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二代目のお嫁さんなり

二代目のお嫁さんなり

夜回り先生/水谷修

定時制高校の教師をしながら、街の夜回りを続け、子どもたちを闇の中から救い出そうと奮闘している水谷さんの著書。
偶然にもテレビの特集で見て、講演内容のVTRをめちゃくちゃ泣きながら見てその翌日に読みました。ドラッグでボロボロになって死んでしまう子どもたちも少なくなく、そのたびに無念さをかみしめ、自らを責め続ける水谷先生の姿は、そんなに自分を追いつめなくても、という痛さとともに、自らを冷静に分析しその力を受け止めているものだと感じました。

こんな社会になってしまった自国のふがいなさと情けなさとどこかで間違えた道の事を想って辛くなります。
薬物の中毒で死んでしまった子どもの話が紹介されていて、専門病院の院長先生から「殺したのはあなたですよ」と言われた話には参りました。愛情によって更正することはできるけれど、薬物中毒は病気。病気は医者じゃないと治らない・・・。子どもたちを愛するが故にその手だてを誤り死なせてしまったと、自らを責め続ける姿勢には泣けてきます。
強い愛情と責任感、そして薬物から子どもたちを守りたい、救いたい想いからの猛勉強で、薬物のスペシャリストとしてもその怖さを徹底的に説く姿は、本当に心強いものです。
その原点はただひとつ「子どもが好きなんですよ」。
いつでもどんな時も電話しておいで。水谷は、いつでも待ってるよ。そう言うのは簡単だけど、実践するのは難しい。
せめて、自分の子どもに対してだけは、正直でありたい、そしてこういう存在でありたいと切に想う本でした。

余談ですが、江川紹子さんのインタビューはちょっとひどいものでした。
忙しい時間を割いてインタビューに応えてくれる水谷先生への質問は、あまりにも一般的すぎて、もうちょっと踏み込んでいかないと、と。
特にリストカットの話は、えっ?そんな認識しかないの?とガッカリでした。
それでも、あきれる事なく丁寧に一つ一つ応える水谷先生の姿勢には打たれるものがありました。


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