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二代目のお嫁さんなり

二代目のお嫁さんなり

遺言~桶川女子大生ストーカー殺人事件~

読めば読むほど、辛い本でした。
真実って何だろう?と思わずにはいられませんでした。
あの当時、確かにニュース報道を見ると、女子大生は風俗関係でバイトしていたように感じたし、事件の犯人とされる男は風俗店などを取り仕切る側の人だったと記憶しています。でも、この本を読むと、いかに嘘の情報に私は振り回されていたのか、なんとひどくて恐い事件だったのかと、胸をえぐられる想いです。
フォーカスという、写真週刊誌の一人の記者の記録です。
この事件の真実を追い続けて、フォーカスでシリーズ化し、警察の捜査や対応の酷さを鮮明に浮かび上がらせています。
私たちが真実だと思っていたことは、ちっとも真実じゃなくて、
遺族や友人たちがどんな想いで過ごしたかを考えると、やりきれない想いが募ります。
裏社会への勇気ある取材を試みて、警察ではつかめなかった犯人を絞り込んでいった執念は、ジャーナリストとしての使命というよりは、何か分からない大きなものにただただ突き動かされていたのでは・・・と感じます。
どうして、彼女は殺されなければならなかったのか。
どうして、警察はどんなに相談しても力になってくれなかったのか。
情報を流して、犯人を教えているにも関わらず、逮捕できなかったのか。
いろんなことを考えさせられます。
この記者の記事をきっかけに、テレビで大々的に取り上げられ、ストーカー法の施行に至ったけれど、彼女は戻ってこない。
この仕事をやり遂げても、充実感ではなく、やれきれなさが残ったのかも・・・と思うと、読み終えても辛さが募ります。
執拗にストーカーをしていた男は、北海道の湖で自殺し、実行犯とされる兄や仲間たちは逮捕されたけれど、だからといって全ての真相が明らかになったわけではなくて、どこか謎めいたまま、すっきりしない解決になったように思います。
真実だけを突き止めようとしていたジャーナリストが、一人でもいたことが少しでも被害者やその家族の救いとなりますように。


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