カテゴリ:Oの人生論
ふっと思い出した。 少し前のことだ。
一人でスーパーに買い物に行った。
通い始めたトレーニングジムで使う安物の靴とウエストポーチを買った。 合計で3000円もしない。
レジに向かった。
このごろは、 セルフレジが主流になっている。 ぼくはあれが嫌い。 必ず有人のレジに並ぶことにしている。
しかし、 「これからはセルフばかりになるだろうから、チャレンジしてみるか」 なぜそんなことを思ったのかわからないが、 セルフレジを使うことにした。
大して難しいものではない。 何とか支払って駐車場に向かった。 車に乗り込み、エンジンをかけた。
「あれっ、ちょっと待てよ」
一万円札で払った。 それで2千数百円だから7千いくらのおつりがあるわけだ。 小銭は間違いなくとった。 しかし・・・ 札を残したままにしてきた。
慌てた。 財布を見ても、バッグを見ても、7千円はどこにもない。 やっぱりレジの機械から取らなかったのだ。
急いで戻った。
ない。 お店の人に聞いた。 案内係に問い合わせてくれた。 ない。
あとから清算した人がもっていったのか。 後悔の念が広がる。 有人のレジに並べば良かった。 もっと慎重にお釣りを確認すれば良かった。 あとの祭りだ。
自分を落ち着かせようとする。 「いいよ、もっと高い靴とポーチを買ったと思えばいい」 「いいよ、思わぬ7千円が入った人は喜んだんだから。 きっと、おいしいものを食べているさ」 「いいよ、そのうち忘れてしまうから」 「いいさ、悔やんでも戻ってこないんだから」 「いいさ、回り回って戻ってくるさ」
頭では「仕方ない」とわかっているが、 心のもやもやは消えていかなかった。
ぼくはけっこう新しい生き方をしていると自負している。
しかし、 お金に関しては、 旧態然とした恐怖や不安を持ち続けている。 特別ほしいものがあるわけではない。 ただ安心のためだけにお金をもっていたいのだ。 それも貯金通帳に印字されただけの数字。
頭では、そんなのおかしいよと思っているのだが、 心がついていかない。
7千円の件だって、 ぼくのうっかりのおかげで喜んでいる人がいるのだからいいじゃないか。
頭はわかったと言い、 心は納得できないと首を振る。
こんなときは心に従った方がいい。 だから、 ぼくは「くそっ!」と思っていた。
しばらく忘れていたが、 思い出したということは、 まだ悔しさが残っているのだろう。
だけど、 悔しさがあるからこそ、 次は失敗しないのだろうな。
「まあ、いい勉強だったさ」 頭が言う。 「そうかもしれない」 心の方も穏やかに答える。
しかし、 頭にも心にも共通するものがある。 「バレたら妻に叱られる」 大丈夫、彼女はブログを読んでないから。
これが一番の恐怖かもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025年03月12日 11時19分41秒
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