カテゴリ:誘水日記
母が病院に搬送された家にいると、
切なくなってくる。 この家も、 住む人がいなくなってしまった。 前の夜まできちんと生活していた痕跡があちこちに。 ガス台の上、 一人用の小さな土鍋が乗っている。 ふたをとると、 煮干しとシイタケのだし汁。 朝ごはんのために用意したんだろうな。 一人分のだし汁。 炊飯器にはお茶碗一杯分のご飯。 母の日課。 一人ぼっちでご飯を食べて、 ひとしきり新聞に目を通し、 近所の人と少しのお話。 お墓参りに行き、 ごろんと横になってテレビを見る。 昼ごはんも一人。 デイサービスに行けばいいのに、 コロナが怖いと動かない。 郵便受けを開けるのが楽しみ。 ぼくからのはがきが、 週に2通は届く。 孫たちががんばっている様子が書かれているのが一番うれしい。 晩御飯も一人。 たまに、ぼくや孫たちと電話で話す。 よくしゃべった。 こちらが口をはさめないほど。 話をすることに飢えていたのかも。 今日、呼吸器ははずれた。 体も少しは動く。 でも、 意識は戻らない。 今、母はたった一人なのだろうか。 それとも、 先に逝った連れ合いや娘、息子と一緒なのだろうか。 ぼくと会ってから逝こうと、 母は思っているのかもしれない。 さみしさから解放されているといいな。 いい人生だったかい? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年10月22日 15時48分25秒
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