06/10/08【シェヘラザード】Aプロ2006年10月8日 【ルジマトフ&インペリアル・ロシア・バレエ】 (於:新宿文化センター) 第一部 「カルミナ・ブラーナ」 「アダージェット~ソネット~」 音楽:G.マーラー 振付:N.ドルグーシン 出演:ファルフ・ルジマトフ 第二部 「シェヘラザード」 音楽:N.リムスキー=コルサコフ 振付:M.フォーキン 出演:ゾベイダ= ユリア・マハリナ 金の奴隷= ファルフ・ルジマトフ シャリアール王= ゲジミナス・タランダ 『カルミナ・ブラーナ』 観たんだけど...覚えてない。・・;?? 『アダージェット~ソネット~』 アダージェット~ソネット~が終わった段階で、鼻血出してるひとがいました。刺激が強すぎたのであろうか。お大事に~。(その後のほうが刺激強いと思うけど大丈夫だったのかしら) アダージェットを初めて見て、しみじみと、ルジは跳ばなくても回らなくても、こんなに世界をつくりだせて、エモーショナルに迫れる人なんだな~と思いました。 ただただ美しい見事な上半身がそれだけで一級の芸術です。オリーブがかった肌の色がエキゾチック。これ、なまっちろい肌じゃダメなんですよ。これ以上筋肉隆々としていてもあかん。ルジは本当にほどほどの丁度良さに寸止めされてるのが見事です。 アダージェットはとにかく彫刻のようなルジ(の美しいカラダ)に見惚れてしまい、なんだかよく覚えていません。こんなに惜しげもなくさらけ出していいんでしょうか。何を?と聞かれてもよく分かりませんが、ルジの持つ精神的な何か、魂のゆらぎとか、肉体の極地とか、奥深いエネルギーとか、命の源とか、形ある美しさとか、なんかそんなもの。 伏目がちになにかもの言いたげなルジの顔が素敵でたまらん。虚空を見つめる目は魂持ってかれてたみたい?でラスプーチンを思い出したりなんかして。 本日の髪型はくるくるクシャクシャで最高でした。乱暴に乱れた前髪がそれ以上に最高でした。 あぁ、できれば白パンツのほうが良かったな...。白いほうがこの場合もっとスピリチュアルな感じがするので。 『シェヘラザード』 ついに観られたシェヘラザードは、ある意味想像してたまんま。 登場シーンで飛び出してこなかったので、スパークするほど衝撃は走らなかったせいか、意外にその瞬間は冷静だった。 息をのむ性急さより、放たれるのを静かに待つ野性とか、慎重に影をひそめた肉食動物のような気配があった。フェロモン薄め?おとなしめ? どの瞬間も、こうあって欲しいと思うそのままの、なにもかもが美しいポーズ。言うなればお手本のような、こうあるべきの美しさ。 次回は予想をぶっちぎりで裏切ってほしい。 それでもルジの瞳が変化するたびに、ポーズが移り変わるたびに、内に内に向かって吐き出される重たいルジの吐息が、自分のなかに沈殿していくような感覚。これが外へ爆発したらどうなっちゃうのでしょう。 没個性の他の奴隷達と一線を画すルジが登場したとたん、やっぱり違う。王妃がお気に入りだというのが至極当然、と誰もが認める格の違い。誰より抜きん出たプロポーションに、賢そうな凛々しい顔つき、眼光の鋭さ。この強靭な肉体とおそらく精神も併せ持つ奴隷が、王妃の前で完全なる僕(しもべ)となり、恭順な奴隷として完璧な服従を見せる。 これだけで王妃の心をくすぐるには十分すぎる。だから王の居ぬ間にこっそり会う楽しみを持ったからとて何を責められましょうぞ。(なんか古語調) その分、王にもやさしくするし、真実を知ろうとしなけりゃ王も幸せだったのに。 王妃だけに飼われたいと、その許しを請いたいと願っている奴隷に、王妃はかぐわしい香を放つすべらかな手を伸ばし、その顎をなであげると、奴隷の目は哀願に変わり、王妃の意のままになる命令を待ちわびている。さきほど辺りを睨んだ目が嘘のよう。さざ波だつ湖面のように、ざわつく心を映す、すがる様な目。 あんな目で見られて、舞台の上のこととはいえ、マハリナはドキドキしないのかな~??だってずっと見てるじゃないですか。ゾベイダのことを求めて求めて、食い入るように見つめまくってるじゃないですか。そこで「いや~ん!」てなったら舞台にならないけどさ。 マハリナは、威厳ともいえる品格を保ちつつ、猫のような悪戯っぽい目つき、艶っぽさ、なまめかしさをくるくる入れ替え、金の奴隷を翻弄しつつ身をまかせる。 マハリナはやっぱり「色っぽい」の波長がルジとピッタシくるんですね。熱っぽい官能の世界!と思うのに、何故かいやらしさではない。体つきもすごく色っぽいのに(腰まわりを絞ってグッとセクシー)潔さみたいなものがある。 で、なんでこのゴールデン・コンビのAプロが一回だけの公演なのぉ~?好評につき追加公演!なんてないよな~~。 ご機嫌ゾベイダにぴたっと密着し刹那な愛に生きる奴隷。今この腕にゾベイダを抱くことがすべてだから、切羽詰った愛し方をする。その目が痛々しさも湛えているようで、切なさがかっこいい。もうどないしましょ。 ゾベイダに水を与えられる場面にはヤラれるだろうと思ってたけど予定どおりです。水を飲む間中ゾベイダを見つめているルジ(もう、ここはルジと言わせて)は、ゾベイダばかり見つめすぎてたぶん口から水がこぼれてたな。