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2016.10.30
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テーマ:ニュース(621)
カテゴリ:出来事
母さん、足、大丈夫?

うんうん。もう痛くないよ。

ちょっと消毒するね。沁みたら教えてね。

母のくるぶしのガーゼを交換するのは日課となった。

いつの間にか夏が過ぎ、秋は急ぎ足で寒さを運んできた。


おじさん、もうだめかもって連絡きたの。

咽喉にさしみが詰まって意識がなくなったって。

かわいそうにね。一生懸命、長男が介護してたのに。

母さんが見舞いに来てくれたら、生命維持装置を外すって。

母さん、行く?弟でしょ?


母の下に連絡が来たのは、春もまだ浅き頃だった。

人口呼吸を外したら、すぐにおじさんの葬式になるからって。

母さん、しばらくそっちにいてね。


けれど、長男の懸命の看病で、叔父は一命を取り留めたようだった。

帰れなくなった母は、妹の近くで一人暮らしをしていた。

なんかね。変な男が母さんの部屋から出てきたのよ。いつも鍵を掛けていたのに。

妹から連絡が来た時、嫌な予感はしていた。



痛い、痛い。転んでね、足がすごく痛いの。

母さん、どうしたの?私はすぐにはそっちに行けない。

救急車を呼ぶね。

母の足は3か所も折れていた。

すぐに母を呼び返さなかったことを悔やんだが、後の祭りだった。

母の転んだリノリウムの床には、不思議なことに、その家にはないロウソクのろうが数か所垂れていた。





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Last updated  2016.10.30 21:29:02
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