五感覚について・聴覚
今回は聴覚についてお話ししたいと思います。早速ですが、下の図をご覧下さい。左から、音(空気の振動)が鼓膜に伝わり、鼓膜が振動します。鼓膜の振動が耳小骨(つち骨・きぬた骨・あぶみ骨)に伝わり、あぶみ骨はかたつむりの殻の形をした、蝸牛(かぎゅう)の壁を振動させます。蝸牛の中はリンパ液で満たされており、また、中に基底膜という膜が中央付近に張っています。基底膜は入り口付近は固く、奥へ行くほど柔らかくなっており、高音は入り口付近の基底膜が振動、低音になるほど奥が振動します。基底膜には聴細胞と、それを覆う蓋膜(がいまく)が入っています。聴細胞の先端には細かい毛があり、音で振動すると、毛が蓋膜に触れて、その刺激で電気が発生します。この電気が聴神経に伝達され、脳へ運ばれます。 次の図に、脳内での聴覚処理を示します。聴神経から来た電気的刺激から、まず音源の識別・位置の解析を行います。音源は、電気刺激の振動パターンを解析し、音の質感を解析します。次に音程を解析しますが、脳内には聴細胞の振動する音の高さに対応して反応する、神経細胞集団が存在します。この特定の箇所が反応することで、音の高さという感覚が発生します。音を言語として認識するかどうかは、記憶との照合により判断しています。 さて、落としどころはそろそろ予想がつくと思いますが、以下の図のようになります。空気の振動そのものには音の本質は無く、脳の中で音という感覚が生成されます。従って音の本質は、脳の中にある、と言うことが出来ます。-- よろしければクリックしてください