鳥インフルエンザは大丈夫?

鳥インフルエンザは大丈夫?
市内の動物園の獣医に尋ねて見ました。
1 鳥類でもインフルエンザに弱い種、強い種があると思いますが、鶏は弱いと解釈できるのでしょうか。
H1-H7、H9、H10、N1、2、4、7。の亜型が存在します。鶏がインフルエンザウイルスに感染しても、普通はあまりひど
い症状は出さないようですが、H5、H7亜型の中には、家禽ペストと言われるほとんど100%致死性のウイルスがあり
ます。香港で分離されたA/Hong Kong/156/97(H5N1)はまさに家禽ペストであることが、HAの核酸の塩基配列と鶏
への感染実験から証明されたそうです。1983年アメリカのペンシルバニア州に侵入したH5N2インフルエンザウイルス
   ははじめは病原性の低いウイルスであったが、鶏間に伝播している間に家禽ペスト型のウイルスに変異しました。わ
が国では、1925年を最後に家禽ペストの発生はない。1996年9月、12月に鶏にインフルエンザ様の疾病が発生しま
した。H3N2ウイルス対する抗体が、検出されたが、ウイルスは分離されなかったので、原因は確定されなかったようです。
2 大分のケースではあひるは検査で陽性でしたが、死んでいなかったようです。あひるはインフルエンザに強い(保
菌)といえるでしょうか。

カモではH1-H15、N1-N9の亜型があります。このように、カモには全ての亜型のウイルスが存在しインフルエンザウ
イルスの本来の宿主はカモをはじめとする水禽類であったと考えられます。カモの場合腸管に感染し、無症状でウイ
ルスは糞便中に排泄されます。終宿主に対しては病原体は寛容であることを考えれば、水禽類で死亡するものが少
ないのもうなづけるのではないでしょうか?

3 もしそうだとすればアヒルの近縁種の白鳥なども保菌状態なのでしょうか。

ガン・カモ科ということでくくれば、ハクチョウも感染すると思います。
4 さらに、本当はカラス、すずめ、つばめ、むくどりなどの野鳥もウイルスを持っているか発病していないこともありえ
るわけでしょうか。
5 鳥類がインフルエンザに感染することは一般的にあるわけでしょうか。
6 その場合、鳥たちもヒトのように咳をしウイルスを撒き散らすわけでしょうか。
教科書的には、『ニワトリ・七面鳥を初め各種鳥類に感染する』とあり、また、『近年、我が国を含む世界各地で一見
健康な野鳥、ことにカモなどの水禽がインフルエンザウイルスを高率に保有し、その糞便中に排泄していることが明ら
かとなった。』とあります。

7 どのような条件でヒトに感染するのでしょう?。

これまでのところ、香港等のように店頭での生きたニワトリの小売りが一般的な地域において発生した感染事例や、
防疫業務に携わった人の感染事例等、まれにトリからヒトへの感染は見られた(数十例ほど)ものの、ヒトからヒトへ
の感染についてはオランダで疑われるとの報告がわずかにあるのみです。
 ヒトが鳥インフルエンザウイルスの感染を受けるのは、病鳥と近距離で接触した場合、またはそれらの内臓や排泄
物に接触するなどした場合が多く、鶏肉や鶏卵からの感染の報告はありません。
オランダの例(H7型)では結膜炎が主な症状だったが、一部の感染者では呼吸器の症状も見られています。
香港の例(H5型)では発熱、咳等のヒトの一般的なインフルエンザと同様のものから多臓器不全に至る重症なものま
で様々な症状がありました。死亡の主な原因は肺炎でした。
 「高病原性鳥インフルエンザ」という呼称はトリに対して特に病原性が高いインフルエンザの呼び方であり、ヒトに対
する病原性から決められた呼び方ではないとのことです。
 ヒトでの予防方法として鳥インフルエンザに対する有効なワクチンは、現在のところありません(研究、開発が行わ
れている)。本人の万が一の感染を避けるために、また付着したウイルスを他の地域のニワトリに拡げないために、
 ・鳥インフルエンザの流行が見られている鶏舎等への出入りは、用事のない限り避ける。
 ・用事があって鶏舎に出入りする時は、手袋、医療用マスク、ガウン、ゴーグル等の着用、手洗いの励行等の
基本的な感染予防対策が必要。
 通常の生活の中で、現段階では鳥インフルエンザウイルスに関する特別な予防を行う必要はないそうです。


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