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ラメな毎日

ラメな毎日

06/11/15+17【白鳥の湖】


2006年11月15日&17日 【白鳥の湖】新国立劇場バレエ
(於:新国立劇場)


オデット/オディール: スヴェトラーナ・ザハロワ
ジークフリート王子: デニス・マトヴィエンコ
ロートバルト: 市川透
王妃: 楠本郁子
道化: グリゴリー・バリノフ(15日)、八幡顕光(17日)
王子の友人(パ・ド・トロワ): (15日)遠藤睦子、西山裕子、中村誠、(17日)高橋有里、さいとう美帆、マイエン・トレウバエフ
小さい四羽の白鳥: 遠藤睦子、西山裕子、本島美和、大和雅美
大きい四羽の白鳥: 真忠久美子、厚木三杏、川村真樹、寺島まゆみ
スペインの踊り: 西川貴子、厚木三杏(15日)、湯川麻美子(17日)、マイエン・トレウバエフ、冨川祐樹
ナポリの踊り: 高橋有里、さいとう美帆、江本拓
ルースカヤ: 西山裕子(15日)、伊藤友季子(17日)
ハンガリーの踊り: 遠藤睦子、奥田慎也
2羽の白鳥: 厚木三杏、川村真樹




新国の白鳥を見てきました♪

15日だけチケットを取っていたのだけど、絶対にムリだと思っていた17日、突如として仕事がうまく終わりそうだったので、奇跡のように残業なしでピンポン・ダッシュ(=終業の鐘とともに走り去る)で初台まで駆け込み、奇跡のように滑り込みセーフ。
ぜーはー。汗だくでした。(・ ・;;;;

ザハロワの真骨頂、白鳥はやっぱ見ときたいでしょう、なんてそれほど気合い入れてませんでした。チケットを取ったときは。先月のシェヘラザードでザハロワいいな~と思ったので、そこから楽しみにしてました。(世界のプリマに対してこの反応の遅さ。許してください>スヴェトラーナ様)

15日にザハ@白鳥を観て、正直、いや~格が違うね。と思いました。持って生まれた身体能力に白鳥になるべくして授けられたような長~い手足のしなやか~な動き。回転はちょっと苦手?とは思うものの、なんでしょう、あの極限まで美しいシルエットは。

無理して脚上げてるわけでもなく、力みがなくてやわらかさを感じました。ザハロワの脚が曲線を描いているので、余計にそう感じるのかも。この方が美しいので脚はここまで上げました、とさりげないくらい自然にキメてました。ワザとらしく感じる人もいるようですが、そうですかね~?

背中がヒジョーにきれい。無駄な肉がまったくなくて、肩幅も華奢すぎずがっしりしすぎず。
脚があれだけ上がるのは背中も股関節も柔軟ってことですよね。ザハロワは好みが分かれるみたいですが、私はかなり好きです。クラシックは一通り観てみたい。

マトヴィエンコがかわいかったー。えー、観るまではまったく期待してませんでした(すいません)。これまで雑誌にある写真は今ひとつだったせいか、ウヴァの代役に決まったときはちょっとがっかりしたんです。写真映りが悪いのか、髪形がおかしかったのか。実物ったらキュートじゃないですか。笑顔がラブリー。髪型も王子らしく優等生ぽくてマル。立ち居振る舞いもスマートで、いかにも素直に育った若君らしい。だから素直にオディールに騙されちゃったんですかねぇ。「女性のことはボクよくわからないけど、きょ、今日はなんか積極的だね。」なんて。ウブっぽい。それじゃぁ、オディールの思うつぼよ~~。

黒鳥のザハロワもすばらしかった。王子を見る目は「あたしのこと好きでしょう?」、王子から見えないときの視線は「騙してるのよ~」をアピール。キリっとしててかっこいい。バランスが最高に安定してて、絵を切り取ったように見せ所を目に焼き付けてくれました。

ところでジークフリートのママ(王妃)の衣装は、あれはなんじゃ?宇宙人?パーカーのフードをぴったりめに泥棒かぶりして、後姿の首がE.T.みたいだったんですけど。清々しい王子と並ぶと超違和感でした。いったいどういうコンセプト?

◇◇◇


ロットバルトに迫力がないのはどうかと思う。そもそもフクロウという設定にはいかにもそうかも。でも、大魔神みたいなお顔なのに、衣装が昆虫みたいだし、体中のウロコのような模様はフクロウより青魚を連想してしまった。プログラムによるとデザイン画に忠実だから、構想には合ってるらしい。多分大魔神顔の迫力に比べて首から下がスースーして心もとない、強そうな羽もないからぢゃないかと...。あのシースルーの羽、ひらひらと広げたところがど-も「蛾」に見えちゃって、あの羽ではとても飛べそうもないと思われ...。(重くて) 悪の化身なんだから、もうちょっと闇に引きずり込みそうな不気味な怪しさがほしい。パリ・オペのロットバルトの衣装なんか良かったなぁ。羽も大きくバッサバッサと開いてGOOD。あれくらいの迫力をキボウ。

グリゴリー・バリノフの道化(15日)は芸が細かくて、場を盛り上げる道化にぴったり。
舞台袖で王子とこちょこちょやってる演技も楽しかった。マトヴィと交互に注目でした。見せ場のぐるぐる回転もばっちり安定してて拍手拍手でした。2幕の衣装というか、頭にかぶってるものがどう見ても「自由の女神」だった。かぶってるのが道化だから「裸の王様」のパロディとも見える。

