お母さんと手を繋いで。
お母さんと手を繋いで坂道を登っていく男の子を見かけた。男の子はずっとお母さんに話しかけている。疑問や文句や報告など切れ目なくずっと。お母さんは一つ一つ相槌を打ったり文句を言い返したり。懐かしいな、と思う。息子があれくらいの頃きっとあたしたちも手を繋いでいっぱい喋ってた。お迎えに行くとジャンプして抱きついてきたし虫がいたら立ち止まって動かなかった。楽しい行き帰り。10分で着くところを30分くらいかけて帰ってた。娘はどうだったろう。21を超えた今でもいっぱい甘えてきてくれるけれどきっとあの頃あたしは余裕がなかったから娘が私にムッとすることもいっぱいあったろう。申し訳なかったな、と思う。彼女は昔から黙って収めてくれるところがある。その分溜まっていって「え?今?なんで?」というタイミングでよく爆発してた。今はうまく発散できるようになったかな。私も子供の頃ツンちゃん(母)によく一日のことをあんな風にずっと話して聞いてもらってた。ツンちゃんは別格で何も構えず全部さらけ出しても大丈夫な唯一の大人だった。無条件で受け止めてもらえていたあの毎日が今の私のベースを作ってくれてると思う。そして子供たちに対する姿勢もそこから覚えたんだと思う。そう考えると今までの私の姿を子供たちが見て覚えてるとしたらなんだか心もとなくなってくる。私は何か子供たちに伝えられたのか何か大事なものをちゃんと渡せているのかちょっと自信がなくなってくる。そんな夕暮れ。