。
ル・リッシュも演技派だと言われていますが、彼女を苦しめて自分も更に苦しんでいる痛みみたいなのが訴えかけるように伝わってこないので...。
どうもタイプじゃないみたい。

■第4部■ 21:15-22:00
「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス
音楽:レオ・ドリーブ
◇アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス
楽しく技を披露~、という作品でしょうか。衣装はルテステュによるデザインなんですね。オーガンジーがひらひらと重なり合ったようなスカートが回転すると薄紫のグラデーションがぱっと開いてとてもかわいらしい。
二人が旋回しながら交錯していくところは息もぴったりでした。

「三人姉妹」
振付:ケネス・マクミラン
音楽:チャイコフスキー 編曲:ギャモン
◇タマラ・ロホ&イナキ・ウルレザーガ
あ、これマクミランだったの?ストーリーをまったく知らないので、幕が開いたとき「女学生と戦争に行っちゃう若い将校」?と思っちゃった。二人の離れられない、追いすがる、別れに向かっていく演技が間違った解釈にぴったりはまり、それなりに最後までストーリーがつながってしまった。タマラは人妻の役だったんですね。あら~、ぜんぜん違う。
タマラの瞳が大きすぎて白目がないように見えるので、人形のように見えちゃうのが玉にキズ。前髪が長くて似合うけど眉の演技が見えないしね。多分席が遠すぎたのだろう。

「マノン」より"沼地のパ・ド・ドゥ"
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
◇アレッサンドラ・フェリ&ロバート・テューズリー
フェリ、さすが。もう本当に細い息しかしてないマノンだった。薄い意識でありながら、最後にデ・グリューといられることがすべてで、幸福を感じていたのではないだろうか。
激しくパ・ド・ドゥを踊らせるのは、マノンの無意識の消えそうな情熱だったのだろう、なんて思った。死んでいく前に奇跡のように眩しく命を燃やす一瞬があったのだ、と見終わって3日経ってからそう感じた。

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
◇レティシア・オリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ
オリヴェイラって誰だっけ。あ、そうそう、Aプロでタンバリン持ってた人ね。
Aプロのドン・キが凄いことになってたので歩が悪いけど、これはお祭りだし、最後はひとつ、華々しく決めてほしい。
ううぅ、ちょっと危なっかしい。この二人、ドン・キを得意としてるのかな?むむぅ。
キトリの32回転で扇子を持った手のポジションを回転ごとに変えていくのは盛り上がった。ほっ。やっと調子でてきたかな?もう少しだ、頑張れー。
ま、とりあえず最後まで辿り着いた。ほっ。
トリがこんな感想でいいのか?!


全幕は買わなかったから、これで世界バレエフェスはおしまい。
チケット代が高くて躊躇したけど、見といてよかった。
惜しむらくは、演奏がへろへろだったこと。
ドン・キはAプロもBプロもハープがダメダメで、音は弱いし早く流れちゃうしキトリもテンポを取りにくそうだったの、奏者はわかってるかな~?
他にも出だしがガタガタでよくダンサーがずっこけなかったとヒヤヒヤした。演奏のまずさが気になってしまうなんて、気が削がれて困る。もうちょっと修行してね、東京フィルハーモニー交響楽団さん。



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