パ・ド・トロワは17日のトレウバエフ!顔が濃くてどっちかというと強い踊りのイメージ(見た目)なのに、ひときわやわらかい。両脇の女性よりやわらかい。3人のうちで誰よりもフワッと舞い上がり、後ろ足が誰より高く上がる。そして優雅に着地。腕の描く曲線のきれいなこと。

ルースカヤとはなんぞや、と思っていたら、「エッセンシャル・バレエ」で重量級チェンチコーワが踊っていた「ロシアの踊り」のことですね。DVDではあまりに退屈で2度目からはすっ飛ばしてみてたやつだ。この音楽は弦の音が美しくて良いですね。踊りも衣装も良かったと思います。イメージはロシアの伝統的宮中民族舞踊(ってあるのか?)。

それにつけても、王妃の衣装。プログラムにある説明みても納得いかんぜよ。「未亡人である王妃の役柄を深く解釈した衣装をデザイン」...???
どのあたりを掘り下げたらE.T.になるのだろう。

◇◇◇


プロローグでオデット姫が縫い物してるところは人間らしくてかわいらしいじゃありませんか。縫い物という発想がフツーの人っぽいけど、姫のたしなみですかね。レース編みを手習いする王族もいるし、日本でいうお茶・お華って感じかな?

お城の中(安全な場所)にいるのにロットバルトに狙われるということは、前から目をつけられていた模様。湖にいる白鳥たちはかつてのオデットの侍女たちだとものの本に書いてあったけど、そんなに侍女を連れ去られてるの?(そしたら警備は厳重に...SECOMがあれば...)

白鳥に変えられるタイミングが早すぎやしませんか?15日は「あ、そこに白鳥いたの?」というマヌケな感想。同一人物とは思わず、ワンテンポおいてから理解。だって立ち位置が違いすぎるし。17日は「その背中はザハロワじゃないでしょ」 えぇ、わかってますよ。ザハロワを一瞬で吊り上げることはできないって。
そしたらスカラ座のブルメイステル版の演出のほうが良いと思うな~。湖畔に訪れたオデット姫がロットバルトの身の丈3倍はありそうなマント(羽?)に吸い込まれて覆い隠され白鳥に姿を変えて出てくるというやつ。

ここでひとつ疑問が。
王子が会っているのは夜中だけ人間の姿に戻っているオデット姫なわけで、夜の間は人間だけど白鳥の化身ゆえにあのような衣装と白鳥を模写した特徴的な動きをするわけですよね、ふつう。でもブルメイステル版も今回の新国・新解釈版も、あの衣装=白鳥のオデットになるわけで、王子はそのまんまの白鳥に恋したアタマのおかしい人になってしまう---。うーん、深く考えちゃいけないのかもしれない。きっとほかの解釈があるんですよね…。

関係ないけど、スカラ座のDVDでひとこと言いたい。
道化がどうしてもマチャミに見える!
(ほんと、どうでもいいことですけど)

エンディングがハッピーエンドなのはまだいいとして、終わり方がいまひとつ。誓いを破ったことへの王子の罪の意識とか、一生このままだと嘆くオデットの悲劇とか、観客を引っ張ってきた物語の核が、なよなよと倒されるロットバルトに「なんだよ、その情けない悪の姿はっ!」と言いたくなった。

そんなんで倒せる相手だったんだ。うわー、悩んで損した。(by王子)
誓いを破っても愛の力でどうにかなるんだったのね。はやく言ってほしかったわ。(byオデット)
そんな奴に苦しめられてたあたし達のこの怒りの持って行き場はどこへ?(by白鳥たち一同)
あたしの熱演が報われないじゃないの。(byオディール)

なにしろ秘密兵器が王子掲げるオデットの愛のパーンチ。(実際はパンチもなにもしてない)
愛の光線だ、くらえ~!......って感じだったのに、腰砕けに弱くなっていくロットバルト。しまいに湖にごろごろと転がり落ちていってしまった。えぇ~。王子との取っ組み合いもなし?

まー、キーロフのDVD(マハリナとゼレンスキー)でも王子のへなちょこパンチで致命傷になるロットバルトも首をひねりまくったしね-----。

ザハロワとマトヴィエンコはそれらを帳消しにするくらい美しかったからいいけど、これなら悲劇のほうが感動が残ったのに、と思ってしまう。もしくは、オデットにふにゃけてるマトヴィ王子のためにハッピーエンドで良かったね、と言ってあげるべきか。

ザハロワの優雅な美しさもテクの素晴らしさも表現しきれず。きっとチャイコフスキーもプティパもザハロワの白鳥を観たら感激するであろうと思う。

マトヴィは細身に見えてザハロワを軽々リフトしてキープしてたから力持ちさん?下ろすときも着地がやわらかい。ザハロワがふわりと軽く浮いて、より美しくみせてました。サポート上手!
寄り添うふたりはうっとりするほどきれいだった~。またこの二人でも観たいと思う組み合わせでした。でも新国ゲストだと毎回この版ってことになるのだろーか。ラストだけビミョー。悲劇バージョンでもつくってみてほしい。



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