カテゴリ:Oの人生論
土曜日、津で映画『荒野に希望の灯をともす』の上映会があったので観てきた。
パキスタンやアフガニスタンで、 長年、病気や飢餓で苦しむ人たちのために活動してきた、 中村哲医師のドキュメンタリーだ。
彼が亡くなる少し前、 東京で講演会があったので話を聞きにいったことがある。
あのときも、 今回の映画も、 中村さんが病気の人を診察し治療するだけでなく、 その根本にある原因にまで手を広げ、 成果を出しているという姿に感銘を受けた。
砂漠化が進んで食料が作れない。 水がない。
それが原因で病気になったり亡くなる人があとを絶たない。 治療技術や薬では解決できない問題が横たわっているのだ。
中村さんは、 医者という仕事の枠を超えて、 大きな川に堰を作り、 運河を建設し、 砂漠を緑化し、 食べ物で困らないようにした。
自ら先頭に立ち、 石を運び、 重機を動かす。
お金もかかることだ。 活動に共鳴してくれる応援団が寄附を集めてくれた。 帰国したときには講演をして、 カンパを募った。
運河作りには何度も失敗するが、 決してあきらめない。 故郷・福岡の古い堰の作り方を参考にして、 見事にやってのけたのだ。
その後も、 洪水に堰や水路が破壊されるという、 泣きたくなるようなことも起こった。
それでも、 彼は立ち上がる。
彼を突き動かすものとは何なのか? 世の中には、 損得抜きで、 世のため、人のために動いている人がいる。 この間講演をしてもらった樋口元裁判長もそうだ。 ぼくは聞いた。 「70歳を過ぎて、 経済的には悠々自適に暮していける身分なのに、 こうやって日本中を回って原発の危険性を訴えているのはどうしてですか?」 彼はユーモアたっぷりに答えてくれた。 「ぼくが子どものころ、 ハリマオというドラマがありました。 月光仮面もあった。 みんな、正義のために命をかけて戦っていた。 何が大切か、 テレビで教えてもらった。 それを守っているだけですよ」 困っている人がいれば助けてあげる、 間違っていることには「それは違う」とはっきり言う。 学校でも家でも、そう教わったはずだ。 成長するにつれ、 できなくなってしまう。 ぼくはぺっぴり腰だから、 彼らのようには動けないが、 すごい人たちの話を聞くうち、 少しずつ子どものころの純粋な気持ちを思い出すのかもしれない。 大病をしたことがきっかけで、 大きく人生が変わる人はけっこういる。 そういう人たちは、 自分の命の限りを知って、 無邪気な気持ちをよみがえらせるのかもしれない。 中村さんも樋口さんも、 邪気がない。 無邪気なんだ。 少しずつ邪気を減らしていこう。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025年02月18日 11時11分27秒
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