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カテゴリ:読んだ本いろいろ
・・・または、『オーバーコートをもっていた』。 イデッシュ語つまりユダヤの有名な民謡なのだそうです。 そのおなじ民謡のコンセプトに由来する 絵本のバリエーション。 『おじいさんならできる』 ヨゼフがあかちゃんのとき、おじいさんがぬってくれたすてきなブランケット。 ヨゼフがおおきくなると、ブランケットはだんだんふるくなってやぶれて・・・ 「おじいちゃんなら、きっとなんとかしてくれるよ」 ヨセフはいいました。 「ふうむ、どれどれ」 おじいさんは そういいながら、はさみで ちょき ちょき ちょき、 はりで、ちく ちく すーい すい と ぬっていきました。 「ちょうど いいものが できるぞ・・・」 このリフレインが心地よく、 おじいちゃんの愛情いっぱいのくふうがつたわってくるようです(^^)。 ふるいブランケットは すてきなジャケットになり、 ヨセフがおおきくなってみじかくなると、 すてきなベストになり、 家の内外のそれぞれの生活の情景がおもしろい、 外で男性がかご盛りで売り歩いている ドーナッツのようなものは もしかしてユダヤ伝統のパン『ベーグル』? ベストがしみだらけになると、 すてきなネクタイになり、 ネクタイがよれよれになると、 すてきなハンカチになり、 ハンカチがぼろぼろになると、 すてきなボタンになり、 ところがある日、ヨゼフが気がつくと ボタンがなくなって・・・ とうとう、なにもなくなりました。 その次の日、学校にいったヨゼフは、 おじいさんにならって 「ふうむ、どれどれ」 かみに すら すら すい すい、 「ちょうど いいものが できるんだ・・・」 ヨゼフとおじいさんの、すてきなおはなしができました(^^)。 作者のフィービ・ギルマンは女性で、 1932年ニューヨークに生まれて ヨーロッパやイスラエルで美術を学び 30代以降はカナダ在住とのことですが、 絵本の おじいさんとヨゼフは 北米というよりロシアか東欧のユダヤ人ゲットー が舞台のようなふんいきがあります。 『だいすきだった アービン・ハーシホーンおじいさんへ』 との献辞から察するに、 かつてヨーロッパにすんでいたお祖父さまから語り伝えられた記憶なども 盛り込まれているのでしょうか。 ヨゼフへのおじいさんのあたたかいまなざしがすばらしいです。 『ヨセフのだいじなコート』 こちらのヨセフは成人男性。 カラーインクやコラージュを駆使した 明るい色づかいがとても楽しい(^^)。 ヨセフのだいじなコート、 あちこちすりきれてつぎをあてて・・・ それでもまにあわなくなると、 ジャケットにつくりかえ、 チョッキにつくりかえ、 いきいき、のびのびしたみんなの表情、 家畜や音楽やダンスにいろどられた日常は シャガール描くところの祖国ロシアのふるさとの村や ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』を連想します。 マフラーになり、 ネクタイになり、 ハンカチになり、 ボタンになり、 ミシンをもっている ということは、ヨセフさんは お金持ちとまではいかなくても なに不自由ないライフスタイルなのですね(たぶん(^^ゞ・・・)。 ついにボタンがなくなると・・・ とうとう ヨセフは " なんにも ない !" になってしまいました。 そこで ヨセフは、コートのことを ほんに することにしました。 ・・・絵本製作中のヨセフさん、 なんだか作者自身のようにみえてしまいます(^^)。 作者のシムズ・タバックは 1940年ニューヨーク生まれ、 長年NYでグラフィックデザイナー・絵本作家として活躍した 生粋のニューヨーカーということで、 そのほかの絵本もぜひ拝見したいですね。 ユダヤ人 というと、 古今東西あらゆる分野で天才を輩出している優秀な民族で、 金融資本で世界経済を支配していて・・・ というイメージですが (すみません不勉強なもので(^^;)・・・) 絵本の世界はいずれも 名もなく富裕でもない市井の人々の シンプルだけどヴィヴィッドな生活や おじいちゃんと孫のほのぼのした愛情、 とても普遍的なテーマ。 ・・・そして つつましい生活のなかで ものをたいせつに、 つかえなくなったらあらたにつかえるものにつくりかえて 活用してゆく・・・ およばずながら、あこがれます。 みならって少しでも近づけるようになりたいなあ。 人気ブログランキング 本・書籍ランキング ハンドメイド(リメイク)ランキング にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.08.15 22:21:50
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