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二代目のお嫁さんなり

二代目のお嫁さんなり

手紙/東野圭吾

東野圭吾さんの本は、短編集だとブラックユーモア的要素が多いけど
長編は、ついつい引込まれて、一気に読んでしまいます。
基本はミステリーなんでしょうけど、せつなくなったりします。

今回読んだ「手紙」は、兄弟の話。
出来心で盗みに入った家で、一人暮らしの資産家のおばあさんを殺してしまう。
強盗殺人という、もっとも重い事件を起こしてしまった兄。
その兄が、刑に服している間、弟に手紙を書き続けるけれど、
弟は、その手紙が届くことで人生の大事なところで多くの事を失っていく。

もし、自分の身内が事件を起こし、そのせいで失うものが多かったら・・・。
と思うと、弟のどうにもならない人生の歯車の狂いが、可哀相だったけど、
弟のために罪を犯し、収監後は手紙を書く事で精神を保つ兄を思うと
どうしてこんなことに・・・と思わずにいられなくて。

その手紙が弟には悲劇になり、多くの事をあきらめるきっかけとなり
何だか、どうしようもなさでいっぱいになってしまった。

兄の想いも弟の辛さも、胸に響いて
二人っきりの兄弟が支えあっていくはずの毎日が、
どうして壊れてしまったのかなぁ、と泣けてしまった。

東野作品は、さまざまな想いをするけれど
最後には、ほっとする部分があって、哀しいだけで終わらない所が好き。
「手紙」も、償いきれるはずもない罪を犯した事は許されないけど、
それでも、必死に生きる二人の姿が印象に残る作品でした。


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