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1920年代のシング牧師とオオカミ少女・カマラの出来事について、参考になる本があります。
『野生児と自閉症児』ベッテルハイム他・中野善達編訳 『ウルフチャイルド』C・マクリーン・中野善達編訳 福村出版刊・残念ながら2冊とも現在は絶版(私は図書館で借りて読みました)。 いずれも一読の価値があります。 『野生児と自閉症児』は1950年代のオグバーン教授による現地調査報告をふくむ、 批判的な論説をまとめて翻訳したアンソロジー。 『ウルフチャイルド』は1975年に著者のマクリーンがやはり現地調査・取材を軸に 著した伝記ふうドキュメンタリー。 オグバーンやベッテルハイムがオオカミ少女の実在に否定的なのに対して マクリーンは「オオカミに育てられた子」肯定派の立場です。 『ウルフチャイルド』を読むと、著者が動物学・心理学および 自閉症児に関して専門外で、知識を持たないことがわかります。 それゆえにいっそう、ハッとする記述があります。 カマラが日中はお気に入りの片隅で長時間じっとしていて、そのあいだは いっさい他者に関心をもたなかったこと。 雷鳴や嵐にも平気なのに、一定の物音にだけ敏感に反応したこと。 ひとつの単語を口にすると、それからしばらくその言葉ばかりくりかえしていたこと。 何かを聞かれると、黙りこくったまま、聞かれた対象の物を指さすことで 簡単なコミュニケーションをとれたこと。 赤い色に執着したこと。 ほかに、常人には理解不能な奇声を発したり、 自分の行動を制御できずよつんばいでとびはねたりすることは、 自閉症の症例として一貫して説明がつくそうです。 また、牧師がおおげさな表現を好んだことや、 オオカミ少女に関する手記が日記の体裁をとっているけれど ちゃんと時系列にそって書かれたかあやしいこと。 ゲゼル博士は牧師夫妻の愛情とたゆまぬ努力によって 少女カマラがオオカミから脱して人間のことば、行動様式を身につけ 成長する人間性回復の過程を感動的に書いていますが、 彼女が存命中の新聞記事や彼女をおぼえている内外の孤児院関係者への インタビューなどから検証すると、どうやら 彼女の本質は孤児院に来てから亡くなるまであまり変わらなかったであろうこと。 こうした点で、否定派と肯定派の差はあっても オグバーンらとマクリーンの記述に共通項がみられるのは 注目にあたいします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.08.29 11:33:51
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