カテゴリ:誘水日記
「先生、これ見てよ」 4年生の授業中。 授業と言っても、来週は中間テストだから自習ということになっている。 勉強嫌いが集まっているから、 勉強より雑談している生徒ばかり。 N君ももちろん勉強は苦手。 スマホの画面を友だちに見せてしゃべっていたが、 急にスマホをぼくに向けてきた。 空が写っている。 青い空に、 何本かの線状の白い雲が、 鈴鹿山脈らしく山の方に伸びている。 「一カ所に集まっているでしょ」 確かにそうだ。 「自転車で雲の先に行ったんです」 面白い子だ。 「何があったの?」 「鈴鹿山脈の方にずっと続いていて、 神社にたどり着きました」 「何て神社なの?」 「福王神社って書いてありました」 彼は不思議な話が好きらしい。 しかし、 友だちに言っても、 バカにされるだけ。 ぼくのように真剣に聞いてくれる人がいて、 口がはずむ。 「このあたりは古墳がいっぱいあってな・・・」 ぼくも最近仕入れた知識をひけらかす。 さらに、 宇宙人のことまで。 木村さんのことを話してあげると、 「まじっすか」と身を乗り出した。 ちょっとしゃべり過ぎたかもしれない。 彼は、 ぼくを暇つぶしに教師をしているじいさんだと思っているから、 少し気味悪がっている。 今度、 ぼくの本「そうだ! イルカみたいに生きてみよう」をあげようと思う。 ただのじいさんであっても、 見聞きしてきたこと、 体験したことは、 ちょっとすごいよ。 定時制のわずか10人のクラスに、 スピが好きな奴がいるとはびっくりだ。 福王神社は、 このあたりのパワースポットらしい。 聖徳太子が巡行されて、 毘沙門天をお祀りしたことが始まりという言い伝えもあるそうだ。 彼も面白いところへ導かれたものだ。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025年06月02日 17時07分39秒
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