椿姫を書いたアレクサンドル・デュマ・フィスの父、アレクサンル・デュマ・ペール(息子と同名なので父という意味のペールをつけたりするとか)も言わずと知れた有名な小説家ですが、今まで読んだことがないと思っていました。
椿姫のアルマンはデュマ・フィス自身がモデルなので、息子の行く末を心配してマルグリットに別れを決意させた父は、厳格な人なんだろうな~と想像していました。
でもデュマ父って毎夜浪費してついに破産した人なんですよね。
などとプロフィールを見ていたら、代表作に【王妃マルゴ】が。
あらら、すでに読んでました。というか、かなり好きな作品です。先に映画で観て、いたく心に残りました。マルゴことマルグリット・ド・ヴァロワという王妃をイザベル・アジャーニが演じたのですが、もう、息をのむほど美しかったです。
【王妃マルゴ】
宗教戦争、政略結婚、陰謀、毒殺(これがオソロシイ)がドロドロに渦巻くなかの王妃の許されない純愛と悲劇です。
ストーリーなど詳細はこちらで→王妃マルゴ(1994) - goo 映画
小説を読んでもう一度映画のほうをレンタルし直したりもしました。思い出してみるとまた観たくなってしまう。16世紀フランスの宗教戦争のことを少しは頭にいれてから映画を観るとより理解できていいと思います。が、小説は登場人物の名前とそれが誰でどんな立場だったか追うのに時々頭に???が浮かんで読み返したりしました。だってねー、アンリという名前がいっぱいあって、アンジュー公というマルゴの兄もアンリ(後のアンリ三世)だし、アンリ・ド・キーズ公がいて、アンリ・ド・ナヴァールがいて、先王もアンリ(二世)だし。マルゴの弟フランソワはアランソン公という名前もあるし、もう?????です。
王妃マルゴが執筆されたのは1845年。息子が【椿姫】を書いたほんの3年前なんですね。
イザベル・アジャーニがインパクト強くて、すんごい強烈に女の芳香を放っています。結婚前~結婚式当日の行いなどは、おフランスの姫君は皆こんなに慎みがないのだろうか?と思っていましたが、彼女は特別に慎みがなかったそうです。~依存症だったとか。
別のインパクトを放つ、カトリーヌ・ド・メディシス(マルゴや国王の母)がコワいコワい。彼女は夫であり先王のアンリ二世が愛人を作ってばかりいたのに彼一人を愛していたんですよね。美しい息子のアンジュー公(後のアンリ三世)を溺愛していたというのは、彼女の満たされない心の内を見るようです。
マルゴの愛人ラ・モルを演じるのはヴァンサン・ペレーズ。
二枚目でいかにも王妃が策略なく愛する真面目な青年貴族でした。怒涛のように時代が動くなかで、カトリーヌ・ド・メディシスにはめられて宗教戦争の犠牲となるのですが、映画ではマルゴはその時を別の場所で迎えたような...。(記憶薄) 小説では小さな塔の窓から見守っており、ラ・モルもその姿を認め、王妃からもらった金の御守りに何度も何度もくちづけたのですよね。
残酷でどうにも切ない結末ですが、歴史はこれを繰り返しているわけで。こののち、勝ったと思ったカトリーヌ・ド・メディシスの息子達には嫡子ができずに、負けたはずのナヴァール王アンリ(マルゴの夫)の治世がやってきて、アンリ四世となり(あぁ、複雑)、これがブルボン調。ここから後の太陽王ルイ14世が生まれる、という歴史の皮肉の一幕を切り取った映画です。
また観たくなったのに、DVDは今は廃盤らしい。うそーん。お願いだから再販して~。