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カテゴリ:Oの人生論
ある乳がんの患者さんの話。
まだ早期の状態だったこともあり、 主治医からは手術をすすめられた。 主治医からすれば、 早期なら手術で治るとわかっている。 医者という立場からすれば正しい選択を伝えたわけだが、 言い方がビタミン剤を注射しましょうくらいの軽い感じで言われたので、 どう返事をしていいのか彼女も戸惑ったようだ。 医者にとっては日常のことだけれども、 彼女としては命にかかわる大事なのだ。 それに女性にとっては、 早期のがんとは言え、 場所が胸だから、 メスを入れることに抵抗があって当たり前だ。 今は温存療法が主流と説明されても、 彼女はすぐには「はい」と返事ができなかった。 彼女はほかの医者にも診察をしてもらうことにした。 できれば手術はしたくない。 だから、 西洋医学だけでなく、 東洋医学や代替療法(西洋医学以外の治療法)まで視野に入れた治療をしている医者を探した。 彼女が「この人なら」と感じたのは帯津良一先生だった。 たくさんの著書があって、 何冊か読んでみると、 温かな人柄が伝わってくる。 「こうしなければいけない」という医者にありがちな押しつけがない。 「患者さんに寄り添う医療が大切だ」とどの本にも書いてあった。 この先生なら手術をしたくない気持ちがわかってくれるだろうと期待をもって診察を受けたのだ。 帯津先生は、 手術や抗がん剤といった西洋医学の治療を否定しているわけではない。 先生が考える、 患者さんの現状にもっとも適した治療法を提案してくれる。 しかし、 手術が適していると思って伝えても、 どうしても手術が嫌だという人も多い。 先生は自分の考えを伝えた上で、 「家族と相談して一週間後に返事を聞かせてください」と言って、 その日の診察を終えるのだ。 一週間後、 「やっぱり手術をしません」と考えが変わらない人だったら、 手術以外の方法を一緒に考えてくださる。 彼女の場合も、 先生の見立てだと、 手術が一番の選択だった。 決して難しい手術ではない。 そのことを手術は嫌だという彼女にどう伝えるか。 先生は言った。 とっさに出た言葉だそうだ。 「あなたみたいな美人ががんで死ぬなんて、私には耐えられないな」 思ったことが口からぱっと出たのだろう。 これが彼女の心を動かせた。 「わかりました。手術を受けます」 彼女は今も元気に働いているそうだ。 ときどき帯津先生の診察も受けている。 いくら初期と言っても、 がんと診断されて平気でいられる人は少ない。 動揺するし悩む。 揺れ動く心に、 どんな言葉が響くか。 帯津先生のような粋なひと言が言えるのは、 センスだろうな。 だれでも言えるものではない。 医学部では教えてくれない。 こういう医者が増えたらいいなと、 先生に会うたびに思う。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2026年07月10日 15時18分50秒
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