従順すぎてかわいい。ここでゾベイダが優雅に手を差し出そうものなら、かぶりつきで口づけただろうな。王だったらこんな慕い方はしてくれないわけで、だから危険な恋をやめられない。 ゾベイダに「ほら、踊ってきなさい」と指を舞台にむけられると、それまでむさぼるようにゾベイダだけを見ていた奴隷モードはどこへやら。突如男ぶりがあがって険しい顔つき。ひゃ~。かっこいい!その睨み据える一直線の目線がイタタタタ……。矢になって心臓を一発射られました。 今舞台を支配している金色に輝く奴隷は、その身を激しく自分に捧げていて、女神のごとく崇めたて、かしづいている存在なのだから、ゾベイダにとってもさぞやお気に入りの一品、じゃなかった、愛人だったことでしょう。きっとマハリナもご満悦の表情だったのでは。(ルジばかり見てたのでマハリナの表情は見逃してしまった) ついに王の知るところとなったら、ほとんど抵抗する素振りも見せずに潔くすっぱりと斬られて、主人に逆らわない奴隷ゆえの最期。(背信行為してたけど) ゾベイダの命乞いはこれまたねっとり王にまとわりつき、妖艶マハリナの真骨頂。この手の男の惑わせ方は天下一品といっても過言ではない。 だから、何故マハリナ・ゾベイダが一回こっきりなのか不思議でならない。 この演目にかけては、ザハロワだって適わないと思うんだけどなー。 お願いだから、マハリナ・ルジコンビで再演してほしい。 あくまでも初日の勝手な妄想編。 初日はルジがひたすら僕(しもべ)モードでゾベイダを渇望する視線が熱病のようだった。毎夜ゾベイダと王に嫉妬して恋の病いに苦しんでいそうな奴隷。声がかかるまではその姿さえ見ることも叶わない、なんという苦悩の日々。人間の摂理で抑圧されると余計に欲望は渦巻く。 (ここから妄想。by奴隷の気持ち) 王妃様はまだわたしをお傍に置いてくださるのか?次はどこまで望んでくださるだろう?王にも同じ囁きをされているのか?あぁ、いまの境遇が呪わしい。 ゾベイダに言われる。あなたはわたしのものよ。わたし以外の誰のものでもない。わたし以外の誰もそのように見つめてはならない。 王妃様。わたしの全てはあなた様のものです。王妃様の美しさ以外にわたくしが見たいと望むものはなにもありません。歓喜にうち震えながら奴隷は答える。 自分を見る王妃の視線に会う。何度目にしても食い入るように見つめてしまう。 王妃の近くに仕える、待ち望んでいた瞬間。まばゆいばかりの真珠色の肌にめまいがして、一瞬気を失いそうになる。王妃さまはなんてお美しいんだ...。 退廃的なハーレムの鬱屈としたムードに人生の希望も光も失っていたけれど、今はこの時がすべてだと思える。奴隷として囚えられる前の栄光の日々も懐かしく思わないほど、この時のために生きていたのだと思うほど、わたしは我が王妃様にこの身を捧げるのだ。だが王妃様はわたしが想うほどわたしを想ってはくださらない。ひとことでよいから欲しい。 王妃様が望まないかぎり、口に出しては言えない。だからどうしても目で訴えてしまう。あなたをお慕いしていますと。もっと切実な感情も。 わたしを崇めなさい。と王妃が命ずる。わたしの美を称えなさい。できうる限り優美に、最大の敬意をもってゾベイダを賛美する。その美しさが自分を捉えて離さないのだと。足もとに平伏す行為に最上級の従順さを込められただろうか。 王妃に触れるとどんなに自制しても震えてしまう。指先だけではない。全身に電気が走るのだ。まことに王妃様は特別なお方。お望み下さればどんなことでも従います。たとえ命を落とすことであっても。 果たして王妃に導かれるまま、甘美なときは自分の細胞を打ち砕く。どうしてここに永遠が存在しないのだろうか。このまま王妃の命令に縛られていたいと願うのに。 そこへ行ってわたしを楽しませなさい。ゾベイダは命令する。王妃様に踊りをお見せする喜び。一方王妃の傍を一瞬でも離れたくない。でもおまえは素晴らしいと褒めてもらいたい。音楽が情熱を駆り立て、躍動する肉体は王妃ただ一人に向けて力強く放たれる。 ゾベイダは猛々しい姿に満足し奴隷の腕の中へ。おまえは本当にかわいいわ。それに美しい奴隷よ。わたしの傍にいなさい。わたしはおまえに夢中なのよ。 ゾベイダの真意は計れずとも寄り添えるだけで無上の喜び。このままこうしてずっといられたら...! 願いは打ち砕かれる。王に知られたからには生きてはいられない。ゾベイダが自分の手をとり共に逃げようとしただけでも十分に幸福といえる。王妃にとって不都合な自分。王の寵愛を一身に受ける王妃はやがて許されるであろう。自分は潔く死ぬしかない。抵抗して屈辱的な死を迎えるのは本来の身分には相応しくない。ましてや王妃をそのようなことに追い込むことなどできない。王妃さま、どうか自分を捨て置きください。何もかも否定ください。愛する王妃からすばやく離れ、自ら運命を受け入れた奴隷。ゾベイダの悲痛な叫び声が天を切り裂く。王妃さま王妃さま、どうか...。 (奴隷が主役なので、ここでおわり) ちと暴走しすぎたか...。 ジャンル別一覧
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